11話
「?」
確実に何か当たったような気がしたが何も感じない。白銀に攻撃をくらった時には確かに感じた痛みが全くない。無だ。消しゴムの欠片を当てられた時よりも痛くないぞ。
「ギャギャッ!何が起こったカトウの分際で!」
こいつのリアクションから察するに攻撃されたのは間違いないようだ。
おお!
恐らくこれは「ダメージを与えられない」状態だ。RPGでは何回も見たことがある。レベルと上げてから最初の町にいって雑魚と戦闘になるとよくあることだ。
なるほど実際に受けるとこんな感じになるのか、確かにダメージはない。なるほど、つまりこれはーーー
「身の程知らずの塵が」
クールに決めてみた。
そしてすぐさま背中から2本の白い鞭を出現させコウモリめがけて振るった。相手が雑魚となれば簡単だ。よくも一瞬でも俺を怯えさせてくれたな。
「っ!」
あまりにもあっさりと、予想どうりの軌道で鞭は相手の体を切り裂いた。買ったばかりのカッターナイフで紙を切るみたいな手応えだった。コウモリはほとんど声を上げることもしなかった。
ドッ、という音がしてコウモリの体は3等分になり地面に崩れ落ちた。しかもなぜか狙った記憶がない蠅たちの体まで切れている。
なぜ?わからない。がーーとりあえずは
「勝ーーー利!!」
俺は右手を高く突き上げ勝利の雄たけびを上げた。
勝った、俺は勝ったのだ。人数の不利にもかかわらず俺は勝利した。そう自分に言い聞かせてみるが、あまりにも手ごたえがなさ過ぎて勝利した感がほとんどないのは計算外だった。観客がいれば違ったのか?
まあ、いいか。
俺は白銀とヒカリを呼びに行くことにした。褒められたい、自慢したい、格好いい姿を見てもらいたい、正直に言えばそういうことだ。
「えぇ………」
切り裂かれた死体を前にヒカリは目を丸くして驚いている。
「すごい、凄すぎます」
来た。待ってたよ、そのリアクション。もっと驚いてくれ、褒めてくれ、持ち上げてくれ、気分がいい、気分がいいぞ。ハーハッハー!
「手応えもない雑魚だった」
ここは格好をつけてもいい展開だ。
「そんなはずは………だって街の人たちは」
「まあ、俺にとってはだな」
褒めろ、もっと褒めろ。
「どう見ても雑魚」
余計なこと言うな白銀。
「言葉を喋れる魔獣は存在が上の魔獣で、よほど実力のある戦士じゃないととても太刀打ちできないそうです。あの魔獣の言葉は片言じゃなくてはっきりとしていました。だから相当に実力のある魔獣だと思うんですが」
確かに周りを取り囲んでいた蠅は言葉を喋っていなかった。そうかなるほど、それで見分ければいいのか。
「その通り!お前は何にも知らん奴だな」
「絶対雑魚」
「だから違うっていってるんだよ」
素直に褒めろ。本当はめっちゃ弱かったけど。木を切るときと手応え変わらなかったけど。
「何の力も感じなかった」
「それはお前の感覚が鈍すぎるんだよ、この不感症」
「は?」
「まあまあまあお二人とも喧嘩はやめましょうよ。あれだけたくさんの魔獣に会ってもこうして無事に生きていられたんですからすごく嬉しいことですよ」
「ふん」
ふん、じゃねえよ。ちょっと待て、そういえば。
「どうしました?」
無い。
「なんで金が落ちてないんだ」
「お金?」
「ふつう落ちてるだろ敵を倒したら」
経験値は?レベルアップとか。
「そうなんですか?」
ゲームって大体そうだろ。
「意味わかんない」
わかれよ。
評価、ブクマ頂ければやる気が出ます。
よろしくお願いします。




