茶色いトラっちの修行時代
白いトラっちは今日も朝からお肉屋さんの支度をします。お店はいつも大盛況です。並んでいる順番に白いトラっちはお肉を渡していきます。ベルンガはお肉屋さんの隣で八百屋さんです。こちらも並んでいる順番で野菜を渡していきます。しかし、毎日大行列です。せっかく並んでも野菜やお肉が手に入らない者が続出しています。もし、食べ物がなかったら、その日は何も食べられません。島の動物たちには不満が溜まっていました。島の外からもお肉を貰いにくるものが出てきたおかげで、食べ物が足りなくなっていたのです。今日もお肉と野菜は全く足りませんでした。白いトラっちとベルンガはすっかり困ってしまいました。
「とにかく食べ物が足りない。島の動物たちの分だけならなんとかなるんだけど。」
「そしたら、外にから来るやつは追い出すしかないベル。」
「そうなんだが。」
白いトラっちは困っていました。島の外から肉を貰いに来る事を禁止にしようとしても、誰が島の外からきたのか知りません。それに、白いトラっちも島の外から、島に流れ着いて来ました。白いトラっちも島のそのと住民と同じ様な立場です。でも、島の外の者たちに渡す食料はこの島にはありません。このままでは戦いになってしまうかもしれません。
「予約券みたいなのを作ったらいいんじゃないベル。券を持って来た時だけ食べ物を渡すんだベル。券は前もって配っておくベル。」
ベルンガが良さそうなアイディアを思いついたみたいです。確かに初めから引換券を持っている者にだけ交換できるようにすれば、引換券を持っていないものは並ばなくなるはずです。でも、急にそんな事をしたら喧嘩になりそうです。引換券を導入しても効果が出るにはしばらく掛かりそうです。
「ベルンガよ。明日は少し頑張らないといけないぞ。さっそく、島の者たちに引換券を渡しに行くぞ。あと、肉も野菜も一匹に与える量を減らそうと思うんだ。そうすればもう少しは配れるからね。」
白いトラっちのお肉屋にはすでに行列ができていました。肉屋の営業は明日の朝からです。まだやっとお昼を過ぎたばかりなのにもう並んでいるのです。並んでいる者たちは、朝の営業で食べ物をもらえなかったのでそのまま並んでいるのです。とりあえず、この並んでいる者たちには引換券を渡します。余った分を島野動物たちで分けるしかなさそうです。
「引換券。なんだこれ。ただの紙切れじゃないか。」
「これで食べ物と交換できるんだ。この券がないと交換できない。食べ物はこの券と取り替えることになる。だからなくさないようにしてくれ。」
白いトラっちとベルンガは並んでいる動物たちに説明します。動物たちも明日は肉がもらえると分かって一安心です。しかし、食べ物の引換券ルールは難しいようで何度も聞き返されています。予約権をお肉屋の屋台まで持っていけばいいだけなのですが。
行列に並んでいる動物たちは、明日の朝までお肉屋が開かないのでおしゃべりをしています。折りたたみのイスを持ってくる者もいます。いろいろな動物たちの交流の場となっているのです。
「こんなに並んでると、残りの券では島の住民に大して配れないベル。もっと予約権を増やそうかベル。」
ベルンガが言います。
「それはマズイ。もし券も増やしたら、肉が足りなくなる。用意できる肉よりも予約券の方が多いと肉が足りなくて困った事になる。明日は可愛そうだけど各自でなんとかしてもらおう。その代わりに明後日の券をあげよう。」
「分かったベル。」
白いトラっちたちは並んでいる者たちに券を配り終えました。今度は明後日の券を配りに回ります。白いトラっちとベルンガは島を回ります。白いトラっちは明日の肉屋の準備があまりできていないことを心配しています。普段やらない作業が増えてしまったので、肉屋の準備がはかどらないのです。
白いトラっちとベルンガは島の動物たちにも予約券の説明をします。明日の食料がもらえないと聞いてみんなショックを受けています。でも、明後日の予約券を渡すと嬉しそうです。
「これからは毎日お店が終わったら、予約券を渡すために島を回らないといけなくなるな。大変だけど頑張らないと。」
白いトラっちは言います。実際、肉屋の券を渡し終わるともう日が暮れ始めています。白いトラっちは慌てて夜ご飯の準備をします。白いトラっちの立てた小屋には茶色いトラっち達が帰って来ていました。元海賊のカメとワニもいます。白いトラっちは3匹に協力してもらうことにしました。
「明日から、予約券を持ってきたときだけ食べ物を交換することにした。もし並んでも券がないと食料は「もらえない。この予約券と食べ物を交換するということだ。」
白いトラっちは3匹に説明しました。しかし、中々説明がうまく伝わりません。
「この券が肉ってことか。食べれるのか。ペラペラだぞ。」、ワニがいいます。
