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勘違い令嬢は魔術師になりたい~聖女になった義姉に全て奪われましたが、好都合です!~  作者: 星見うさぎ


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48/49

48_ドキドキの配属前

 

「ステラ、聞いたわよ!あなた魔術師団に行くんだって?それも希望を叶えてもらったんだって。すごいね!ていうか魔術師団希望だなんて知らなかった!とにかくおめでとう!」


「へへ、レイラ、ありがとう!それより、レイラも出世したって聞いたよ、おめでとう!班長になったって?」


「あはは、そうなんだよね。ありがと。お互い頑張ろうね!今度またゆっくりお茶しよう!」


 仕事前にレイラが声をかけに来てくれた。メイドになって、友達になれたのがレイラで良かった!

 お団子が気に入ったみたいだったから、今度また作ってあげよう。


 私は魔術師団入団前のお休み中で、今日はなんとアンジェリカ様にお茶に誘われているのだ!

 メイド服しか持っていないけど、王族用のガゼボを殿下が使用してもいいと言ってくれたらしくて、他に誰もいないからそれでいいとのことだった。

 人目があると、メイドと気やすくお茶なんてできないもんね。


 とはいえ、今後は私も魔術師団の団員になるわけで。そしたら魔術師団所属のローブがもらえるはずだから、それを着ていればアンジェリカ様と少しくらいなら交流しても許されるはずだよね?

 何もかもが楽しみすぎる!


 ガゼボにつくと、アンジェリカ様は先に待っていてくれた。


「ステラ!こっちよ」

「お待たせしてしまって申し訳ありません!」

「ふふ、わたくしが楽しみで早く来すぎてしまったの」


 そう言って微笑んでくれるアンジェリカ様。控えめに言って天使です。


 内緒の話もしたいからということで、メイドや護衛も退席している。

 お茶を淹れて席に着かせていただくと、アンジェリカ様はそっと私の手を握ってくれた。


「ステラ、殿下にすべて聞いたわ。大変だったみたいね。わたくしもすぐに駆け付けたかったのだけれど、王太子の婚約者として、そして公爵令嬢として危険があるなかでの登城が許されなかったの。ごめんなさいね」


「とんでもございません!アンジェリカ様があの混乱の中で毒に苦しむことがなくて本当に良かったです」


 毒を混入させた経路も方法も犯人もはっきりしないままではあるけど、とりあえず再発防止のための最低限の対策が終わったということで、アンジェリカ様はやっと登城を許されたらしい。

 それでも、逐一連絡用の魔法の便箋で報告はしていたし、殿下が先に事のあらましを説明したんだとか。


「どうやら聖女様は解毒魔法をまだ使えなかったそうよ。ステラがいなければ本当にどうなっていたかわからないわ」

「そうだったんですか!?」


 背中がヒヤリとした。そういうことならなおさらスカーレットが呪いだと勘違いしていたことを指摘しなくてよかった……!

 そんなことをすればなにがなんでも追放されていたかもしれない。


 解毒魔法と浄化魔法なら、浄化魔法の方が高難易度とされている。だからきっと解毒魔法も使えるんじゃないかなと思っていたんだけれど、聖女としてより必要になるのは呪いに対抗する浄化なので、スカーレットは先に浄化魔法を訓練して使えるようになったのだとアンジェリカ様が教えてくれた。


(解毒剤の作り方、覚えておいてよかった~!)


 もしもあの騒ぎで誰かが命を落としていたら、きっと私の出世なんてそれどころじゃなさすぎて実現しなかったに違いない。


 色々ひっくるめて、私はやっぱりツイている。


「はあ……それにしてもステラの淹れるお茶は美味しいわ。なぜかしら?なんだかホッとする味なのよね」

「それはよかったです。茶葉は王宮のものなので恐らく普段アンジェリカ様が飲むものと変わりないと思いますが、なんたってたくさん愛情を込めていますので!」


 私、アンジェリカ様のことが本当に大好きなので!

 その気持ちを込めて丁寧に淹れているのだ。


「ふふふ、ステラは本当に可愛いわね。わたくしが登城するときについてもらえなくなるのは寂しいけれど、わたくしたちがお友達であることは変らないのだもの、こうしてお茶したりお話ししたりはこれからもしてちょうだいね」


「もちろんです!」


 アンジェリカ様との楽しい女子会は、待ちきれなくなった殿下がアンジェリカ様を迎えに来るまで続いたのだった。



 次の日は一日お菓子を作る時間にした。魔術師団での最初の挨拶の時に皆様に配ろうと考えたのだ。いわゆるわいろのようなものである。これで少しでも好印象を持ってもらえますように……!


 騎士様やレイラにも好評だったお団子や、つまみやすいクッキーやフィナンシェ、少し手をかけてマカロンや、塩っけのあるものもあった方が良いかも?と、お団子と同じく東の国のお菓子であるお煎餅も作ってみた。もちろん、手作りが苦手な人もいると思うので、一つずつ包んでバスケットに入れて、お好みのものがあればとってもらう方式にしようと思っている。


 すっかり日が落ちた頃に自室に戻ると、窓の外に鳥が飛んでやってきた。


(これ、魔法の便箋だわ)


 窓を開けると、手元にとまり、鳥は手紙に戻る。

 シルヴァン様からだった。内容は、明日は何も心配いらないということ、私と一緒に働けるのを楽しみにしているよ、というもので。


「シルヴァン様、本当に優しいよね」


 実は、急な決定となったこともあり、魔術師団の団長様にはまだ会えていないのだ。本当は事前にご挨拶できればよかったけど……。

 明日は失礼のないようにしなくちゃ。


 夜は早めに就寝準備を整えた。

 明日はいよいよ魔術師団に配属となる。うー!緊張するー!

 だけど、本当に嬉しい。


 最初が肝心だよね。ベッドに入った後も、笑顔で感じよく振る舞うためのイメージトレーニングを繰り返す。

 こんなに朝が来るのが楽しみな夜はなかなかないかもしれないと思いつつ、最初の挨拶はどんな風にしようかなと想像しながら眠りについたのだった。


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