白いトラっち回顧録
私は世界を征服しようとしている。なぜこのようなことをしようとしたのか、書き記すことはとても有益であり意味のある行為であると考えたため、これを書き記す。
私はただのトラだった。私の特徴である毛の色が白いということを除けば普通のトラである。そんな私がなぜ今回の様な計画を立てるに至るのか。それは、ただの偶然のようにも思われる。ある意味では必然のことでもある。私の日々の積み重ねが世界を統一するということを決心させたのだ。
私はかつて、動物園で見世物のように扱われていたことがある。私はとても卑しい生まれだったのだ。その中では虚偽や見栄が横溢し醜い世界であった。私は逃げ出した。あてもなしに、とにかく逃げるしかなかった。逃げた私は危険動物として手配書に載った。私はボロい船を奪って海に出た。同士の茶色いトラっちとともに。海は青く輝いていた。私にはそれが自由の象徴であった。大海原の果てに楽園を築くことを夢想した。
自由だと思っていた、海の上での生活は地獄だった。陸地はどこまで行けど見えてはこなかった。我々は飢えていた。動物園では経験したことのない、生きることに対する本物の危機感があった。嵐にもあった。とにかくのどが渇いた。それでも、陸地は見えてこなかった。
海の中の魚を捕ろうとしたこともあった。でも、我々はカナヅチだった。魚はすばしっこくて、くたびれた我々には手に負えなかった。陸地は何日経っても見えてはこなかった。あのときは本当に死を覚悟した。
私はとにかく腹が減った。あんなに凄まじい食欲を感じたことは、私の生涯でも海を彷徨っている間だけだった。私は相棒の茶色いトラっちを食べることを考えるようになっていた。茶色いトラっちはいつも大人しくあてのない船旅に協力してくれていたというのに。
私たちは交代で船の番をしていた。私が船のルートを確かめながら航海しているとき、茶色いトラっちは寝ていた。私は茶色いトラっちの寝込みを襲って食べようとしていたのだ。私には罪悪感があった。しかし
、食欲の前に罪悪感はほとんど消え失せていた。
私は茶色いトラっちが眠りにつくと、忍び寄った。私は茶色いトラっちの尻尾に噛みつき、引きちぎった。私は茶色いトラっちの尻尾から食べることにしていた。尻尾なんてなくても生きていけると思ったのだ。尻尾をなくしたお尻に包帯でも巻いてやろうぐらいにしか考えていなかった。
茶色いトラっちの尻尾は美味であった。久しぶりのごちそうであったためかもしれない。尻尾を引きちぎった茶色いトラっちのお尻で不思議なことが起こった。私は本当に驚いた。茶色いトラっちのお尻からまたたく間に新しい尻尾が生えてきたのだ。尻尾をちぎられても茶色いトラっちは痛みを感じないようで、ぐうぐうと眠っている。私は新しく生えてきた茶色いトラっちの尻尾も引きちぎって食べた。そうすると、また新しい尻尾が出てきた。このとき、私は茶色いトラっちが尻尾を無限に再生できる能力を持っていることを知った。
茶色いトラっちが起きると、私は茶色いトラっちに茶色いトラっちの肉を食わせた。私は肉をさばき、皮と骨を取って、何の肉か正体がわからないようにして茶色いトラっちに食べさせた。茶色いトラっちはうまそうに自分の尻尾を食べた。この時、私は茶色いトラっちの肉を食料難の肉食動物に与えることを思いついた。私たちは茶色いトラっちの尻尾の肉を食べることでなんとか生き延びた。
私たちは南の島に漂着した。そこは自然豊かで生命力に溢れていた。私はそこで異能力と出会った。私は異能力はとても協力で世界を支配できる武力になると思った。島にいる動物たちを徹底的に鍛えれば、世界を相手にできるだけの力となることを悟った。私は島に来るまで、ビームや山を吹き飛ばすパンチなどは見たこともなかった。異能力は物理法則を超えた力のように思った。
私たちは島で徹底的に鍛錬した。島の外の者には負けない、最強の集団になろうとした。島の中は茶色いトラっちの尻尾の肉を配ることで肉食動物が草食動物に襲いかかることをやめさせる事ができた。島の中では全般的に平和であったのだ。私は草食動物のために、無限に収穫できる植物を開発しようとした。茶色いトラっちの尻尾の能力を解明すれば応用できるのではないかと考えたのだ、そしてそれは、大きな困難を伴ったが実現した。島の中では食料が自由に供給できるようになった瞬間である。
島の中は平和になったが問題が残された。それは、島の外から島の中に食べ物を取りに来る輩が出てきたことだ。無限に収穫できる食料には限りがあった。島の中で生産する食料は島の中で消費する分量しか生産できなかったのだ。それ以上収穫しようとすると、島の中は一面畑となり、茶色いトラっちは1日中、高速で尻尾を切られることになってしまう。つまり、我々に自由がなくなってしまうのだ。
私は島の食料を引換券との交換制度にした。島のものに引換券を配り、それと交換で食べ物を与える仕組みだ。島の外から来た者たちは交換券を持っていないので食料はもらえない。この仕組みを使うことで島の外から食料を求めに来る者たちはやがていなくなった。でも大きな問題は残された、島の外の世界には不満が溜まってしまった。快適な生活を求めて、皆が島での生活を夢想するようになった。
島の外にも、私が島の中で成し遂げたことを広げようとした背景はここにある。これをすることで、誰もこの島に来なくとも、元にいる場所で快適な生活を行えるようにするのだ。私がこの世界を統治することで、世界からは飢えがなくなるだろう。食べるものに困っている者たちはいなくなる。それにかかるコストもあまりかからない。食べ物は無限に生産できる仕組みが我々にはある。そして、我々島のものは異能力者である。この計画はあまりに壮大で、不可能のように思えるだろう。しかし、我々の強力な異能力があればそれも成し遂げられるのだ。我々はこの原理に従い、世界の統治にむけて乗り出す。
我々の王、白いトラっちには強力な異能力がある。それは願いを叶えるという能力である。白いトラっち王は平和な世界を創るという願いを叶えるために日々邁進するのである。
白いトラっちはこれを書きました。しかし、白いトラっちはこれをみんなに見せるべきか悩んでいます。白いトラっちは自分の思うことを全てここに書いたつもりです。でも、これを見た人が白いトラっちの考えたことをそのまま理解するとは限りません。おそらく、たくさん誤解されるでしょう。嘲笑の的になるかもしれません。それに、自分でもこれでいいのか、と思う気持ちもあります。なんだか、読んでみるととても大げさなような気もします。でも、白いトラっちにはどう直したらいいのかも分かりません。
白いトラっちは自分の考えをみんなに知ってもらおうと思ったのです。でも、これを書いて思ったのは、自分が何を考えているのか、自分でもよく分かっていないということでした。それでも、これから世界に向けて乗り出していかなくてはいけません。なんだか、とても心細いことです。白いトラっちはもっと自分の考えを深めたいと思いました。でも、自分の考えを深める時間がありません。もう、一刻も早く行動をしなければならなかったのです。行動と思索を同時にしなければなりません。でもそれはとても難しいことでした。




