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不思議の国の星が煌めくその夜に  作者: 黒猫
第二章 涙の池
31/37

26頁:Lost child and wells and rain

翻訳、『井戸と雨と迷子』




ざぁ……


 静かな雨音が耳に響く。あったかい紅茶を、少しすする。

猫舌ですからね、舌が火傷するかと思いました。しかし紅茶は暖かい方が美味いと思う。アイスティーも良いのですがね。


ぺら…す……


 手元にある本を捲り、目を横から横へと。そして稀に紅茶を啜る。


「……いい天気ですね。」


 僕は不意に窓を見る。ぴったりと窓にくっつく雨のしずく。なんだか、それさえも雨の日には愛おしく思える。

変な気分ですが…最高に良い気分でもあるですね。紅茶を飲みながら本を読むなんて…至福の幸せで、嬉しくて……そんな感じです。

 僕は口元が緩むのが分かった。

いいもんですね~……絶対に邪魔されたくない至福の一時、とはまさにこの時です。


「ふあぁぁ……はぁ…」



 しとしと、雨が降っているのを横目で見る。

なんだか眠くなってきたです。……少し寝ましょうか…、ふわぁ……はぁ……。

 目に溜まった涙を拭う。紅茶を飲み干し、それから本に白と黒の至ってシンプルなデザインの栞を挟み、机に置く。僕はふらふらとした足取りで、ベットへと倒れこむ。

僕……どうやら…疲れてしまっていたようです……。


「おやすみ……ぐう………すう……」



❅…†…❅



そして門番では


「お帰り下さいませ、招かれざる客よ。」

「お嬢様は只今休息をとっております。もしも邪魔でもしたら……私たちの命が危ないのでございます。どうかお引き取り下さい。せめて日を改めて下さい。」

「うぅ……」


金髪に黒い瞳の少女、ツンベルギア・クロノがいた。

そしてそれに困ったように耐用するメイドたち。ちなみに門番は隅っこで寝ている。


「困っちゃうのは私なんです! ラトさんにとても重要な話が…!」

「私達の命も大事。帰りやがって下さい。」

「…………じゃあ、こう伝えておいて下さい。あともう少しで、ドードー鳥と小さなビルが来ますので、準備をして下さい、とね。」

「…わっつ?」

「お願いしましたよ!」


そうして彼女は長い金髪の髪を揺らして爽快と去って行く。


「どーど鳥? 小さなビルは……主が嫌うやつでしたね。」

「……あいつ、未来予知の能力持っていたみたいだ。」

「は? なにそれ!? 主に上げてたら多分喜んでくれたのにな…」

「…はあ…」


そんな彼女の友を見て、彼女はこう思った。

(私たち、ご主人様色に塗りつぶされていっているな。主に依存、してきたのかも。気をつけなくちゃ。初々しいのが一番。)



❅…†…❅



「ふあっ……にゃ……おはよ、ございます……」


 僕は目を擦る。

と、今は……一時間近く眠っていたようですね……お散歩でもしましょうかね。

 僕はベットからおりて、う~んと伸びをする。


「………!」


 物凄く、不穏な感じがした。

………あーと…そろそろ、怪異街(カイイガイ)に行く時期なのですかね。もしくは、女王様のところへ向かうか、ですね。


「さようなら、ですね。」


 誰もいない部屋で一人、そう呟いた。そして出て行く・・・・ための準備に取り掛かる。至って持っていきたいものは無い。

ある程度の服と気に入っている本と鍵と……ウサギと猫のぬいぐるみだけですからね。


「ん………ま、これも運命です、ね。」


 服と本、鍵でいっぱいになった鞄を閉じる。それから、何も付けていない頭に白いリボンの巻かれた、黒い中折れ帽を被る。そしてその場で一回くるりと回る。ふわ、と長い黒のスカートが揺れる。


「さて、些か自分勝手な世界最高(セカイサイコウ)最悪悪夢的(サイアクアクムテキ)な旅の始まりだ。」


 開いていたベット越しの窓に足をかけ、そのまま体を前に出す。

もちろん、僕は156階から落ちて行くことになるのだが……怖い。物凄く、怖い。ま、まあ!? 平気ですけど?! 飛べますし!? 平気なんですけど!!?

