27話
「デカい」
サカイの小さなつぶやきをハヤシは聞き逃さなかった。確かにサカイはこの国の平均的な男性よりは背が低いほうだがそれにしてもノブナガの身長は頭二つ分以上大きかった。
「よく来てくれました皆さん」
ノブナガの後ろには白銀とヒカリがいる。ハヤシにとっては決して無視できない存在だ。完全に足がなくなり出血で死へと向かっていく部下を治療したあの光景は忘れることができない。
「デカい」
サカイはまだ呆けている。さっきまでの自信満々な態度はどこへ行ったのか。完全に気圧されているのがわかる。
「サカイ様!こちらがノブナガ様、白銀様、ヒカリ様です」
「お、おお!」
大きめの声で呼びかけたことでサカイは我に返ってくれたようだ。きゅうりみたいな顔色をしているが大丈夫だろうか?
座ったタイミングでメイドがお茶を出しに来た。このためにわざわざ普段よりも高い紅茶と茶菓子を用意した。すべては今回の会談を友好的に済ますためだ。
「見逃してくれぇ」
「サカイ様!」
頭を下げることをやめさせようとするが止まらない。
「あなたはこの町に住む人間をすべて殺して焼け野原にした後で毒を巻いてここにもう二度と人間が住めないようにするつもりだろうが止めてくれ!」
そんな残虐非道をするつもりはないのだが。
「今まで何度も災難に見舞われながらも必死に立ち上がり作った町なんだ。前の領主だった私の父さんも爺さんも領民たちが安心して暮らせるように命がけで頑張ってきたんだ。頼む、どうか、どうか見逃してくれ!」
「ノブナガさん、私からも頼む。この通りだ」
完全に勘違いしている。何といえば伝わるんだろうか。
「顔を上げてください」
白銀?
「そんな真似はこの私がさせません」
白銀?
「私は常に善なるものの守護者です」
「「白銀様!」」
白銀?
「サカイ様どうです、いった通りでしょう白銀様は瀕死の状態であるシミズをお救いになったのです。その姿はまさに天使様でした」
「ああ……なんということだこのお方は間違いなく天使様だ。何ということだ窮地に陥った我々に天使様がご降臨なされたのだ」
「安心なさい」
「おお白銀様…」
「天使様だ、美しい、目がつぶれてしまいそうな美しさだ」
白銀?
「あなた達が正し行いを為す限り、私は悪を赦しません。もしもの時は私もあなた達とともに立ち上がり正義の鉄槌を下すでしょう。頭を上げなさい、私と共に正しき道を歩むのです」
「白銀様ーーー!」
「ありがたき幸せ!」
白銀?
君は何をしているの?
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