17話
殺された。
俺のアンデット。
怒りとも悲しみとも言い切れない感情。一瞬だけ世界が真っ白になってしまったかのような感じがした。
殺そうか。
目の前にいる人間たち、こいつらが殺したに違いない。その瞬間は見ていなかったがそうに違いない。
焼きすぎた肉のように黒く縮こまっていく俺のアンデット。
殺そうか。
そう思った。
「待ってくださいノブナガさん」
ヒカリが縋り付いてきた。
待つ?何を?なぜ?
俺のアンデットだ。
「弱いのが悪い」
いつの間にか目の前に来ていた白銀がまっすぐに目を見ていった。
「弱いから負けた、弱いやつを作ったアンタが悪い」
こいつはこんな目の色だったのか。
綺麗だ。
まるで虹みたいだ。
「そうだな」
白銀のいうことが正しい気がした。
俺の言葉にヒカリは安心したような顔をしている。
「ありがとうございます」
頭の中の霧が晴れて空が見えた気がした。
まあいいか、そんなにただの道案内のつもりだったし。
まあいいや。
「それで、こいつらはなんだ」
「我々はサカイ家の兵士、私は隊長のハヤシだ」
ハヤシと名乗った引き締まった顔の男が言った。なんとなく上司にしたら頼りになりそうな男だ。だが、辛そうだな。隠そうとしてるのかもしれないがアンデットの戦いで相当に疲労しているに違いない。
「なぜサカイ家の方がヘンデに?」
知らない言葉ばかりだ。
「詳しくは言うことができないのだが、わが領主に調査を命じられてきたのだ」
「どういうことだ?」
「えっと、ヘンデというのはさっきボク達がいた町の名前です。ヘンデはヤマザキ家が治める町なんです。何か理由がない限りほかの家の方たちが来ることはないと思います。なのでなぜサカイ家の方たちが来るんだろうと不思議に思いまして」
「うーむ、まあ端的に言えばヤマザキ家の領地に何か異常があったのではないか、わが領主はそう考えられたのだ」
実際ヘンデの町は魔物に破壊されていたわけだしその疑いは間違いなかったわけだ。
「ということは」
「予想通り魔物による侵攻が確認されたので我々は急ぎ戻って領主に報告をする。恐らく直ちにサカイ家が納める街に兵を配置して魔物の襲撃に備えることになるだろう」
よく見ればほかの兵士たちは足をなくしたやつを手伝いながら出立の準備を始めているようだった。
「シミズの命を助けていただき感謝致します、この御恩は忘れません。いつか必ずお返しします。えーと…」
「白銀」
「白銀様ありがとうございました」
「あのぉ……白銀様は天使様でしょうか?」
「違う」
「そ、そうですか」
「そうだ!ハヤシさん、じつはボク達どこか街に行きたいと思っていまして。ただ、道がわからないので道案内をお願いしたいんですが」
「それでしたらお安い御用です、と言いたいところなんですが先ほど申しましたとおり我々は一刻も早くわが領主のもとに急がねばならないのです。ご一行もお急ぎになられますか?」
「いや、ゆっくり行く」
「そうですか。それでしたら私の部下を一人残していきます、そいつに道案内をさせることにしましょう。そうすれば街に入るときにもスムーズに入ることができるはずです」
「ありがとうございます」
「街では何をなさるおつもりですか?」
あまり考えてなかった。たぶん次のイベントが発生したりするだろうとしか考えてなかった。
「観光だな」
今思いついただけだけど。
「魔獣が攻めてくるかもしれませんが」
「それはどこにいても同じだろう」
「確かにそうですが………わかりました、それでは大きい街のほうがよろしいですね?」
「そうだな」
「わかりました、それでは領地の中で最も栄えている街に案内するようにいたします」
「お願いします」
このハヤシとかいう隊長はなぜ俺たちに敬語を使っているのだろう。白銀に助けられたから、なのか?
「その前に1つ聞いておきたいんだが」
ハヤシの顔がより一層引き締まる。
「ノブナガさん、あんたは悪魔、なのか?」
悪魔?なにをバカなことを言っている。
「ハヤシさん!どうしてそんなことを!?」
ヒカリがものすごく驚いている。いや、俺より驚くなよ。
「さっき俺が倒した魔獣、あの魔獣は「主たちが話がある」そう言っていた。そして俺の部下のシミズは魔獣とアンタたちが一緒にいるのを見ているんだ。そうなれば「主」というのはあなたなんじゃないかと思ったんだ」
見られていたのか。
「魔獣は人間にはなつかない、だが悪魔は魔獣を意のままに操ることができると聞く、それならあなたは悪魔なんじゃないかと思ったんだ」
いや、ちょっと待て。
「それならヒカリか白銀かもしれない。なぜ俺ということになるんだ?」
「それは………」
見た目、じゃないだろうな。そういえば俺はどんなアバターなんだ?後で鏡か何かで確認しないといけない。もしかしたら相当な悪人面のかもしれない。
「あなたの髪の色は真っ黒だ」
明日も更新予定です。
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