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Starting Over in邪馬台国 ~卑弥呼システム~  作者: 暇人と黒猫


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第9話 やっと明かされたトウリ転生の謎

「嘘?ですか?」日巫女は少し驚いた表情をする。


「嘘って言い方は良くなかったよ。言い方を変えよう。『君の言ったことで表現が正確じゃなかった部分』がひとつあったと思うんだけど」


「正確じゃなかった部分?」


「男性の転生話、旦那さんともう一人の男の話を聞いていて引っかかってたんだ。『二人とも年上に生まれ変わってる』って。それはそうなるはずだ。前世で時間差はあっても『どちらも先に死んでいる』からね。そしてそれはそうならざるを得ない。転生させる力を使えるのが一度だけだからだ。一度使えば失われる。だけどトウリは年下なんだ。これをしようと思ったら方法はひとつ。死期が近い男に力を使い、使った後すぐに、男が息を引き取る前に自殺してしまうだけだと思う。でもこれを僕の時にやると今目の前にいるのはユカさんのはずだ。でも君はユカさんじゃない。それは嘘じゃないってわかる。だったらどうやって僕を年下で送り込むか...」


「ですね」日巫女が口を開く。「ちゃんと正確に言うべきでした。貴方をここに転生させたのは私です」


そう。方法は一つだけ。ユカが彼女に力を使い、それによって力を得た彼女が死にかけている僕に力を使う。それしかない。


「しかしわからない。いつどのタイミングで僕にそんな力を使ったんだい?少なくとも何らかの接触がないと無理だろ?あの病院で君に該当しそうな人を覚えていないんだけど」


「あの時貴方はそもそも意識はなかったんじゃないかと思います」


「どうやってそんな状態の僕に接触できたんだい?」


「同じICUの中にいたんです。私も危篤状態でした。でもわずかに意識はあったんです。体は動かなくても。だから周りの声とかまだ聞こえてました。ユカがそばに居たのはわかりました」


「ICU」うっすらと記憶にある気もする。たぶん容態がいよいよ悪くなって移された気がする。


「元々先に私がICUにいたんです。そこに貴方が運び込まれてきました。その時ちょうどママはお医者さんと話しててユカがそばにいました。本当は家族しかダメだったんですけど、私がユカだけはお願いしたんです。その時にユカが教えてくれました。今の患者さん、5、60の男の人。あの人も死期が近いって。私も意識はまだはっきりしてたけど、体も動かせなくていよいよだろうって時でした。きっとママはお医者さんとそういう話をしていたんだと思います。その時にユカが言ったんです。今から私に力を使う。そうしたら私も同じ力を使えるようになる。この距離なら全然意識だけであの人、貴方ですね、も転生させることができるって」


「僕を転生させた理由は?」


「ごめんなさい。元々上手くいけば誰かを一緒に転生させようって話してたんです。私が前にユカに言ったから。今のことを知ってる人間がそんな大昔にひとりぼっちだと淋しいねって。ユカも確かに淋しいよって。5回目6回目はたまにこの時代のこととか話せる相手がいたから精神的に凄く楽だったし、一人じゃ難しかったことも二人だとできたり。だから誰かを一緒に送り込んでしまおうって。幸い病院だから死期が重なる人がいるかも。だからもし運良くたまたまタイミングが合う人が見つかって、力を使えるところにいたら...」


「で、たまたま僕が目の前に来た」


「そんなにタイミング良く意識が届く範囲に条件を満たす人が来るなんて可能性は低いと思ってました。それに一度も卑弥呼になってない私が果たしてその力を使えるのかも正直わからなかった。ユカはともかく私にはそもそも転生自体が半信半疑でした。だから半分本気、半分冗談で話していたことです」


気付けば日巫女は泣いていた。話ながらポロポロ涙を落としている。


「貴方を見てすぐにユカは真剣な顔で私に言ったんです。今しかないって。私も頷きました。ちゃんと頷けなかったかもしれませんが、私もそう思いました」


「なるほど。そういう事情だったわけだ」


「ごめんなさい。本当にごめんなさい。勝手に巻き込んじゃって。ごめんなさい」


日巫女は顔を両手で覆い泣いた。


「いやいや、別に謝ることじゃないよ。どうせ死ぬだけだったんだし。むしろ記憶を持ったまま生まれ変われるってラッキーなんじゃないかな?うん。むしろ感謝だ」

僕がそう言うと日巫女は泣き顔のまま僕を見た。嘘じゃない。


「でも...」


「いや、無理やり殺されて送り込まれたならさすがに怒るけど、僕にしたらただ死んで生まれ変わっただけだし。君が連れてきてくれなかったらただの無になってたか、あるいはもっとロクでもないことになってたかもなんだし。逆にせっかくの同時代人が僕みたいなオッサンで申し訳ないくらいだよ。イケメンの同年代だったら良かったんだけど」僕が笑うと日巫女も泣き顔のまま笑った。


「今は同年代のトウリ君じゃないですか。それにトウリ君、なかなか美少年だから実はちょっとテンション上がりました」


「中身は60前のオッサンだけどね。てか僕ってイケメンなの?鏡ないから自分の顔ちゃんと見てないんだよね」


「そっか。鏡って私ら特権階級しか持ってないですもんね。あとでお貸ししますよ、鏡。結構かわいいお顔ですよ」

女子高生にかわいいと言われるオッサン。


「日巫女様もたいへんお目麗しきでございます」


「時代のカリスマですから」日巫女が笑う。


「カリスマっすか?」僕も笑った。


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