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【時間停止の復讐者】裏切りの魔法庁を断罪する、クールな少年のリベンジ・クロニクル  作者: ねこあし


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第14話:空間理論の教授と、復讐の理論武装

 風見の隠れ家は、外界の空間の歪みによって完全に隔離された、小さな地下ラボだった。壁には複雑な数式や魔術的な図形が書き込まれ、中央には、様々な魔導具が置かれた作業台がある。


「君の復讐心は理解できる。だが、感情だけでは神崎零司の『法』は破れないし、影山の『対時間魔術兵器クロノ・デストロイヤー』は阻止できない」


 風見はコーヒーを淹れながら、やつれた顔で言った。彼の目は、刹那の持つ『時間停止クロノ・ストップ』の能力に、理論家としての強い好奇心を向けている。


「あなたが、僕の家族の家に『対時間魔術防御壁』を仕掛けたのは、なぜだ」


  刹那は、感情を抑え、問い詰めた。


 風見は顔を伏せた。


「あれは、私の最大の過ちだ。私は当時、影山に騙されていた。『時間停止』という未確認能力を『抑え込む』ための、純粋な研究だと信じていた。だが、あれはテロリストが『防御壁』を破壊する際に生じる、過負荷の魔力爆発で、能力者を抹殺するための罠だった……。私は、その事実を知り、すべての開発資料を持ち出して逃げた」


 風見は、特務部部長・影山が、刹那の家族の死を「能力者の抹殺とデータ収集」という、極めて冷酷な実験として利用したことを認めた。


「影山の目的は、君の能力を破壊することだけではない。彼の開発する兵器は、魔力回路そのものを強制的に疲弊させ、その反動で『時間停止』を発動させ、その後の魔力暴走によって自滅させるためのものだ」


「僕を、自滅させるための兵器……」


 刹那は、その悪意に満ちた計画の恐ろしさに、改めて戦慄した。


「そうだ。そして、その兵器の鍵となるのが、一之瀬雫くんの『回復魔術ハイ・ヒール』だ。回復魔術は生命力と魔力の再生を促す。影山は、兵器使用後に崩壊した魔力回路を、雫の魔力で瞬時に回復させ、兵器の無限利用を可能にしようとしている」


 刹那は、雫を救出することの緊急性を再認識した。


 風見は、作業台のホログラムを起動させた。そこには、神崎零司の『空間断裂』の魔力パターンが、三次元で表示されている。


「君の復讐を助けるには、まず零司を無力化しなければならない。彼は、君にとって最大の『法則ルール』の壁だ」


「彼をどう破る?僕の『時間停止』は、彼の『空間結界』に封じられる」


「彼の魔術の本質は、空間の『予測』にある。彼は、空間の歪みが発生する予兆を読み、断裂を発生させる。だが、僕の『空間理論』によれば、その『予測点』に、意図的に『逆の歪み』を発生させれば、断裂は無効化される」


 風見は、複雑な数式と魔法陣を組み合わせた、新たな魔術の理論を提示した。


「そのために、君の『時間停止』の応用力が必要だ。君の『時間遅延クロノ・ディレイ』を、空間の特定の座標に対して『時間的なズレ』として打ち込む」


「時間のズレを、空間の歪みとして利用する……?」


「そうだ。君の『時間魔術』は、世界の『流れ』を支配する。零司の『空間魔術』は、世界の『位置』を支配する。君の能力で『流れ』を乱せば、彼の『位置』の支配は破綻する」


 これは、刹那の持つ時間魔術を、単なる戦闘から「空間戦術」へと昇華させる、革新的な理論だった。


 刹那は、風見から渡された古い魔導書を手に取った。そこには、風見が二年間、孤独に零司の追跡から逃れるために編み出した、空間魔術に関する膨大な理論が詰まっていた。


「これを、五時間以内にマスターしろ。そして、君の師である霧島冴子に、零司の追跡を一時的に引きつけてもらう。その間に、私たちは影山の『対時間魔術兵器』の真の所在地を特定する」


 刹那は、風見の言葉に、静かに頷いた。彼のクールな瞳に、知識への強い渇望が灯る。


(僕は、ただの復讐者ではない。僕は、この世界を支配する法則を書き換える『時間魔術師』だ)


 彼の復讐は、感情的な暴力から、理論と知識に裏打ちされた、冷酷な「法の書き換え」へと進化しようとしていた。そして、その進化は、零司との次なる遭遇で、決定的な結果をもたらすだろう。

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