↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
トランクの中が一軒家!? 手甲から実体化する【黒騎士】を出せる俺は、万能魔導ハウスで快適な旅を楽しむ  作者: お米リッチ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/10

第5話

 ロイスがお礼に来て数日、宿の前でマックはずっと車を磨いたり、トランクの中の家を掃除したりとベッタリ引っ付いていた。

「マック、車磨り減るわよ…」

「大丈夫だって!」

 クロエが呆れた様子で声を掛ける。

「マックはもうオークション用の正装は買ったの?」

「ああ、昨日な」

 オークションは3日後だ。

「あんなに車好きとは思わなかったわ」

「夢だったらしいから、家付きの車」

「ふ~ん」

 正直車の中で生活出来るから宿はもう要らないのだが、なんだかマックが楽しそうに掃除や家具を準備したりしてるのでまだ宿を借りている。

 俺達はここ何日か真面目に依頼をこなし、実績を積んだ事で等級が1つ上がり2等級になった。

 そして、いくつか魔石を吸収させたことで、黒騎士は最大8メートル程になれるようになった。

「さて、今日もやるか」

 アッシュは近くの空き地にいくと黒騎士を自分と同じくらいのサイズで召喚する。

「いくぞっ」

 アッシュの剣と黒騎士の剣が衝突する。

 黒騎士は言葉こそ話さないが意志がある。

 独自の剣術も持っているようでこうして剣を合わせながら学ぶことにしていた。

「ハァハァ、ここまでか」

 黒騎士の剣がアッシュの首の近くで止まる。

 正直どの黒騎士の剣術がどのレベルなのか、今のアッシュには計れないでいる。

「帰るか」

 日課を終えて、アッシュは宿へと戻って行ったのだった。

 ちなみにマックはまだ車を磨いていた。




 

