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Starting Over in邪馬台国 ~卑弥呼システム~  作者: 暇人と黒猫


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第51話 宗教観と親心と置物たち

「相国様。聞くことはありません。この者は誠か嘘かも解らぬ話で相国様の御心を乱そうとしているだけです。貴様も勝手に喋るな!」

ナナコが口を出す。


「今さらもうどうこうありませんわ。どうせ最後なのだから何だか誰かに聞いていただきたかっただけです。どうせ大した話でもありませぬ。ではもう首を苅られよ」


カシは首を突き出す。再びナナコが小太刀の柄に手をかける。

そしてカフクとマモルが置物なんだが。


「止せ、ナナコ」


「しかしコヤツは恐れ多くも日巫女様の暗殺を口にしたのです!しかも信仰心を持たぬとほざきました」


「止せと言っている。その者達は漢人。中国人だ。日神様とは違う大陸の神の子だ。現に御殿場に住む大陸の者は違う神を信仰しているだろう?」

信仰は認める。布教は認めない。ウチはこのスタイル。


「しかしこの者は神を否定しました」


「否定はしてない。信仰心はないと言った。それも自由だ」


「貴女には解らぬよ。こんな幸せな国に生まれた女には、ね」

煽るなよ、カシ。


「ナナコ。お前達は日神様を信仰する者だな」


「当たり前です!」


「で?月神様は?」


「もちろん崇拝しています!」


「そうか?月神様の御使いとして言うが、この国の子らは皆日神様を常に称える。が、月神様を言葉にして称えることがあまりなくないか?」


「気にしておられるのですか!?」

僕は首を横に振って否定する。


「神は皆の親である。親は子に我を愛せとは言わない。愛してくれようが、愛されまいが、ただ愛するのが神だ。我らが苦しめばそれが悲しい、我らが笑えばそれが嬉しい。そして日巫女様の言うとおり、我ら人の子が巣立つことを願っている。巣立った我ら人の子は神のことを忘れてしまうかもしれない。それでも人を愛するのが神だ」


僕だって二児の父だった。子が反抗しようが、蔑ろにされようが、ただ子は愛しい。


「少なくとも月神様はそういう神だ」


「相国様」カフク。

置物が喋った!

「私がトキ国の宰相です。それだけが事実です。カシはトキ国では何の身分もありません。ただの平民です。庶民の女です。下賎な者です。そんな首を落として如何様になりましょうか?我が首程の価値はありません」


「貴様は今さら...」

「别说了,哥哥!」


「全員黙れ!」僕が怒鳴る。ナナコの言い分も解る。カシの気持ちも解る気はする。カフクの気持ちも解る。

確かに戦争だ。殺し合いだ。カシ兄妹はちゃんと後で裁く。

何もここでわざわざ何も喋るな!殺すもないだろう?


「カフク殿は今は敵対国であっても一国の宰相である。捕虜として丁重に扱うべし。カシ殿は平民ながらもその宰相の実妹である。捕虜として丁重に扱うべし。処罰はヤマタイ国の法に則り、裁判を持って決める。我が国は非武装で拘束されているものを問答無用で斬るような野蛮な国家であってはならん!本日の尋問は以上とする。尚、二人の身は要人捕虜としてこの相国の預かりとする」


「...はい」ナナコ。思えば怒鳴ったのなんて転生して初だな。


「ナナコ。よく策を見抜いた。心強く思う。また日巫女様やこの身を常に案じてくれること、嬉しく思う」


マモルは最後まで置物だ。



カフク兄妹の身は御殿場内の要人捕虜収容所に移した。収容所と言っても普通の大きい屋敷だ。ただ屋敷内には台所がない。刃物を扱うからね。食事は日に二度運ばれて来る。要人でも屋敷では女官のような世話役はいない。屋敷外は柵で囲い、さらに水堀が囲む。八方に常に近衛兵が守衛に立っている。


そして実は先客がいる。忘れられた国の忘れられた王。その家族だ。

旧ヒムカ国。








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