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勘違い令嬢は魔術師になりたい~聖女になった義姉に全て奪われましたが、好都合です!~  作者: 星見うさぎ


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33/49

33_魅了じゃない方がむしろ厄介説

 

「ステラ、大丈夫だったかい?」


「はい。またまた助けてもらっちゃってすみません……あれってスカーレットのために王宮に常駐しているっていう神官様ですよね?」


「ああ。彼は神官ザエル。なんでも幼い頃に聖女の出現を予知夢で見たとかで、それから聖女に仕えることを夢みて神官になったという筋金入りの聖女信仰者だ」


 それはまた……まあ何を崇めるかは個人の自由だしね。というか、スカーレットだから聖女自体に苦手意識を持ってしまっているけども、聖女がスカーレット以外の心から尊敬できるような人物だったら私も普通に憧れていたと思うし。


 シルヴァン様や王太子殿下は魅了の魔力への警戒や、スカーレットの近すぎる距離感、そして私のこれまでの話を信じてくれたことによってスカーレットを盲目的に崇拝することはないけれど、それでも聖女がこの国、この世界にとって大切な重要人物であることは変わりないしね。


「ザエル神官様、若くして出世したすごい方だとは聞いていましたけど思っていた以上に若い方でした」


 本当に私やスカーレットより少しだけ上の世代という感じだった。シルヴァン様や王太子殿下もすごく若いけど、同じくらいか少し年下くらいかな?多分、並々ならぬ努力であの地位までのぼりつめたんだろう。それなのにやっと出会った聖女がスカーレットのような性格に難のあるタイプで可哀想、なんて思っていることがバレたら今度こそなんらかの罪で裁かれそうだけど。


「それにしても、聖女に傾倒している人間はなぜか君に理不尽に絡んでくる傾向にあるようだな……魅了の魔力は聖女に心酔すると同時にステラを憎く思うようにできているのか?」


 シルヴァン様は冗談半分にそう言うとため息をつく。いつもいつも助けてもらってすみません。

 ところで。


「ええっと、それなんですけど、どうもあの神官様は魅了の魔力に影響されているわけじゃなさそうなんですよね」


「ええっ?」


 その反応、分かります。そうだよね、そうだよね!私もてっきり魅了の魔力にやられているんだと思っていた!

 だって私を責め立てるあの感じ、ランディ様の時と似ていたもの。……と思ったのだけど、そういえば不敬メイドのメラニーさんも魅了の魔力は関係ないんだったな。


「ホコリや汚れも見当たりませんでしたし、匂いも普通でした。その他に他の人と比べて気になる点などもなかったので、おそらく」


「それなのにあれほど君に食ってかかっていたの?」


「そうなんですよねえ」


 私の正体は別にスカーレットに気づかれているわけじゃないはずなのに、スカーレットの側にいると感性が似通ってきて、スカーレットが嫌いな私を同じように嫌いになる……なんて作用があったりして?

 やだ、ちょっとそんな想像をしただけだけどゾッとしちゃった。


 一般的に、いつも一緒にいると影響を受けて似てくるとはよく聞く話だし。

 まあ本当にそうだったら目も当てられないけど。……さすがにないよね?


「魅了魔力のせいなら、ランディ様のように浄化がすめば和解してもらえる可能性がありますけど、そうじゃない方が私的には厄介です。聖女に近い人って結局身分の高い人が多いですし、そういう人に嫌われすぎると王宮に居づらくなりそうで……」


 そう、私としてはそれが怖かった。いや、別に誰かに嫌われるのとかはそこまで気にしないんだけれど。(というか、ジーナさんの時みたいに意地悪に気づかないことも多いし)

 ただ万が一にでも夢である魔術師団所属への弊害になるかもしれない要素はないに越したことはない。

 あーあ、人間関係って難しい……。


 スカーレットにさえ正体がバレなければ大丈夫だろうと思っていたのに。


「安心して。僕も気にかけておくし、そんな理由でステラが困らないように殿下もとりはからってくれる。何より有能な君を手放すようなことは殿下が絶対にしないよ」


「そうだといいんですけど」


 えへへ、ちょっと照れちゃうな。このままの勢いで魔術師団に入れてくれてもいいんですよ!?

 なーんて。


 黒猫ちゃんの怪我を治したのがスカーレットと思われていることについてはちょっと驚いたけど、どうやら最近スカーレットは色んな人の怪我を治癒して回っているらしい。だからか。

 突然聖女として王宮にあがって最初は大変だったみたいだけど、最近はザエル神官の指導の元、どんどん能力を開花させているんだとか。


「そろそろ実地訓練も始まるようだし、聖女として正式に活動しはじめるのもすぐだろうね。そうしたらお披露目式も執り行われる予定だし、これからますます忙しくなりそうだ」


 魔王復活が近づくと、封印が緩んで溢れはじめた魔王の魔力にあてられて、呪いが各地で現れ始め、魔物の特殊個体が出没しだし、どこかで隠れて生きている魔族の生き残りの活動が活発になるらしい。


 魔族の生き残り!?ってびっくりしたけど、魔王の魔力がきちんと封印されている間は魔族の力も同時にほとんど抑え込まれているらしくって、普通の人間と変わらない能力しかないんだとか。だから見つけるのも至難の業だし、結果的に放置せざるを得ない状況になってしまう。


 聖女は呪いの浄化や解呪、特殊個体の殲滅に聖魔力を使ったり、色々とやることが多い。

 実地訓練はそんな内容を実際に神官様や王宮騎士団と一緒にこなすんだとか。


「魔術師団は聖女と行動をともにすることはないんですか?」


「もちろん、相手にする特殊個体によっては剣よりも魔法の方が向いていたりするから、場合によってはあるけど、基本的に僕たち魔術師は誰かを護衛しながら戦うことに特化していないからね。聖女とともに戦うのにはあまり向いていないんだ」


 そっか、聖女と一緒に戦うということは、聖女を守りながら戦うということでもあるわけだもんね。


 それなら、私が魔術師団に無事はいれた後もあまりスカーレットと深く関わる機会は多くなさそうで安心だと、こっそり胸をなでおろした。


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