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30・領主とタカムラくん

 旧皇帝が自主流刑になっていた離れ小島に行き、領主は紫色の魔水でだいたい領主の2倍ぐらい大きくなった旧皇帝と話をした。


 魔水を飲んでると、世界がどんどん小さくなるるのよ、と旧皇帝は言うけど、それは単に接種している者が大きくなるだけである。


 宇宙は膨張してる、という理論は知ってるか、というのが旧皇帝の説ではある。


 つまり、膨張してる宇宙では、みんな膨張してる、つまり大きくなってるから、膨張しているかどうかはわからない。


 みんなが自動車で逆走していたら、逆走が正しくなるという理論みたいなものか、と領主は思った。


 あ、そうそう、本土に帰るときにはタカムラくんを連れていってくれないかな、と旧皇帝は言った。


 タカムラですか、と領主が聞き返したのに対し、違うよ、タカムラくん、と旧皇帝は訂正した。


 生意気なもんだから戦時中に島流しにしたんだけど、もうとっくに現皇帝から帰って来てほしいという依頼があってさ。


 この大きさじゃ、そのまま帝都に返せないでしょ、あんたの領地で面倒みてよ、ここの水飲むのやめたら多分元に戻ると思うんだよね、と旧皇帝は楽観的に言った。


 タカムラくんは、領主の4倍ぐらいの大きさだった。

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