40話
前にあるゴミの山が崩れ道を完全に塞いでいた。
「よくやったサム」「捕まえろ」「捕まえたら1万だ」
後ろから男たちの声が聞こえる。
「ヒカリ!」
「大丈夫だ」
もう駄目だと思ったハルカだがヒカリの声は力強いものだった。ハルカの左手を持ったままスピードを落とすことなく右手で引き抜き木刀を振った。
「え」
ハルカは自分の目が信じられなかった。まだ距離のある道を塞いだゴミがはじけ飛んでいったのだ。
「大丈夫、もう少し、もうすこしで」
どうやらそれはヒカルが振るった木刀のおかげだった。
「行かせるな」「道を塞げ」
「駄目だ早え」
「クソ」
突然視界が開けるとそこはゴミの島の入り口。
「よかった」
「まだだ」
まさかもう追いかけてくるはずがない、そんなことをして兵士に見つかれば向こうだってただじゃすまないはずだ。
ハルカが走りながら振り向いたが男たちは全く諦めていないようだった。
「ノブナガさん、白銀さん」
入り口からやや離れた場所で待っていた二人のもとにたどり着いた時、ヒカルの声に安堵が含まれているのをハルカは感じた。ヒカリとて焦っていないわけではなかったのだ。
「マラソンか?」
「そんなわけ」
息が切れる。
「追われてるのよ!」
「ゴミを貰いにいっただけでなんで追われる」
「いろいろあったのよ」
「ノブナガさん!」
ハルカが振り返るとそこには男たちがぎらぎらとした目でこちらに迫ってきていた。その数およそ30人くらいだろうか。手にはゴミの山から拾ってきたのであろう木や鉄くずを持っていた。
「おとなしくこっちに来い!」
髭面のがっちりとした体格の男が唸るように言った。
「でけぇ」
中にはノブナガの体格に驚いている者もいたが数の利があることで自分たちが圧倒的に有利であると考えているようだった。
「ちょうどいいじゃないか」
いいことを思いついた、そんな感じでノブナガは言った。
「ちょうどお前に戦いの練習をさせてやりたいと思っていたんだ。ヒカリ、いってこい」
「でも………」
「こいつは俺が見ている。大丈夫だこいつを使えば殺しはしない」
木刀をポンポンと軽く掌でたたいた。
「わかりました」
「俺の戦い方を見ただろう。同じようにやればいい、腕とか足を狙うんだぞ」
「はい、やってみます」
ヒカリが一本の木刀を持ち、男たちに向かって歩き出した。
「ちょっと!」
「大丈夫だ何かあれば助けに入る」
「ひとりで来るとはいい度胸だ。あの野郎相当キレてたぜ、お前ら二人のことをボコって連れて来いってよ。とっつかまえたら1万だってな」
「それじゃあこれで帰ってください」
ヒカリは取り出した大銀貨を手のひらに載せた。
「てめぇ金持ちだな、いいぜ貰ってやる」
ひったくる様にしてとった。
「だがてめえらを逃がすっていう手はねえな」
「どういうことですか」
「簡単なことだ、これで2万になる。当たりめえのことじゃねえか。そもそも気に入らねえんだよなテメェが。」
ブンッと曲がった鉄の棒を脅すように振った。
「小綺麗な格好して俺たちを見下しやがって。このごみの山で汗水たらして働いてる俺たちを見下してんだろ!気に入らねえんだよお前が!あいつに言われなくたってな二度と立ち上がれねえくらいボコってやるーーー」
会話の途中で殴り掛かったフジタだが視界の中に獲物はいなかった。
「ぐあぁああああ」
爆発するように右手が痛んだ。
「なんて目してやがる……」
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