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不思議の国の星が煌めくその夜に  作者: 黒猫
第一章 兎の穴に落ちて………
21/37

16頁:Get Off of My Cloud

…多く、ネタバレが含まれてると言うか……

この物語が始まる原初のお話、と言う感じですかね?



―――彼女は、いつも其処にいた。


―――ただ、ひたすらに立ち尽くしていた。



渇いた心を疼かせながら、無価値で無意味な自分を責めながら、何も出来ない自分を、自分自身の手で締めながら。

恩義も返せず、生贄にもなり得ぬこの身で、何が出来るのだろう。


あぁ、悔しい、口惜しい。

最後まで、何も出来ないまま、この身を差し出すことさえできない。

脆弱な、この身。



思い出されるのは、いつかのこと



君は…手を引いてくれた

名前をくれた

言葉を教えてくれて

技をならって

手合わせして

力をくれて

存在をくれて

話をして

笑って

泣いて

怒って

呆れて


君がいたから生きてこれた

君がいたから死なずにいた

君がいたから力をつけて

君がいたから憧れて

君がいたから無力を感じ

君がいたからここまでこれたんだ

それが例え、偽りだとしても



ソシテモウダレモイナイ



消えて行く。すべて、時間だけが過ぎて行き、誰もいなくなって…壊れた歯車は元に戻らない。


そうして眠りについた。

その少女の傍にいたのは…はちみつ色の髪をした少女(少年)


「消えないでよっ…消えないでっ…!」


その姿はまるで自分を責めるかのよう…。


「他の物を失っても良いっ…! だからどうかっ…! 生きてよ…」


その声に返答は無く、ただ無慈悲に時間が過ぎて行く。


「ごめん…何も出来なくてっ…痛みを分かち合う事すらできないなんて…|あたし(俺)はっ…」


握り閉めた手と指は悲しいくらい冷たい。

眠りについたその顔はとても、悲しそうに、幸せそうに、微笑みながら眠っている


傍に寄るのは赤毛の少年。


「…泣くなよ。泣いたってこの状況が何か変わるわけでもない。だから立ち上がれ。オレ()達でなきゃ救えないんだ。」

「わかってる…わかってるよ…」

「『不思議の国のアリス』の登場人物を集めてさ、今度こそ、今度こそは助けよう。今回はオレ()達だけだったから、無理だったんだ、」

「ヘタレのくせに…」

「はぁ………今度こそは、彼女を助ける。それはお前も思ってるだろ?

 ――――――――――――――…アリス」

「バカ、あたり前でしょ。」

「ああ…くそったれな人生だけどよ、何か変えてみれば良い。ちっぽけな事でもいいんだ。」

「そうね、ジョン・テニエル、アリス・リデル………ルイス・キャロル…シロウサギ、ドードー鳥、小さなビル、青虫、侯爵夫人、料理人、チェシャ猫、帽子屋、三月ウサギ、ネムリネズミ、その他諸々、よんで、今度こそは救う。絶対に、よ。」

「ああ…こんな絵空事の様な色褪せた世界に、色を付けてやろう。」


そう彼は言うと、この世界の景色が滲み、色が消え、果てには景色は無くなり、真っ白な世界に三人はいた。


小さく、眠りについた彼女の口から、言葉が紡がれた。


「さようなら―――――…」

「「!!」」


そして二人の体が泡のように消えて行く…。


♥♧♦♤


「ん…ここはっ…」

「おはよう。どうしたの?アリス。」

「おはよ、姉さん。」

「夢を見たのなら聞かせてくれるかしら?」

「夢…………雪……?」


雪…どこかで、聞いた事が有るな……すの、う……?


「…スノウ…スノウはっ…?!」


気付いたら、誰かを呼んでいた。


「スノウ? 誰なの?」

「スノウっ…!」


分からない。大切な人の名前だったはずなのに…!

…彼女の姿が思い出せない…! 人、人…違うっ…!

彼女は……


「アリス、大丈夫?」

「……っ…あぁっ……!」


思い出せない…

彼女の名前を呟くけれど、思い出せない…

心に微かに残っている、夢の残像。


「??」

「…姉さん。」

「なあに?」

「夢を見た。」

「夢…?」

「夢を見たんだ…とても長い、夢を見た。」

「そう? どんなの?」

「……儚くて…綺麗で…悲しくて…不思議な…夢…」


大雑把に言う。

けれどそれが、あの長い、物語なんだ。


「なにそれ!? 私気になるわ! 詳しく教えてくれる?」

「うん……」


必ず助ける。

この気持ちは変わらない…



†❅†



淡く、雪のように白い黒束装の少女は、薄く眼を開ける。


「ありがと、う……そし、て…さよう、なら…アリスさん…ジンさん……嘘ついて、ごめ、ん……」


彼女は力を振り絞って小さくつぶやき、どこからか黄金色をした銃を取り出す。


「―――天のっ…狭間よりっ…っ白き創造の神は、君の名に…誓うっ…

我が命の世界は、彼の者にっ…。罪を、裁こうっ…罪有る者には罰をっ…

我っ…世界の行く末に、…神と人と世界の果てを見るっ…!」


詠唱が終わる。後は念じるだけ。

僕の声は、遠く。

もう聞こえないかも知れないだろう。

それでも、なお僕は願い続ける。

君の幸せを――――。

また会おう。


「さようなら―――――こほっ…」


告げよう。


『君の名を。さあ、名を遺せ。』

『この記憶と共に。昼下がりの冷たい雨。』

『護りたくて護れなかったもの。』

『失いたくないから喪う事に意味がある。』

『今一度、描いて見せよう。』


『曰く、氷の雨が降る…』


あの日のような冷たい雨が降る。

鮮紅の血。

失ってしまう感覚。


『告げる。鮮紅の血と共に。』

『さあ、描け、少女の為の物語を、今一度』


そして…空に向かって引き金を引く。

瞬間――――――

振っていた雨が雪に変わり、周りが白の花の丘に代わる。

そうして幸せそうに、眠るその少女は何を願うのでしょう。



一人ぼっちの世界。



翼が、彼女を守るように、包み込んだ。


…そうして、物語は始まった。

いつしかの一人ぼっちの世界の記録…








と言う感じですかね?

『Get Off of My Cloud』は翻訳すると、『一人ぼっちの世界」です。

Google翻訳最高です……なんちゃって。


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