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41話

 


 目の前にいたはずの相手はいつの間にか自分の右側にいて恐ろしいほど冷たい目で倒れた自分を見下していた。


「兄貴!」「フジタ!」


 やめろ!その声は届かなかった。激高した仲間たちが大声をあげながら一斉に恐ろしい目をした子供に向かっていく。


 無理だ、勝てっこない。フジタの背に走った寒気はこの子供が巨大な肉食獣のように見えた。


 一人、また一人と次々に倒れていく。恐ろしいことにその全員が右手を抑えうずくまって転げている。明らかにその場所を打つと決めて打っている。体格の違う男たちを相手に全く怯んでいない。


 当たらない、こっちの攻撃が一度も当たっていないのだ。それもそのはず、なぜなら武器を振るっていないから。当たる距離よりも離れた場所にいるからだ。


 そして見えない。遠くにいたはずの子供が一瞬見えなくなって気が付いたら攻撃をくらっているのだ。なんだこいつは、いったい何者なんだ。勝てるはずがない。覚醒者?いや違う、覚醒者は何度か見たことがある。人間離れした強さだとは思ったがこれほどじゃなかったはずだ。


 どうなっている、いったいどうなっているんだ。いつの間にかコガもハトもスドウもみんな地べたを這いずり回っていた。


「ヒカリ、もういいぞ」


 心臓が止まるかと思った。いつの間にか後ろに控えていた背の高い男が近くにいて子供に声をかけた後、俺を見下すように見ていたのだ。


「何か言うことはあるか?」


 ゾッとするような目だった。


「すまねえ、許してくれ、俺たちが悪かった」


 恐ろしい。あの子供も恐ろしかったがこの男には種類の違う恐ろしさがある。俺は考えるよりも先に地面を頭を擦り付け謝っていた。


「なんだ、そうか」


 男はガッカリしたように言いあの恐ろしい子供を連れて去っていった。


「大丈夫かコガ」


「いてぇよぉなんだったんだあいつら」


「わかんねえ、わかんねえが二度と関わっちゃいけねえことだけは確かだ」


「覚醒者なら覚醒者って先に言えってんだよ」


「覚醒者かアレが?俺が見た覚醒者はあんなに強くなかったぞ」


「おめえが見たのは一回だけのやつだろ。覚醒は2回までできるんだ、そんでもってそいつらの強さは1回の奴らとはけた違いだ」


「そういうことかよクソ。そんじゃあ俺も覚醒でもしてあいつらぶっ殺しに行くか」


「やめとけよそんなこと、魔獣に食われちまうのがおちだ。ほとんどのやつがただ死体になって帰ってくるのはお前だって知ってるだろ」


「そんじゃあどうしようもねえってことかよ」


「あきらめろ、俺たちは強い奴に従って生きていくしかないんだ」



「はぁああー嫌だね、痛っ、しっかし痛てぇなあ」


 腕をさする。


「全くだ。けどどうやら腕は折れちゃあいねえ、そっちはどうだ?」


「俺もだ、ほれ見ろよとんでもなくアザになってやがる」


「うえぇ、地獄だな明日は」



「兄貴」


「どうしたハト」


「見ろよこれあいつらが置いて行ったんだ」


 ハトの手にあったのは一枚の大銀貨だった。


「全然割に合わねえ」


 フジタは痛む右腕を摩りながらつぶやいた。



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