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Starting Over in邪馬台国 ~卑弥呼システム~  作者: 暇人と黒猫


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第17話 国土と周辺の情勢と西暦

4日目。再び祈祷所。

僕は一度くらいは家に帰れるのだろうか?


「おはよう御座います。結局ここに泊まってました」


「御飯、どうしてるの?」


「下まで持ってきてもらいます。昇降機があったでしょ?井戸の横」

いや、知らないよ。てか昇降機。まあ井戸の釣瓶と同じ仕組みだろうけど。


「君ってわりと暴君な独裁者気質だね」


「失礼な!打ち首にしますよ!」マナが笑う。


「でも生まれた時から日巫女様日巫女様でしょ?最初は息苦しかったけど、逆にもういいやってなりまして。開き直って遠慮なく好き勝手にワガママ女王日巫女様してますよ。ほら、権力者ってロクでもない人多いじゃないですか?アレ、理由わかりました。子どもの頃からこんなにもチヤホヤされて畏れいられてたら勘違いクソ野郎にそりゃなりますよ」


「一理あるね」僕は笑う。そしてすぐに真顔に戻りマナに言う。


「今日はまずこの国の現状を知りたいんだ。いつも話が逸れて長くなるからね、今日はちょっと真面目にいこう」


「わかりました。了解です」

マナは背筋を伸ばし、姿勢良く真顔になる。


「まず1番基本だけど、このクニの名前だね?やはりヤマタイなの?」


「いえ、正式にはヤマトです。なんか宇宙戦艦みたいですよね」


ツッコまない。いつもそれから話が逸れて長くなるから。しかし、ヤマト。ちょっと予想もあったけど、ヤマト政権とやはり関係あるのか?


「邪馬台国は中国の当て字だからね。ヤマト。なるほど。で、ヤマト国の領土はどれくらい?」


「細かくは決まってないんじゃないかなあ?でもヤマト自体はそんなに大きくないですよ。元々いくつかのクニで争ってて、とりあえず合併したんですけど、一応それぞれのクニにそれぞれ王がいますから、純粋なヤマト国は小さいんです」


「大雑把で良いから、その辺を教えてくれる?」


「あ、ハイ。ややこしいから地名は未来で良いですか?私、転生先が北部九州でも近畿でも良いようにバッチリです」


そういうとマナは一旦プライベート部屋に入り、何枚かの紙と筆、墨を持ってきた。


紙に簡単に西日本の形を書く。


「まずヤマト国がたぶんこの辺り。ここが福岡の朝倉市の辺りですね」


マナが墨で楕円を書いて、朝倉市辺りに点を打った。大雑把な図と囲いだが、南は朝倉市、東は大分の山の方にかかっていて西は鳥栖辺りか?


マナがさらに書き足していく。


「これが筑後川で、ここが博多、糸島、対馬、小倉、下関、久留米、唐津、豊前、別府...」点が増えていき、それぞれの点をまた円で囲う。


ある程度掴めた。思った以上に支配領域は広い。北は山口県の西部⅓くらい、西は佐賀に長崎。南は熊本、宮崎の阿蘇山よりも南側まで納めている。これでいくと高千穂は領内かな?


ただ問題点は完全に地方分権だ。各地をまたそれぞれの王が統治している。地方分権と言うより複数国家の集合体だな。そして九州の南。鹿児島と熊本宮崎の南側。ここは所謂「仮想敵国家」だ。


ユカ版魏志倭人伝で「卑弥弓呼」とかいう取って付けたような名前の王が治める「狗奴国」って言うのがこれに当たるんだろうな。


「ここは狗奴国ってやつかな?」


「それに当たるんだろうなとは思います。邪馬台国の南にある敵国だったら当てはまるのは鹿児島ですもんね。今の正式名称は確か『クマソ国』です。時々こちらの南側の集落を少数で襲うこともあるみたいですが、国同士で戦争状態ってことはないですね、今のとこ」


