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Starting Over in邪馬台国 ~卑弥呼システム~  作者: 暇人と黒猫


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第48話 対馬上陸作戦

「前方110度、目標視認!」

伝声管からの声が響く。各持ち場から皆が前方右よりを見る。艦橋からはまだ見えない。望遠鏡が早く欲しい。研究中だがまだ完成していない。透明度の高い水晶が希少だったし、レンズの研磨技術の水準がまだまだだ。


艦橋で地図を広げる。領内じゃないのでかなり大雑把な地図だ。


おそらく朝鮮側に港があると思う。

「この辺りに港があるはずだ。可能ならその付近から上陸したい」

どうせ目立つ。秘密裏に上陸は無理だ。ならば逆に堂々と接近する。

姿を見ても朝鮮か大陸の船と思うだろう。まさかヤマタイ国がこんな巨船を二隻も持っているとは思ってはいまい。


「了解しました」艦長が返事をし、前に向かって叫ぶ。「進路60度!取りぃ舵」


艦が左に向かう。対馬らしき島が遠くにかなり小さく見えた。


「だいぶ左にズレたが大丈夫か?」


「朝鮮からの船に見せかけましょう。一度北に抜け、南下します」


おぉ、コウサク。予感どおりデキる男だ。



日神暦190年1月15日

対馬上陸作戦開始。


まずは交易船のユカ号を近付ける。まあマナ号も見えているだろうが、いきなり完全武装の方が来るよりは港も安心だ。

浅瀬に乗り上げないように注意して桟橋に近付け、ボートを降ろし乗務員が数名そのボートに降りる。港の方は初めて見る巨船に驚きながらも慌てる様子はない。大陸にはあんな船まであるのかあってな感じだろう。

ボートの乗務員が長い竹竿で海底を探る。深さは十分だ。

船を桟橋に付け、船の側面から普段蝶番を使って折りたたんでいる上陸用の板階段をゆっくり降ろす。

そして海兵達が上陸だ。

少し離れてマナ号の艦橋からその様子を見ていた。港では一部の人間が降りて来た武装兵達の姿にようやく慌てているようだが、ほとんどの人間は混乱しているみたいだ。


「撃て」

ひと言艦長に命じる。

コウサク艦長は伝声管の蓋を開け叫ぶ。


「前主砲目標左0度。後主砲目標左0度。投石砲散弾左方向!撃ち~方用~意!」


巨大バリスタ2基を回転させ真横に向ける。投石機には10cm程度の尖らせた大きめの石を包んだ麻布を開放してセットする。散弾だ。ちなみに5~60cmの岩を飛ばす単一弾も用意がある。


「撃ち方用意完了!」伝声管から声が返ってきた。


「撃てぃっ!」


張り詰めていたワイヤー製のバリスタの弦が解放され、ビョンと鳴く。しなっていた投石機が勢い良く上空に弧を描く。

まず二本の巨大な鉄の矢が港の小屋を貫き、遅れて石の雨が降り注ぐ。石の雨は停船の帆(布ではなく竹製だ)を破壊し、港の人間達を複数人倒れさせる。

上陸援護の艦砲射撃。


そこまでしなくても上陸は容易だったが、この後の壱岐上陸作戦や計画のある他所の上陸作戦に向けた実戦訓練を兼ねている。

この対馬上陸作戦でトキ国側も海岸線や港の警戒と防衛を強めるだろうからな。


このトキ国との戦はマナ号が主力の一端となる。


対馬は感覚2時間くらいで南側をほぼ制圧した。山の上にあった屋敷を占領。30程度の兵と交戦があったが強弩で敵の射程外から鎮圧した。全くの無警戒だった島だ。北側には大した兵もなく、住民達に投降を呼びかける。

対馬には20人近くの朝鮮人がいた。彼らは手厚く保護する。あとやはり馬がいた。わずか数頭だが繁殖用だろう。

まあまだ幾ばくか騎兵がいたとしても御殿場にはケンシン達がいる。


海兵80名を占領軍として残し、二日後の1月17日には対馬を離れ、壱岐に向かった。おそらくまだ対馬陥落は知らないだろう。

壱岐に向かう航海では護衛からムサシが離脱した。彼はユカ号乗船を申し出てきたのだ。要は自分も上陸して戦いたいのだ。

普段は近衛兵団だから戦いに出ることがない。近衛兵団は基本的に日巫女の護衛だからな。この戦場に出る機会を存分に活かしたいのだろう。

確かにムサシを近衛兵団で飼い殺すのは勿体ないな。今後騎兵隊以外にも相国直轄軍を作る予定だから引き抜くか?「何でトウリ君ばかりチートキャラ集めてるんですか!」ってマナが怒るかな?


翌18日には壱岐上陸。こちらも無警戒だった。ヤマタイ国から遠い地域は中央に兵を出しているからだろうが、守備兵はわずか30程度だった。なんならムサシ一人降ろして昼寝していても占領できたな。本人も喜んだだろうな。


壱岐には120名の海兵を残す。

そこで一旦アリアケに帰還だ。兵と物資の補給をする。まだまだ暴れるつもりだ。


1月23日にアリアケに帰港。

全体の報告を受ける。ナナコは結局終始ダウン。ここで降ろす。


マナ号とユカ号に嬉しい新装備が補給された。ゼンマイ式時計だ。ずっと開発はしていてほぼ完成していたが、最終の24時間の調整で1年実験し、問題ないと実用化になった。遂に時刻の概念が誕生した。

もちろんアラビア数字で1時2時。ウチはマナがボスである以上はマナが常識だ。

丑三つ時?ナニソレ美味しいの?とマナが言えばそんな歴史は抹消だ。

ここは令和の女子高生が作る世界の歴史なのだ。

もしこのまま日本が21世紀を迎えたらどうなっているんだろ?

マナ号ユカ号みたいな船が量産されて、西暦300年代には日本が勝手に大航海時代やってそうだ。アメリカ大陸は西暦500年には発見しているかも。となると新大陸は日本領?

考えたら「ヤマタイ国の存在を消す」だけの卑弥呼システムよりマナシステムの方がよほどタチ悪いぞ。



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