 と、そんな感じに軽くぱにっく状態になりながらも、翼を羽ばたかせる。


落ちる寸前だと流石に危ないからね。この前は27階ですから何とか平気でしたけど……流石に最上階から落ちるとなると…ね? それと何気に酸素が薄いし。

 そしてやっと、地面に足が付けたときは少し足が震えていたが気の所為だ。そして井戸を覗き込む。


ここはですね……瞬間移動の場所なのだ! これ全部で約5個、この世界に有ってですね、その一つが何故かここの場所に2つあるんですよね。ひとつが生垣の下の大きな巣穴なんですよね。


そしてもう一つが今僕が覗き込んでいる井戸です。行きたい所へと連れて行ってくれる魔法そのものを具現化した感じの場所なのですよー。便利ですね、お得ですね。ひゃふうーですよね。


……しかしこれ、二つほど、欠点があってですね……えと…何と言うかね……一つが一回入ったらデスネ……戻れません。そう、戻れないのですよ。ですからもう2度と絶対に戻れなくなるようなところへと言ってしまうとね……うん、自滅ね。自滅なんですよね。うん。


そしてもう一つ…これが物凄い鬼畜。井戸の気分によって、稀に、全く別の場所へと送り出されます。井戸の気分が最高に悪かったら……怪異街の近くにほっぽり出されます。気を付けましょう。多分あれですよね『入ってくんじゃねーよ!!』的な感じですね?


まあ、井戸の気分がそこそこ悪かったら、よく分からないキノコの森へとほっぽり出されます。一回そこにほっぽりだされた事があってですね…その時はキノコ狩りをしました。キノコ、嫌いです。大嫌いです。なんかぬるぬるしているんですよね。好きじゃないです。


本当、この井戸ふぁっきゅーですよ。そういう意味ならね、本来は生け垣のほうが適しているのですよ。ですがね、今生け垣使えない。何故だかわかります? あの生け垣もかなり気まぐれなやつでしてね、稀にしか通れません。


シロさんの時はぶっちゃけ、『あっ、使えんじゃーんっ! こっちつかおー』的な? 的なノリでしてー……うん。もうね、だからね、井戸使うしかないのですよ。生け垣今使えないのでね。


だから現実逃避に今こうして、誰に説明してんだヨ的な? 感じに話しているのです。うん、そろそろ行きますかね。


「ていっ…!」


 僕は意を決してぴょんっ、と井戸の中へ|と入る(飛び込む)。


「……いい気分であるように……」


 誰に言うまでも無く、一人、井戸の中で呟く。

だってー……ね? 怖いじゃないですか。

 暫くの間トンネルのようにまっすぐ進んでいたのですが、急にすとーんと下へと落ちて行きました。


「うおっと…」


 気を付けようと思う暇もなく、気が付いたら落ちていた。そう、まさに急降下。速い。そう、堕ちる速度が速いのです。


「なんでさぁぁぁぁぁああああっ!!!!」


この井戸ね、落ちるの。落ちるのは分かっています。

そして落ちる時の速度で井戸の気分が分かるのです。ゆっくりだと気分が良い。急降下は……最高に気分が悪い。もうやだ。この井戸まじふぁっきゅーね。……やっちゃいましたね。ああああ……怪異街のちかくぅ……もういやです。


「!!」


着地の準備!

 右足を軽く後ろへまげて、左足をまっすぐ地面へと………


「あ」


 僕は下にあるものをみて…大きくこういった。なぜなら


「あぶなぁぁぁあぃぃいいいっっ!!!!」




 下に人がいたのだった……




……不思議の国のアリスって、いいですね。

なんか、ジョン・テニエルさんのアリスの挿絵を見ると、アリスかわええってなるんですよね。なんでしょうかね、昔はそんなことなかったのに。

今はなんか愛おしい。不思議不思議…っは!?

これぞまさに不思議の国のアリスですね!


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