23話
「肌触りがいいのは間違いないのですが絹に比べれば落ちますし、デザインもあまりにも独特すぎて人を選んでしまいます。いくらダンジョン塔のものとはいえ確実に誰もが欲しがる品とは言えませんのでこの金額になってしまいます」
うーむ、なるほど。
「ほかの店を回ってもっと高い値を付けるところを探すという手もある」
もっと高く買え。
「たしかにそうっすね。そっちのほうがいいかもしれないっす」
面倒くさいから嫌だがな。
「それはご勘弁を、これほどの品をそれだけの若さで手に入れられるような傑物である皆さまとは是非ともうちの店を懇意にしていただきたいと私どもは思っております。それでは今後の誼も考慮し200,000Gではいかがでしょう。この値段は私たちも売り切れるかどうかわからない限界の金額でございます」
どうするか。確かに悪くない条件ではある気がする。ここに来る途中で屋台で肉を串に刺したものを売っていたが150Gと書いてあった。食うだけならしばらくは困らない金額だ。しかもあのジャージがダンジョン塔のアイテムだと判定されたということは、ほかのものも同じように高く売れる可能性がある。
それにもうすでにバスケットの中のお菓子は空だ。さんざん食べておいて今更売りませんというのは非常に言いにくい。
「断る」
なんですか白銀さん。
「帰る」
全員が驚いて見ている。
「何かご不満でしたか」
「不満」
なぜだ、なぜ白銀はここまで確信をもって言い切ることができるんだ?この国の相場なんて知らないだろ。それに誰よりもお菓子を食べていたのはお前だぞ白銀。
「ノブナガ」
目が合った。
「交渉決裂、だな。いくぞヒカリ」
「は、はいわかりました」
重苦しい空気の中部屋を出る。
「これからどうするヒカリ」
「いや、ボクに聞かれても」
「お前は?」
「何も」
「ビビったっすよ、まさか断るとは思わなかったっす」
「別に絶対売らなきゃいけないということはないからな」
「それはそうっすけど」
「見られてる」
「え!?」
慌てて周囲を見やるがそれらしき姿はない。しかしこいつはよく気が付くな、俺なんか一回も何も感じないぞ。
「敵っすか」
敵?なぜ狙われることがある、何もしてないぞ。もしや領主か?この街に俺たちがいることは知っている人間がそういるはずはない。
「違う、あれ」
白銀が指さした建物からは頭半分がのぞいていて、それが突然走りだした。
「子供ですね」
敵ではなさそうだ。
「お三方の格好が珍しいから見ていただけかもしれないっす」
「確かにこの服装はここに馴染んではいないからな」
「まあ馴染んでないのは服装だけじゃないっすけど」
どういう意味だ。
「まあそんなに気にすることでもないだろう」
「スギターー!!」
子供が走り去った方向から今度は大人が大声をあげながら走ってきた。
「おおマキハラ!どうやら領主様からのお呼びがかかったようです」
いいタイミングだ、やはりゲームだな。
「スギタ、ご領主様から伝言だ。準備ができたから屋敷に来てくれとのことだ」
マキハラとかいう男が息を切らせながら言った。
「わかったっす、それにしても随分時間がかかったっすね」
「ああ、それはちょっと、まぁな、」
なんだか歯切れが悪い。
「それじゃあ行くっすかお三方」
「ああ」
歩く。
「さっきと違う道だな」
「ここからお屋敷に行くにはこっちのほうが近いっすから」
目の前に立ちはだかるように一人の男が立っていた。
「よーよーよー皆さんお元気そうで何よりです」
長髪でほかの住民とは明らかに違う服装をしている。着物か?
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