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勘違い令嬢は魔術師になりたい~聖女になった義姉に全て奪われましたが、好都合です!~  作者: 星見うさぎ


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40/49

40_事件勃発!これって呪い?なの?

 

「なんだと……!?」


 急いで騎士様についていくと、廊下に数人が倒れ込んだり座り込んだりしている姿がすぐに目に入った。

 他の部屋にも複数人が横たわったり蹲ったりしている。


 これはひどい……!

 というか、さっきまで王宮内はいつも通り、至って平和だったはずなのに。私達が殿下の執務室でしばらく話し込んでいる間に一体なにがあったの?


「王宮医師は!?」

「先に倒れた者から診てくれていますが、次々に患者が増えていて……!全く追いついていません!」


 殿下はすぐにその場の混乱を落ち着かせ、事態を改善させるために動きはじめ、シルヴァン様は魔術師団から少しでも治癒魔法が使える人達を呼び寄せていた。


 わ!魔術師団の魔術師様……!

 王宮内で私が行動する範囲では今のところシルヴァン様以外に魔術師団の方たちには会えていなくて、はじめて他の魔術師様にも会えるかもしれないこの状況にちょっとそわそわするけれど、今はさすがにそれどころじゃないよね。


 騎士様やメイド、他の文官様や王宮に仕官している人達の中でも、なんの異変も起こっていない人達が倒れている人達を安静に出来るようにと移動させたり、介抱したりしている。

 そんな中、一人の文官が震えながら叫んだ。


「こんなに突然、大人数がどんどん倒れていくなんて……まさか、呪いなんじゃ!?」


 そして、その声に同調する人達が声をあげはじめた。


「そうだ、そうに違いない!呪いでもなければ突然こんなことはありえない」

「ひっ、そ、それじゃあ、これからもっと広がるんじゃ……」

「いやっ!私、怖い!」


 さすがに王宮にあがっている人達は皆呪いの恐ろしさについてきちんと学んできているらしく、怯えと不安が広がっていく。


「落ち着け!王宮には聖女様がいるだろう!聖女様を呼んでくれっ!」


「そうだ!聖女様をはやく!」


 そうして、その声に応えるように症状がでていない騎士様の一人が走っていく。スカーレットを探しに行ったんだろう。

 皆、スカーレットさえ来てくれればどうにかなると思っているようだった。


 だけど私はちょっと疑問に思っていた。


「呪い……そうなのかな?」


 呪いを受けているとしたら、あの呪われた武器や武器庫がホコリや汚れにまみれていたように、何かしらそれっぽいものが見えると思うんだけど。そういう普通じゃない何かは全く見えないんだよねえ……。

 ということは、呪い以外の何かじゃないかと思うのだけど。うーん?


 ふと、気になることを思い出した。


(今日、スカーレットへの贈り物を仕分けている中で、メイドたちに下げ渡されるものが積まれていたよね?その中の一つにかなり大量の瓶があったような……)


 そうだそうだ、あれは今どこにあるのかな。


 どうしても気になって、混乱する中であの瓶の行方を捜してみる。

 すると、騎士様やメイドたちが倒れている中にいくつかあの瓶も転がっていることに気づく。他の瓶やグラス、食べかけのお菓子なんかもあるけれど。


 これは……ひょっとして、倒れている人たちは皆スカーレットへの贈り物を下げ渡されて、それを食べたり飲んだりした人達なんじゃないの?


 仕分け用の部屋まで行ってみると、下げ渡すために積んでいた物たちは少しずつ残っていた。それでもその大部分がなくなっているので、やっぱりすでに下げ渡された後らしい。

 食べ物や飲み物は量が多いとはいえ全員にいきわたるほどじゃないから、早い者勝ちになるわよね。そうすると、なくなるまえに食べてしまおうとすぐにその場で食べたり飲んだりする人が多いことが予想できる。


「ステラ?どうしたんだ?」


 治癒魔法を使える魔術師様に指示を出していたシルヴァン様がやってきた。私がいなくなったことに気づいて探しにきてくれたようだ。


 贈り物の残りをじっと見つめて考え込む私を、怪訝そうに見ている。


「シルヴァン様。うーん、私、どうしても気になってしまって……」


 この中のどれかが怪しいと思うんだよね。特に、最初に気になったあの瓶がなんかとっても気になる。


「やはり、この辺の何かがこの騒動の原因の可能性が高いか」


 当然、シルヴァン様もそう考えているようだった。うんうん、今のこの状況ならどう考えても一番怪しくて原因物の可能性があるものはこのどれかだと思う。


「聖女も呼ばれているが、ステラにも浄化できるのではないかと思っていたのだが……これだけの人数が一度に倒れるとさすがに難しいかい?今からお菓子を作るわけにもいかないしな……」

「というか、呪いの気配を全く感じないんです」

「そうなのか!?」


 やっぱり、呪いじゃないんじゃないか。


「あの、シルヴァン様。この辺の贈り物って全て毒見や鑑定の魔法での確認が通されるんですよね?」

「ああ、そうだな。……だが、確認の後に何かしら呪いが付与された可能性はある。最悪の偶然でたまたま呪いが宿り、その後誰かが摂取する可能性もなくはない」


「もしくは、誰かが意図的に毒物を混入させた可能性もありますよね。あまり考えたくはないですが」


 スカーレットへの贈り物に毒を混入する人などいるわけがない。なぜなら、聖女がいなくなればいずれ辿る末路はこの国、ひいてはこの世界の滅亡なのだから。そんなことをすれば自身の命も無事では済まないのだから、その可能性はさすがにないだろう。

 皆、無意識のうちにそう考えているんだと思う。


 だから、一番可能性の高い毒ではなく呪いじゃないかと真っ先に声が上がったんだろうけど、やっぱり私は毒だと思う。


 試しに、一番近くに置いてあるジュースの瓶を手にとってみる。これは西の領地の特産品のフルーツジュースね。

 見た目にはなんの異変もないけれど。問題は中身だ。


「ステラっ!?」


 私は瓶の蓋をあけると、その中身を一口飲んでみた。


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