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Starting Over in邪馬台国 ~卑弥呼システム~  作者: 暇人と黒猫


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第33話 ヤマタイ国とトキ幕府

日神暦189年1月


年が明けた。僕もマナもひとつ歳を重ねた。マナは19歳。前世の寿命を2年も超えた。

マナは正月行事の年明け宣言で、現在戦時下であることを国中に告げた。

日神様との約束を反故し、トヨマ国がウサ国に攻めていること。また、それに便乗しトキ国がトヨマ国に侵攻したことを告げ、我が国も備えなければならないと宣言したのだ。


そう。昨年12月にトキ国が動いた。

トヨマ国の進軍にウサ国はかなり追い詰められていた。戦争難民がかなり流れてきた。亡国寸前だ。

そこにトキ国が「トヨマ国の侵攻は日神様への反逆であり、これを討伐する」を大義に掲げトヨマ国に侵攻したのだ。

しかもその際に聞き捨てならない言葉もあった。

「ソウマ国で日神様の神兵を助け、今、トヨマ国に天誅を下すトキ国こそが日神様の忠臣筆頭である」


もう明らかに九州統一を狙ってやがる。

トヨマ国を倒し、潰れかけのウサ国を「救済」すると進駐し、吸収するつもりだろう。野心がダダ漏れだ。

だからこちらも遠慮なしに戦時下宣言を出した。

トキ国への名目上は「北は任せた。真の日神様筆頭御使いは日神様を無視しているクマソ国に当たる。さて準備準備」だ。


もちろん両国共に腹の中は分かっている。

互いにただの「大義名分」だ。


トキ国の狙いは北のトヨマ国、ウサ国、ナカト国を全て領有し、ヤマトをクマソ国と挟み込むだろう。激マズサンドウィッチだ。ヤマトがクマソに侵攻すれば北が手薄。逆にクマソがヤマトに侵攻しても北が手薄。何ならトキ国とクマソ国が組んで挟み撃ちもできる。クマソ国はヤマトとは組まない。メリットがない。北側を完全にヤマトに蓋をされているのだ。組んだらもう領土が広がらない。そもそもクマソから「組もう」と言われたって無理だ。対トキ国戦略で組めば、領内をクマソ軍が通る。黙って通るわけがない。ヤマトクマソ同盟は愚策だ。

クマソ国も賢いから静観中。北で勝手に揉めてるうちに国力を蓄え、トキ国がヤマトに攻め込むのを座して待てば良いのだ。


だからとここで無駄に足掻くと単に国力の浪費なだけ。はっきり言って「盤上では詰んでいる」のだ。飛車が自陣に迫る中、ずっと角が狙っている。

しかし「盤上では」だ。詰め将棋をしているつもりがこちらの駒はチェスだった。そんな国家がマナ日巫女率いる我々だ。

ウチの親分に定石だ常識だが通じると思っていたら大間違いだ。オマエらに僕は読めても、マナは読めない。


そう。マナは読めない。


マナは正月の宣言で相談もなく、もう一つ大きな宣言をした。

「本日より、ヤメ、クマモト、ミヤザキの三郡を除いたヤマト本領を『ヤマト郡』とし、そして全ての郡を等しく我が国とし、その国名を『ヤマタイ国』とする!」


突然の建国宣言だった。


しかし「邪馬台国」が正式名称としてここに誕生したのだ。




正月行事の後は恒例と化した祈祷所のトップ会談だ。


「驚いた。まさかのヤマタイ国」


「もともとはヤマタイだって中国の当て字でしょ?だから本当の国名も不明みたいな話じゃないですか。もうね、邪馬台国=謎みたいな要素は全部排除してやろうと思いまして。もういっそのこと正式名称もヤマタイ国にしちゃえと」マナがクスクス笑う。


