7話 魔王ディリ
俺は今、森の最深部を歩いている。
今まであった凶暴化した動物も俺にとってはそこまで強くはなかった。
だから俺は猛スピードで森を走りながら殺していたら気づいたら最深部についていた。
ただ、最深部の凶暴化した動物と言ってもそこまで強いわけでもない。
そもそもそいつらが攻撃する前に殺してしまうので比較もできなかった。
今も俺は猛スピードで走っている。
森の最深部もある程度走ったとは思うのだがなかなか山の手前にある平野が見えない。
ただ動物が減ってきている。
だからそろそろ森を抜けるのだろう。
見えた!
一本の大きな木を通り過ぎると木々で覆われて見えなかった大きな山が見えるようになってきた。
そして森の木々が少しずつ無くなっていく。
走っている森は少しずつ傾斜し始めている。
最後の一本の木を通りすぎようとした瞬間。
俺は立ち止まった。
これは名前しか知られていない神話の話。
この世界には魔王と帝王、神帝と呼ばれる者が複数いる。
これらの違いは階級だ。
はじめに巨大な進化を起こしたものは魔王になる。
そして魔王の中でさらなる進化を果たしたものが帝王になりそこからさらに進化すると神帝となる。
どれも狭き門だ。
現在、神帝は6人存在する。
その他にも進化によっていろいろな階級があるが最も有名なのはこの3つだ。
悪いやつからいいやつまでとにかく強ければこの魔王、帝王、神帝にはなれる。
そしてその魔王の中の一人、ディリ・タリバンが闇の森の地下にある洞窟に住んでいる。
「クソぉ」
バリィン
ディリは怒こり気味にワインの入ったクラスを地面に投げつける。
割れたグラスの破片が地面に広がる前に誰かがすべての破片を回収した。
「おお」
「さすが準魔王のサイモン様ですね」
「だまれ」
「今は魔王ディリ様がお怒りになっている」
「次喋ったらころすぞ」
「もっ、申し訳ございません」
こいつの名前は魔王ディリの弟子、準魔王のサイモンだ。
基本的に魔王以上、人間、人間以外の国の貴族以外に名字という概念は存在しない。
名字とは富や権力、力の象徴だからだ。
「ちっ、ちなみにディリ様何故お怒りになっているのでしょうかぁ」
サイモンはさっきの声からは想像できないほどのほそぼそとした声でディリに話しかける。
「闇の森で異変が起きている」
その話を聞いた瞬間、ディリの配下やサイモンはあまりにも驚いた表情をした。
「まさかあの闇の森ですよね」
「我々がいる地下の上にあるあの闇の森のことをおっしゃっているのですか」
「それ以外にどこがあるというんかっ!」
「とてもマニアックですけど北部に2つ南部に4つ東部に1つそう言われてる森もありますね」
「だまれぇー」
サイモンが配下に怒鳴りつける。
「ディリ様になんて無礼なことを...」
「もっ、申し訳ございません」
配下は怖くて動けなくなったのか直立不動になっていた。
闇の森はディリの魔力によって作られている。
そのためその上にある森にいる動物や植物、昆虫は大量の魔素を浴びることにより巨大化、凶暴化、暴走してしまうのだ。
つまり闇の森はディリのものと言っても過言でもない。
その管理者であるディリ自身が闇の森に異常が起きていると言っているのだ。
周りが混乱するのも間違いない。
「サイモン」
「様子を見てきてくれ」
ディリは真面目な顔で言っていた。
「えっ」
サイモンは少し混乱していた。
「わっ、私ですか?」
サイモンは自分が出るほどの問題ではないと思っているそうだ。
「私じゃなくても大丈夫ではありまs」
「いや」
ディリの顔には迷いがなかった。
「私の命令だ」
ディリの顔は急にこわばった。
その顔を見たサイモンはすぐに顔色をにこやかにする。
「わかりました」
「見てまいります」
サイモンは心のなかでは多少の不満をいだいていたがその気持ちをうまく表情に出さず闇の森へ向かっていった。
「なんで俺様にこんなしょうもないことをやらせるんだ」
サイモンは洞窟を出た瞬間不満を漏らしていた。
サイモンはとにかく自己肯定感が高い。
自分の思い通りに行かなかったことがあるとすぐ相手のせいにする典型的なクソ野郎だ。
「洞窟深すぎるんだよ」
サイモンは洞窟を抜け平野と闇の森の裂け目から出てきた。
そこで一人のエルフと目があった。