「クマソかよ。日本武尊も出てくるんじゃないだろうな...」なんかヤマト政権が絡んでくるな。


「私も、トウリ君が『タケル』って名前で転生してきてて、ヤマトタケルになるのかなあってちょっと予想もしましたが...」


女装して暗殺するの?ヤダよ。


「違ったみたいですね、佐藤君じゃなくて松坂君でした」

ツッコまない。話がまた長くなる。


「で、北は北で大国があると?」


「らしいです。ほらアッチは出雲大社の方でしょ?この時代だと島根って強そうじゃないです?その辺絡みの国じゃないかなって個人的には。詳しい情報はないです」


「出雲地方に奈良京都。確かにアッチはアッチで栄えてるかもね。ユカさんは近畿でも邪馬台国作ったんだよね?」


「はい。九州との違いは詳しくは聞いてないけど。ハードモードだったって言うから強敵がいたりしたのかもですね」

なるほど。案外近畿でも九州は大陸近くて強国がありそうだなって考えてるかもな。「あ、ちなみに近畿地方の地名とかも予習していたんですけど、偶然にしてはわりと共通する地名が多いんですよね、コッチと。これってユカの影響だったりするのかなあ?」

ほう。そういうのがあるんだ。なんか関係しているのかな。


「とにかく地理的な現状はわかった。で、人口とかはさすがにわからないかな?」


「全体はわかりません。でもヤマト国だけなら大凡の数わかりますよ」


「凄い!マジで?」


「だってトウリ君をいち早く迎えるために該当しそうな子ども記録していたって言ったじゃないですか?そのついでに各集落の長に集落の人間の名簿や家族関係。出生死亡の届けを定期的にさせてたんですよ。長は口頭だから抜けがあるかもだけど」

あ、無邪気に戸籍作ってるこの子。


「僕の集落は比較的まだ近くだけど、遠い集落は大変だったろうね」


「私もそれくらい考えますよ~。だから所々に役所の出張所みたいなの作ったんです。ひと月交代でここから人送ってますよ。交代時にそういう記録と貢ぎ物を持って帰ってもらってます。なんせ公務員が多いから。何をするにも数の暴力が最強ですね」


「知らなかった」


「トウリ君ちは近いから。1日2日程度で来られる範囲には作ってませんもん」


「なるほど」所詮僕の本体は10歳児。集落から出たことがない。


「ちなみに確か、今のヤマト国の人口はおよそ1万2千人です」


「思ったよりいるね」


「私は思ったより少ないなと。だってそのうち2千人が役所勤めですよ?総人口の⅙が私個人の身の回りです。ヤバイですよ」


「そう考えると確かに。しかしヤマト国で1.2万。ヤマト国合わせて八つの国の集合体だから全体で10万はいるのか?でも大小あるし、平野部の広さとかも考えて、推定総人口7~8万ってとこかな」


この時代の日本の総人口ってどれくらいなんだろう?クマソも規模的に3~5万はいるだろうし。九州と山口の一部だけで10万人~12万人。日本列島で6~70万?多めに見ても100万弱くらいか。


同時代の中国。三国時代前の後漢。三國志好きだったから色々読んだけど、確か5.6千万人いた人口が戦乱で1千5百万くらいまで減ったとかなんとか。違うなあ、規模。


というか今って西暦何年なんだろ?魏志倭人伝で卑弥呼は高齢みたいに書いてただろ。あれが西暦238年の記録。この時代で高齢っていうくらいだから60~70?でもアレには倭人は100歳くらいまで生きるとか。あの辺もデタラメ?100歳ってのはとにかく長寿が多いよって比喩?


今のマナが14歳。単純に60年後が74歳。それで推測すれば今175~180年?いや、倭国大乱は終わっているはずだ。では180~190年くらいか。


「もしも~し」


「ああ、ごめん。ちょっと考えてた。ねえ、ちなみに今が西暦何年かわかる?」



「全然。中国からきた人に聞いてもわかりませんでした。てか西暦って何?でしたけどね」

そりゃそうだ。ちょこちょこポンコツだなあ、ウチの親分。


「それこそ最近来日した中国人と話したら、中国では今『中平』って元号?なんですって。なんか中国では凄い宗教一揆みたいなのが起きて大変で、皇帝が験担ぎに元号変えたって。もう滅茶苦茶暴れてるからわざわざコッチに避難してきたそうですよ。中国語できる女官のモモキが言ってました。あの子ホント勉強熱心で、海外の人と良く話すんですよ。語学留学とかさせてあげたいなあ...。あ、でも今の中国は危ないのか...」

待て待て待て待て。これはツッコむぞ。


「黄巾の乱」


「ああ、習いましたソレ。そっかそれなんだ、今の中国のヤバイ宗教一揆って」


「気付けよ」


「だって世界史と日本史って別教科ですもん。別々に習うから時代が同じとはピンと来ませんって」

三國志好きだったから良かった。そして語学に熱心な女官のモモキさん、グッジョブ。おかげで今の西暦がわかったぞ。


黄巾の乱が起きた。


今は西暦184年の季節的に末近くだ。


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