35話
道場とやらは露店のすぐ裏にあった。道場のすぐ裏に露店を作ったといったほうがいいかもしれない。
「じいさーん、いる?」
露店少女が先頭を歩く。草が生い茂っていて手入れされているとは言えない。道場といっても誰も門下生はいないんじゃないだろうか。
木戸を開け放った。そこには一人の爺さんがいた、が、じいさん過ぎるほど爺さんだ。頭頂は禿げ上がり残った髪の毛も真っ白だ。顔はシワだらけで目にヒカリが全くない。ゼーゼーいう息遣いだけが生きていることを示していた。
「じいさん!門下生が来たよ門下生!わかる?」
露店少女がデカい声で話しかけているがピクリとも動かない。ただ胴着すがたで立っているだけだ。
「じいさん!ナイフの使い方、教えてほしいんだってさ!」
枯れ木だ。
「門下生、ナイフ、わかる?聞こえてるよねー?」
無理言うな、立っているだけで精いっぱいだぞ
「イケるって!」
「ウソつけ!」
「ねー!ちょっと待ってよ、とりあえず入会金だけでも置いて行ってよ、ねー」
無視無視無視だ。
とりあえず今日はもう疲れた。とりあえず街の中心部に宿を探そう、白銀が壁に大穴を開けたせいで前の宿は追い出されてしまった。こんなことで時間を使っていては夜中になってしまう。野宿は勘弁だ。
「ちょっとーねーねーってば」
しつこ。
「ヒカリ帰り道はわかるか?」
通りに出た。
「わかりますけどいいんですか?」
「いけるから、今日はたまたま調子が悪いだけでいつもはあんなんじゃないんだから」
「さあいくぞ」
「ああーー!盗まれた!ここにおいてた木刀盗まれた!店を離れたすきに盗まれたわ、あんたたちのせいよ、弁償して」
ウソつけ、白い布をかぶせたテーブルの上には隙間がないほど木刀が置かれている。一本でもなくなっていればわかるはずだ。
「おいハルカ!!」
背後から怒声。
「金は用意できたんだろうな!おい!」
振り返るとスキンヘッドでがっちりとした体形の男と痩せた長髪の男がポケットに手を突っ込みながらこっちへ向かって歩いてくるところだった。
「彼氏か?」
「そんなわけない」
ハルカと呼ばれた露店少女の顔が青ざめている。
「この前の話では今日までに金を用意するって話だったろうがちゃんと用意できたんだろうな100万」
「なんだこいつらは」
「この人たちは関係ない」
「チッ!だったら失せろ」
「ノブナガさん」
「大丈夫だ」
深呼吸深呼吸。チンピラの口ぶりにイラっと来たがこんなことで問題を起こすわけにはいかない。領主との話し合いでも騒動を起こさないように言われているし街を追い出されても困る。
「いくぞ」
「でも………」
「返せなかったら、言ったよな、遊郭に行かせるってよ!」
「やめてよ!」
「ノブナガさん!」
「なんだてめぇいつまで突っ立ってんだよダセぇ服着やがって!」
ダサい服。
俺のこの高級スーツのことか!
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