21話
「それなら塔で決まりだな」
「といっても今は行けないっすけど」
「なんでだ?」
「ヘンデの町を壊した魔獣がここにも来るかもしれないからっすよ。ダンジョン塔に入るくらい実力がある奴は残して街の防衛に回したいっすから。その分の金は払うことになるっすけどいるのといないのでは全然違うっす」
「どのくらいで行けるようになる?」
「それは領主様が決めることで自分は全然わからないっすけど一日二日ってことはないんじゃないっすか?」
うーむ、どれくらいだ?一週間か二週間くらいは考えておいたほうがいいか?
「金が足りない」
「貯金は?」
「勘弁してください白銀さん、俺らみたいなやつはほとんど貯金なんてないっすよ」
「ビックになったら倍にして返す」
「それ返さないやつが言うセリフっすよ」
「おお!いいこと思いついたぞ」
「なんですか?」
「魔獣貸してやるよ」
「へ!?」
「戦力が欲しいんだろ?それなら有料で魔獣を貸してやるよ。そうすれば働かないでも金が入ってくる、名案だ」
「おお」
「おおじゃないっす勘弁してくださいっす。トラウマなんすからあの魔獣、隊長がぎりぎり何とか倒してくれたからいいようなもののそうじゃなかったら全滅していましたよ」
「ちゃんと命令すれば大丈夫だろ」
「いや、もうほんと勘弁してください」
「遠慮するなよ」
「どこが遠慮しているように見えるんっすか」
「わかったよ、ちゃんと髪型変更でアフロの魔獣にしてやるから、それでいいだろ」
「全然わかってないじゃないっすか、意味わかんないっすよ魔獣の髪型変更って。言いましたか?魔獣の髪型が気に入らなかったって。全然そういうことじゃないっすから」
「あ、素材がないから無理だわ」
「いま、魔獣出そうとしました?」
「してないしてない、完全にあきらめた」
「まじで焦りました。汗だくっすよ」
「それじゃあどうするか、なにか金目のものは」
「ソレはどうっすか?」
スギタが指さしたのはヒカリ。
「ボクですか!?」
「違うっすよ、服っす、ヒカリさんが着ているその服っすよ」
「あっ、ノブナガさんにもらった服ですね」
「そうっす。そんな服は今まで見たことがないっすから高く売れるかもしれないっすよ。肌触りも良くて素材もしっかりしてそうっすからいいんじゃないっすか?」
残念そうな顔をしながらヒカリは自分の服を摘まんだ。
「もう一着出すくらい簡単なことだ」
「それじゃあこれは売らなくてもいいんですか?本当によかったです。ボクこれすごく気に入ってるので」
「それじゃあ商店に行くっすか?どうせなら大きい店のほうがいいと思うっす。案内するっすよ」
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「ここがこの街で大きなデリック商店ハレルヤ支店っす」
「わーすごく大きいですね」
「値段は張りますけど質の高いものを取り揃えていると評判の商店っす」
店を想像していたが巨大倉庫の前の建物という感じだ。人の出入りも激しいしほとんど裸みたいな恰好をした筋骨隆々の男たちが汗だくになりながら重そうな荷物を運んでいる。
「一着しかないが大丈夫なのか?」
どちらかというと農家が小麦とかそういうのを売りに来るところのような気がする。
「大丈夫なはずっす。とりあえず行ってみましょう」
「いらっしゃいませ」
眼鏡をかけた上品そうな中年の男がにこやかに挨拶した。いかにも仕事のできそうな感じだ。
「お久しぶりっすタケナカさん」
「スギタさんお久しぶりです、ようこそデリック紹介ハレルヤ支店へ」
「買取を頼みたいんですけどいいっすかね」
「もちろんでございます。後ろの方たちは?」
「今日自分はこの方たちの案内役なんっす」
「そうでしたか」
「珍しいものが手に入ったのでぜひタケナカさんに見てもらおうと思ったんす。一個というか一種類というか、数は多くないんすけど大丈夫っすか?」
「もちろんでございます。ダンジョン塔のアイテムは一点だけしか出てこないのが普通ですし、その一点が山のように積み上げた麦より高いことなどざらにありますから何の問題もございません」
「良かったっす、それじゃあヒカリさん」
「これです、お願いします」
この街で買った服を着たヒカリが肩掛けのバッグから取り出したのは白いジャージの上下と肌着とTシャツ。12,000Pで買ったジャージコーディネートだ。
「ほう!ダンジョン塔のアイテムですか?」
「そうかもな」
タケナカとかいう商人がこっちを見てきた。
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