「これと食べ物を交換するんだよ。」、白いトラっちが言います。
「この券を持っていると、いつか食べ物に変わるのか。何かの特殊能力か。」、カメがいいます。
どうやら、元海賊はおバカさんのようです。
「この券をもってお肉屋さんの屋台に来てくれ。そうしたら肉をあげるよ。」、白いトラっちはカメとワニに肉の券を渡しました。実際に使ってもらったほうが早そうです。
「茶色いトラっちたちにはこの券を配って来てほしいんだ。島のみんなに。明日の分と明後日の分は終わったから明々後日の分を頼みたい。明日か明後日までには配り終えてくれ。これから毎日予約券を配ることになると思うから。お願いする。」
「分かったよ。でもまさか、そんなにお店が忙しくなっていたとは。もしかして、このままやってたら世界一のお肉屋さんとかになるかもしれないね。」、茶色いトラっちは言います。
白いトラっちは明日に備えて、みんなに豪華な食事を用意しました。
みんなが寝静まると、白いトラっちとベルンガが起きてきました。白いトラっちは静かに茶色いトラっちの方に向かっていきます。茶色いトラっちを起こさないように静かに歩く白いトラっちの腕にはナイフが握られています。ベルンガも小型のナイフを持って、白いトラっちのあとに続きます。
白いトラっちはナイフを振り下ろしました。すごい速さです。そしてそのまま、茶色いトラっちの尻尾を切りました。尻尾を切られた茶色いトラっちですが、すやすやと眠っています。茶色いトラっちのお尻からは新しい尻尾が生えてきています。白いトラっちは茶色いトラっちのお尻から新しく出てきた尻尾も切ります。茶色いトラっちのお尻からは尻尾が切られても、すぐに再生して新しい尻尾が生えてきます。ベルンガは山のように重なった茶色いトラっちの尻尾から肉と皮と骨を分けていきます。ベルンガも高速のワザを披露しています。どんどんと茶色いトラっちの尻尾をさばきます。茶色いトラっちの尻尾のお肉が白いトラっちのお肉屋さんのお肉だったのです。茶色いトラっちの尻尾のお肉は美味しいようでとても人気です。
次の日、白いトラっちとベルンガはお肉屋さんに向かいます。行列はいつもよりも少ないようです。券をもらえなかったので島の者たちが並んでいないのです。でも、行列は昨日、予約券を配った時頼も大分増えています。何も知らないで券を配った後に島の外から来たものが並んだようです。
出だしは順調でした。みんな肉の交換券を持っているので、それとお肉を交換するだけです。しばらくすると、交換券を持っていない者たちが来ました。もう、お肉も無くなりそうです。また、交換券を持っていない者たちが来ました。どうやら、昨日券を渡した者たちには配り終えたようです。肉をもらえなかった者たちは文句を言っています。急に券を出させるなんて不公平だったかもしれません。でも、どうしようもありません。もう配る食べ物はなくなってしまいました。白いトラっちとベルンガはお店をたたみ、帰路につきます。なんだか不穏な空気になっていしまいました。
「やっぱり、急に予約券にすると文句を言われるベルね。」、ベルンガは言います。
白いトラっちは考え事をしていました。もし、このまま、島の外の者たちの不満が溜まったら争いになるかもしれません。島の者と島の外で対立が生まれつつあります。それは白いトラっちがお肉屋を初めてみんなにお肉をあげ始めたことがきっかけでした。みんなにお肉をあげられればよかったのですが、お肉はそんなに十分な量はありませんでした。もし、戦うことになるなら、準備をしたほうがいいかもしれません。いくら白いトラっちが強くても、島の外の大勢を一度に相手にすることは不可能です。白いトラっちは島民の戦闘力を鍛える必要があるかもしれないと思いました。
白いトラっちが小屋に変えると茶色いトラっち達がいません。どうやら、食べ物の交換権を配りに行ったようです。白いトラっちは畑の様子を見に行くことにしました。畑は虫族が野菜を育ててくれています。シカっちもお手伝いに来てくれていました。おかげで野菜は順調に育っています。これなら、しばらくは収穫に心配はないでしょう。白いトラっちはシカっちと虫族のカブトムシに予約券の説明をしました。
「やっぱり、島の外の者たちの分の食料までは用意できないのか。」、カブトムシが言いました。
「でもそれだと、島の外と島民で対立が深まりそうだ。」、シカっちがいいました。
「もしかしたら、お肉屋を初めたのは間違いだったのかもしれない。」、白いトラっちは言いました。
「そんなことはないよ。今までは、草食動物たちは肉食動物に怯えて生きてきたけど、お肉屋ができてからはそうではなくなった。島はとても安全な場所になった。島の外の者だって、食べ物がもらえないと分かれば来なくなるかもよ。」、シカっちは言います。