「ユカさんの邪馬台国もヤマトだったのかな?」


「どうなんでしょうね?毎回名前が違ったとかもありそうです」


「確かに。場所も違うくらいだしね」


「ねえねえ、トウリ君。多分だけどさ、私が思うに今のトキ国ってユカが佐賀で邪馬台国やってた時の邪馬台国ぽいポジションだと思うんですよね」


「なるほど。確かに。佐賀からスタートの壱岐対馬、博多を抑えて輸入品を独占。海外貿易を抑えて小さな小国を従わせる。確かにイージーモードだ」


多分ユカは太宰府辺りに遷都したんじゃないかな?日本史でずっと重要拠点にされてきたけど、納得の場所だもんな。


「つまりですよ?敵は仮想ユカ邪馬台国です」マナがニヤッと笑う。


「それ、嬉しいの?」


「え、だって本物のユカが相手なら嫌ですけど、ユカの作った邪馬台国のシミュレーターみたいな相手ですよ?仮想先代邪馬台国です。勝ったら私たち先代超えです!」


「そう...なるのかな?なるか?」

ん?待て。待て待て待て!先代邪馬台国、今のトキ国...。なるほど。あながち外してないかもしれない。


「どうしました?」


「ユカ版魏志倭人伝。沢山国が出てくるよね?不思議だったんだ。なぜユカさんは統一してないのか。最初はコッチみたいな感じかなって思っていたけど、コッチは日巫女は立ててはいるけど、服従はしてなかった。でもユカさんのとこは服従していた。そして30位の小さな国。なんでそんな小国ばかりが乱立しているんだ?それが不思議だった」


「ん~、確か、に?」


「今不思議なことがある。色々な知識を駆使して三郡を開発してるだろ?他所に手が回らない。でもトキ国は僕らより後にソウマ国を占領して、もうトヨマ国に侵攻している。多分トヨマ国もトキ国はすぐには動けないって思ってウサ国に攻めたはずだ。だが動いた」


「元々統治形態が似てるからじゃないですか?ウチは特殊だから」


「それもあるだろう。でも前のユカさんも多分同じ統治方法を取ったんじゃないかな?と思う。だから小国ばかりだったんだな。そっちで行ったんだ、ユカさん」


「どんな統治方法を?」


「幕府」


「江戸幕府的な?」


「そう。多分トキ国は前の大乱の時から攻め取った土地を分譲して家臣にやってたんだよ。で、自分で治めなさいって。各自がそれぞれにルールを作り、税率を決め、統治する。あまりにひどかったらお取り潰しだ。全部勝手にやらせる。で、定期的に税を本拠に運ばせる。戦になれば各国から石高に応じた数の兵を出させる。自国の兵は各自自国の指揮官が指揮を執る。小さな国だから統治も難しくない。隣の国と足並みそろえる必要ないし、やり方も違う。下手なやり方なら潰れるだけ。また違う家臣を送るなり、近隣で分け合うなり、直轄するなりすればいい」


「皆が協力して反乱起こしたり独立したりしないの?」


「隣は言わばライバルだからね、下手に反乱なんて持ちかけたら、チクられて領地没収の死刑。チクった人がその領地を貰えるかも。独立したとこで小さな国。秒で潰される。そして主要な場所は直轄領にする。対馬、壱岐、博多」


「凄いですね。ユカはそんな感じだったんだ!将軍様だ。暴れん坊将軍!」


「問題は、ユカさんはともかくとして、この時代に江戸幕府の仕組みを作った化け物がいるってことだね...」

港があるから漢から学んだ可能性も高い。

だとすれば、敵は漢の兵法も学んでいる可能性大だ。


天才軍師VSネジの外れた女子高生&ただの平凡なオッサン。


この時代はまだ孔明が登場してないから連弩はない...と思いたい。少なくとも弩はありそうだ。たぶん威力はウチのクロスボウの方が上だろうけど。


ただトキ国とヤル時は「未来の記憶を持ち、かつ5回国づくりを経験している」ユカと近いレベルの敵だと思った方が良い。




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