第34話 富国強兵と船
日神暦189年7月。
ヤマタイ国の富国強兵は概ね順調だ。
新三郡に加え難民達の戸籍も完成し、新たな開発も終えた。
ワイヤーの開発である。細く伸ばした鉄を絡めて丈夫な鉄縄にする。
造船にも役に立つし、新しい武器にも利用できる。トキ国との決戦を考えたらウチが有利なのは技術力くらいなものだ。
職人もかなり増えたので二隻の船も完成間近。うん。順調だ。
ヤマタイ国の今が人口は約70000人。
内訳が御殿場職員(天領含む)が総勢3500人
工業系公務員が5000人、商業系公務員が5000人、土木系公務員が8500人、軍事系公務員が15000人、残りが所謂平民だ。
軍事系が多いがヤマタイ国では警察組織も軍が担っているから、こちらから攻め込む対外戦争に出せるのは9000人程度で、1500を一師団とし内訳の500を戦団とした。つまりは現在6師団18戦団となる。
武装はまず兜。魅せるための装飾はなし。鉄が勿体ない。これはもうぶっちゃけヘルメットだ。ただ重たくなるので鉄はかなり薄い。乾燥させた皮の帽子に薄い鉄板を貼り付けている。石を投げつけられてもケガはしない程度だ。
鎧は鉄製。鎖帷子を採用したかったが量産が難しく諦めた。で、戦国時代の足軽用当世具足を採用。比較的動きやすく防御力も高い。
武器は短槍と太刀と短刀。日本刀開発しました。と言っても実は形だけで、本物よりは強度がない。量産型鋳造だ。ちゃんと研ぐけどね、もちろん。しかしこの時代、敵の武器も鋳造だから大きな問題はない。片刃にしたことで細いが質量はある。この時代の鋳造の平たいスルメみたいな両刃の剣なら叩き割ることも不可能ではない。また、刃が欠けたり、血糊で斬れなくなっても両刃の剣よりも鈍器として優秀だ。中身の詰まった鉄パイプだからね。逆刃であってもあんなので殴ったら死ぬでござるよ。
つまりはヤマタイ国軍は見た感じ普通に戦国時代の足軽。1000年以上先の兵隊だ。
加えて飛び道具。
和弓。長弓。弩改(強弩)。連弩改。バリスタ。投石機。
そして数は揃ってないが新兵器。長弩。
全長1.2mのライフル型のクロスボウ。弓も鉄、矢も鉄、弦も鉄ワイヤー。弦を引き、固定具にかけたらひたすらレバーを回してさらに弦を絞るように引く。引き金を弾くと鉄の矢が有効射程1kmで飛ぶ。
弱点は一発撃つのに1分近くかかることととにかく重たいこと、コストが高いこと。
これの開発意図は狙撃だ。戦場から離れた場所より敵の指揮官を仕留める。敵には有能な軍師がいる可能性大。定番だと、何だかんだ知恵比べで勝って味方になって...だろうが、現実だ。そんなヤバイ奴、殺せるなら殺す。
この先、例えばあの諸葛孔明が敵になれば、未来人は味方にしたがる。三国志転生ものならきっと味方になる。
僕は躊躇なくやれるなら射殺す。
もしトキ国と天下分け目の決戦となり、指揮官として敵軍師が戦場に来るならば、陣幕にいようが、後方で指揮してようが見つけしだい殺す。遥か遠方から射殺する。
今6丁ある。現在スナイパーを養成中だ。300m先の的を色々な姿勢で毎日腕が上がらなくなるまで打たせている。
名前箱に「ゴルゴ」とか「シモヘイヘ」とか入れておけば良かった。
当面の問題は望遠鏡がまだない。
さて、一方...だ。
九州の情勢。クマソ国は相変わらず様子見。時折威力偵察みたいな小部隊が来るが一人残らず殲滅している。
トヨマ国はかなり追い詰められていて、田川市辺りくらいで踏みとどまっている。何かこちらをチラチラ見ているようだが知らね。コッチ見んな。
だからとウサ国は息を吹き返してはない。一度滅亡寸前まで行ったのだ。まあ、トキ国がそのタイミングまで待ったのだろうけど。まだ流民が来る。一応トキ国やクマソ国のスパイかもだから一度拘束し、急きょ作った難民キャンプに閉じ込めている。
たぶんトヨマ国陥落と一緒になくなりそうだ。
という訳でトキ国無双である。トヨマ国、もうちょっと粘ってくれなきゃウチに来ちゃうじゃない...。年内には開戦になるかなあ。
ナカト国は静観中。ここぞとばかり「あ、自分本州なんで」って感じを出して息を殺している。一か八か北からトキを急襲なんて気概はないのかね?まあ、僕もないけど。
いやあ、強いわトキ国。色々情報集めているけど、推定だがトヨマ国に総兵力10000で侵攻中ぽい。自国の守備兵は少なくとも5000はいるみたいだ。まあウチとの国境付近の小国には留守番命令出して、他の小国らに兵隊出させているんだろう。仮に30国あったとしたら5~6国留守番で25国が300兵隊出せば7500。直轄兵2500で良いものな。総兵力2万は堅いかも。トヨマ国とか敗戦国だから強制徴収で弾除けに使ってくればさらに5.6千。
問題はそこに全力で当たれないこと。クマソ国がいる。鹿児島全域と熊本宮崎の半分。弱いわけがない。だいたいもう鹿児島ってだけで戦闘民族臭がプンプンだ。
あの辺はヤバイ奴しかいないイメージがある。鬼島津とか鬼島津とか、あと鬼島津とか。あ、鬼島津もいるわ。
馬、欲しいな。鐙を使えば短期間でもある程度騎兵ができる。100でもいや50でも良い。戦いは機動力だぜ、アニキ。
今のところトキ国に騎兵の話は聞かない。
そりゃいくら港を抑えてても生き物をまとまった数輸送する船がない。
できるんです。ヤマタイ国ならね。
「相国様。よろしいですか?」ナナコの声がした。
「どうぞ」引き戸がスーと開く。
「有明の港より戦艦マナ、交易艦ユカ。完成の報告が入りました」
よっしゃ!間に合った!
「すぐに向かいます。ナナコも準備を。あと日巫女様にも報告を。すぐにヤマトに使者を出してください」
完成間近と聞いたからわざわざ先月からヤメ郡の西市(未来の柳川市)に滞在していたのだ。
トヨマ国、もう少し粘れ。




