生徒会のお仕事 <改>
――放課後――生徒会室――
「先輩、この学園の三英雄って知っていますか?」
「ええ、元々はただ三強とだけ呼ばれていたけど、その一方的な戦いの様子が広まってから三英雄と呼ばれるようになった、と聞いていますわ」
「誰のことだか、わかりますか?」
「確か……この学園の学園長【虚影】の二つ名をもつ、キョウ・イザヨイ。後は……」
「残りはそこにいる戦闘指導官【紫電の巫女】の二つ名をもつ、ユウ・ミツルギ先生と、正体不明の謎の人物、通称銀狐だよー」
『会長!』
「いつからそこにいらっしゃいましたか?」
「うーん……三英雄って知ってるか聞いているところ?」
「最初からじゃないですか」
「お声をかけて下さればよかったのに」
「邪魔しないようにお菓子食べてた!」
『はぁー』
今いるのは、シキとリョウカそしてハルカの三人だ。トウワとアキホは用事があるためここにはいない。
「先生ってすごい人なんですね」
「私としては、その恥ずかしい二つ名をなんとか消したいのだけどね」
「アタシは、カッコいいと思いますよ」
(ハルカのセンスがよくわからない!)
庶務の台詞に愕然とする悠。その時、
「ただいま戻りました」
「大丈夫? 待たせちゃった?」
扉が開き二人の少女が入ってきた。用事を済ませてきたトウワとアキホだ。
「大丈夫、待ってないよ」
そう悠が返すと少しほっとしたような顔をした。
「それでリョウカ先輩、その戦いってどんなものだったのかわかります?」
「ごめんなさいね、わたくしも詳しいことはよく知らないの」
「そうですか」
「なら、わたしが教えてあげようか?」
「トウワ先輩! 是非よろしくお願いします」
戻ってきた二人を含めて役員たちは、楽しそうにしゃべっている。しかし彼女たちにはこの時間で片付けないといけない書類があった。
「お話は、これを片付けてから!」
『はーい』
黙々と作業を続けること四時間、時計の針が7時を過ぎたあたりだった。
『お、終わったー』
役員たちは疲れきった表情をしている。それもそのはず、この四時間休憩を挟まずにものすごい集中力で作業をしていたのだから。
「この書類って、何ですか?」
「あっ、そうか。ハルカは初めてだから分からないよね」
「武器登録証と、武装許可証よ」
「これ、全部ですか!?」
「ハルカも持っているよね?自分の武器」
「はい」
ハルカは頷くと腰の辺りの短剣に目をやる。
「人を傷つけることができるものだからね。やっぱりきちんと管理しないと」
「わたしとアキちゃんは風紀委員会に承認印をもらいにいったの」
この学園では、他人に怪我を負わすことのできる武器の所持を認めている。というのも、魔物と呼ばれる存在に対しての自衛手段として武器は必要だ。もしもの時に、武器が無ければ大変なことになってしまう。登録すれば武器の所持は認められている。
「ご苦労様。今日の仕事ここまでにして帰りましょう」
(早く帰って子どもたちとご飯食べよう!)