「でも、そんなにヤツラが聞き分けよくしてくれるのか。もしかしたら、この島に攻め込んでくるかもしれない。そうなる可能性の方が高そうだ。ちょっと修行でもするかな。戦いのときのために。」、カブトムシは言います。
「もし戦いになっても、イヌがいるよ。島の守り神は強いんだ。」、シカっちは言います。
「いくらイヌが強くても、一度にたくさんの相手はできないだろう。やっぱりみんなで鍛えたほうがいいかもしれない。」
「まあ、白いトラっちがそこまで言うなら、修業に行きます。」、シカっちもいいます。
「小屋の者たちも鍛え直さないとな。カメとワニは変なビームが出せるんだけど、すごく弱い。茶色いトラっちとベルンガに関しては未知数だ。」
白いトラっちはご飯を用意して小屋にみんなが来るのを待っていました。茶色いトラっちが帰ってきました。白いトラっちは小屋に入ってこようとする茶色いトラっちをいきなり殴りました。茶色いトラっちはどこまでも吹き飛んでいきました。続けてカメが入ってきました。白いトラっちはカメに向けて、白いトラっちビームを放ちました。直撃したカメはカチコチに凍っています。ワニも来ました。凍っているカメを見て驚いているようです。白いトラっちの飛び蹴りがよそ見をするワニに直撃しました。ワニも茶色いトラっちのように飛んでいきます。最後にベルンガが入ってきました。一体何が起きているのでしょう。ベルンガは不安でした。白いトラっちはベルンガの頭のコブを思い切り殴りました。ベルンガの頭のコブは白いトラっちのパンチを思い切り受け止めました。柔らかなコブは衝撃を完全に吸収したようです。そこで、白いトラっちは白いトラっちビームを放ちます。驚いたベルンガは避けることもできず、ガチゴチに凍っています。
「いったいどうしたんだよ。」。茶色いトラっちが言います。
「お前たちを鍛え直さないといけない。島の外の者たちが攻めてくるかもしれない。」、白いトラっちは言いました。
そしてまた、茶色いトラっちを殴りました。茶色いトラっちには白いトラっちのパンチが見えませんでした。またしても、殴られた茶色いトラっちは吹き飛ばされました。
白いトラっちは自分の周りの者達の弱さに驚きました。特に茶色いトラっちには絶望を感じています。同じトラでありながらここまで自分と差があるとは思いもしなかったのです。白いトラっちと茶色いトラっちはこれまでずっと一緒に過ごしてきました。喧嘩はしたことがありませんでした。もし、喧嘩をしていればもっと早く気がつけたかもしれません。とにかく、修行あるのみです。白いトラっちはそれぞれに修行のメニューを書いた紙を渡しました。
カメにはひたすら白いトラっちに殴られる修行がありました。カメの甲羅はうまい角度で攻撃を受ければ相手に攻撃を跳ね返せます。しかし、角度を間違えると自分にダメージが出てしまいます。そうならないように白いトラっちはカメをひたすら殴ることにしました。しかも全力で。これは白いトラっちの特訓にもなります。もし、カメがパンチを跳ね返す事に成功すると大きなダメージが白いトラっちに来てしまうからです。白いトラっちはカメに対しては、白いトラっちを打ち続けることもしました。白いトラっちビームをパンチと同じように跳ね返せると考えたからです。白いトラっちビームを直撃したカメはガチゴチに凍っていますが。
ワニはひたすらワニビームを打つことになりました。今のままではワニビームはへなちょこで相手にかゆみを与える程度の威力しかないためです。ワニは巨大な顎を持っていたので、顎を鍛えるために大岩を割る修行もあります。体力トレーニングや筋トレも山ほど出ています。
ベルンガはひたすら泳ぎを鍛えるように言われました。白いトラっちはベルンガをどうしたらいいのかよく分かりませんでした。水中の生き物だので想像がつきませんでした。とりあえず、体を鍛えて様子を見ることにしました。
茶色いトラっちには一番厳しいメニューが与えられました。なかでも白いトラっちと模擬戦を毎日しなければなりませんでした。白いトラっちは相手が動けなくなるまで攻撃をしてきます。模擬戦はほかのみんなもやりましたが、茶色いトラっちだけ毎日100戦しなければなりませんでした。相手に鳴る白いトラっちもへとへとです。その他にも強烈なトレーニングが山程ありました。とにかく茶色いトラっちは白いトラっちと同じぐらい強くなれる可能性がありました。
みんな、日々のやることが終わると必死で修行をしました。ときどき、白いトラっちはワニビームを食らって威力を確かめました。茶色いトラっちも真似をして茶色いトラっちビームを放ちますが、何も怒りません。カメは大分上手に白いトラっちの攻撃を反射しているようです。白いトラっちが大ダメージを受けて、口から血を吐くことがあります。みんな、必死で頑張る白いトラっちを心配しています。修行は着実に進みみんな少しずつ強くなっています。