親バカと言われても仕方のない悠であった。
◇ ◇ ◇
アタシはこの春から第三魔導学園に通うことになったハルカ・イリアルです。とあるきっかけで生徒会に勧誘されて、生徒会庶務として仕事をしています。ユウ先生が帰ったあとアタシは先輩方と一緒に食堂へやって来ました。この学園の生徒のほとんどは寮で暮らしています。そういうこともあって、食堂はとても広く、開いている時間もとても長くなっています。
「それでは、我らが第三魔導学園生徒会の親睦会を始めましょー」
「要はハルちゃんの歓迎会だからいっぱい楽しんでね」
「ハルちゃんって……」
「トウワ先輩は気に入った相手を○○ちゃんとよぶのですわ」
「そういうことだから、よろしくね」
「あの、先生は……」
「一応誘ったけど、あの先生は来ないわ」
「なぜですか?」
「それはですね――」
アキホ先輩が答えようとしたとき、会長が立ち上がりました。
「お腹空いたよー」
「シキちゃんったら……。みんな、とりあえずご飯を取りに行きましょう」
そういえばトウワ先輩の言う通り、アタシたちはまだご飯を持ってきていませんでした。
注文したものを貰って席に戻る時でした。
「アレッ?」
「ちょ、ちょっと、アキちゃん!?」
アキホ先輩が何もないところで躓きました。すかさず一人早めにご飯を運んでいたリョウカ先輩が支えます。なんか妙に手慣れてる……。
「もっと気を付けてくださいな、アキホ」
「た、助かったー。いつもありがとうリョウカ」
「リョウちゃんばかりに任せていてごめんね」
「問題ないですわ。もう慣れましたし……」
「ホントに申し訳ないです……。ウチはいつもみんなに迷惑かけてる……」
「気にしないで下さいな、故意にやってるわけではないのですから。失敗しない人はいませんわ」
いつもって……、リョウカ先輩いつもフォローしてるんですか? それにアキホ先輩って一人称“私”だと思ってた……。
「アキホ、地がでていますわ」
「えっ!?」
アキホ先輩ってもしかして……。
「アキちゃんは本当はドジッ子だけど、無理して真面目キャラやっているのよ」
やっぱりそうなんだ……。
「こ、困ったことがあったら、何でも私に聞いていいよ」
「もう手遅れだよー」
「アキちゃん、流石に今から頼れる先輩になろうとしても遅いかな」
その通りです。
「じゃあ、ミツルギ先生は何歳ですか?」
話を変えるために質問を……。これは初めての生徒会活動からずっと思っていたことです。
『あぁー』
「確かにわからないわね」
「外見年齢が十五、六歳ですからねぇ」
そうなのだ。ミツルギ先生はどうみても同い年くらいなのだ。
「ごめん、ハルちゃん。わたしたちにもわからない」
トウワ先輩が降参したようです。
「早くご飯食べようよー」
会長は子どもですか?
でも、確かにおなかはペコペコですから
『いただきます!』
◇ ◇ ◇
――御劔家――
私が家に帰ったのは普段よりも一時間ちょっと遅い時間になってしまいました。
「ただいま」
『おかえりなさい、お母さん』
「遅くなってごめんね、いまご飯作るから」
「大丈夫、お母さんが準備しておいてくれたものを暖めといたよ」
この息子はとてもよくできていて私もびっくりですよ。
『いただきます!』
今日は、シチューなのです。準備をしておいたので、あとは暖めるだけだったけど息子がやってくれていたので、すぐに食べ始めることができます。
「おかあさん、今日おなじクラスの男の子に、イヤなこといわれたの。かみの毛がへんだって」
「誰が言ったの?」
ネルの髪の毛は結構な癖毛です。が、こんなに可愛い私の娘を馬鹿にしたソイツは万死に値する!
私が怒っていることを察したのか、ネルは慌てて言いました。
「でもね、お兄ちゃんがわたしのかわりにおこってくれたの」
やはり私の息子はとても良くできた子です。その息子を見ると赤くなって下を向いている。どうやら照れているようですね。とっても可愛い。
ナデナデ
「ありがとう、ルイ。妹を守ってくれて」
「ぼくはお兄さんだからね!」
寝るときは私が真ん中になって両側に子どもたちが寝ます。いわゆる川の字ってものです。
「おやすみ、ルイ、ネル」
もうすでに寝てしまったのでしょう。穏やかな寝息が聞こえてきます。このベッドは窓にちかいところにあります。ふと窓を見ると、一筋の光が流れていきました。
「流れ星ですかね……」
こんな日がずっと続いていきますように―――
すいません、役員たちのセリフが区別しにくいかもしれません