 3日後。

 港の駐車場にファントムを停めると、正装をしたアッシュ達3人が降りてきた。

 駐車場からもその巨大な船が見えていた。

 全長320メートルの豪華客船『ブライト』。

「スゴい船ね...…」

「カジノやプール、映画館にレストラン。何でもあるらしいぞ」

「緊張するよ」

 客船ターミナルには貴人や資産家が集まっていた。

「オークションは今日の夜12時から始まるらしい。今は昼過ぎだからかなり時間があるな」

「ビュッフェがあるみたいだから、ウチはいろんな食べ物食べてみたい!」

「適当に時間を潰すか」

「オークションのリストも貰っておこうよ」

 3人は期待に胸を膨らませながらターミナルへと向かう。

「もう結構並んでるね」

「すぐに入れるさ」

 3人が最後尾に並んだ時だった。

 後ろから来た男がアッシュの右手を掴みあげる。

「ぐっ!」「何だ!」「えっ?」

「これは……」

 男はアッシュの指輪を眺めた後、手を離す。

「……っとすいません。つい」

「何なんだアンタ!」

「これは度々失礼しました、今日は分かりづらい格好でしたね。始めまして、教会の聖なる下僕が1人『断罪のアトラ』と申します」 

「断罪!?8聖人の1人か!」

 男はニコリと笑った。

 教会そして断罪といえば世界にただ1つ、神聖教会の『奇跡』を起こす力を持つ8人の聖者。

 更に『断罪』は認定された後に、世界をあちこち渡り歩き、様々な場所で善悪では語れない、重大な事件を起こしている狂信者だ。

 まさかまだ20代後半の糸目の青年だとは知らなかった。

「ま、まさかここで断罪を?」

「いえいえ、ここへは別件です。しかし少年面白いモノをお持ちですね」

「これは…」

「いえいえ、勘違い為さらないで下さい。教団が集めるのは聖遺物か悪魔の物だけ『ソレ』は大丈夫ですよ...」

 アッシュは胸を撫で下ろす。

「しかし、せっかくの縁ですし、一緒に行動しようじゃありませんか」

 アトラはアッシュにズイッと顔を近付けて言った。

「は、はい」

「よろしくお願いいたしますね」

 アッシュとアトラは握手を交わした。

 その後ろでマックとクロエが小声で話す。

「ねぇ大丈夫なの?」

「少なくとも悪人でない限りは大丈夫だ」

「悪人って誰が決めるのよ!」

「……断罪だな…」

 2人は肩を落とす。

 そうして4人は客船ブライトに乗船したのだった。



 ——その頃、船内の某所では。

「潜入成功ね」

「鍵が甘いプルッ」

「流石はカイであ~る」

 ハルカイの3人が船に潜入していた。

「じゃあ予定通りにね。アタシはオークション。ルカはカジノで稼いで来てね、5億くらい。カイは……どっかで遊んでて」

「プルッ!?」

「了解であ~る」

 そうして3人はそれぞれの場所に向かうのだった。


 

 船の中は煌びやかだった。

 豪華な内装に明るい照明、どれもが眩しかった。

 3人はどんよりしていたが。

「まずはどこに行きますか?」

 アッシュが意を決してアトラに質問する。

「私としてはカジノが断罪する相手を探すのに良さそうなので、興味ありますね」

 3人は背筋が寒くなるのを感じた。

「嫌ですねぇ、ジョークですよ」

「は、ははははは。オモシロイ」

 3人は何がなんでもカジノに行かないと心に決めた。

「まずはラウンジにでも行きましょうか」

「そう…だな」

「ですね」

「うんうん」

 アトラを先頭に船内を歩く。

「どうぞ皆さんもくつろいで下さい」

「は、ははくつろいでますよ。モチロン」

 みんなで席に着いたのだが、姿勢を崩せない3人だった。

「あ、アリスちゃんだ…」

 アッシュの視線の先にはこの前迷子になっていた少女とその父親がいた。

 アリスはパフェを頬張っている。

「ほう、あの男は……」

「どうしたんだアッシュ?」

「あ、この前言ってた迷子の子ね」

 アリスがこちらに気付いて手を振る。

 アッシュ達も合わせて手を振った。

「アッシュさん、あの男性のことは?」

「アリスちゃんのお父さんの事ですか?」

「……なるほど父親…」

「どうかしました?」

「いえ、何でもありません」

「ま、まさか断罪…」

「違いますよ。それより、私が何でもかんでも断罪すると思っているのですか?」

「いえいえ、ソンナコトは…」

 マックは分かりやすい嘘をついたがそれ以上は追及されなかった。

「ラウンジはいろんな人が見れていいですねぇ」

「はは、人間観察にはいいですよね」

「ええ」

 やたら喉が乾くので3人はドリンクを大量に注文することになったのだった。

「そういえば俺達はオークションの為に来ているんですけど、アトラさんもですか?」

「ええ、その通りです」

「まさか、聖遺物か悪魔のの物が!?」

「それは見てみないとなんとも……可能性があるので来た、というのが正確な表現ですね」

「なるほど」

 オークションが阿鼻叫喚の地獄絵図にならないことを祈るばかりだ。

 何故神の使者の行動を神に祈るのか、という疑問が一瞬頭に湧いたがすぐに消した。

「ではオークションまで一緒なんですね」

「はい!」

「あぁ~ウレシー」

 色々と諦めたのだった。

 その後はあちこち見て回ることになり、プールやスポーツエリア、土産物屋などに行くことになったのだった。

 ディナーでビュッフェを頂く。

 クロエが喜びケーキを山のように食べているのを見てアッシュとマックは少し癒されたのだった。

 そうこうしているうちにオークションの時間が近付いて来た。

「さて、今日のメインイベントですね」

「緊張してきたな」

「そうだね」

「パンフレットを見てみるといろんな商品があるのね」

「俺達に必要そうな物があるかな」

「う~ん、アッシュの為の魔石とかもあるみたいだけど……」

「魔石はいいよ、依頼をして少しづつ強くならないと」

「アッシュさん、いい心がけですね」

「ありがとうございます。アトラさんもお望みの物があるといいですね」

「ええ」

 4人は席に座る。

 しばらくするとオークションが始まった。

「1億、1億出ました。他にいらっしゃいますか?いらっしゃらないならこれでハンマープライスです!」

 司会が小槌を叩く。

「どれも高くて手が出せないね」

「場違いな気がしてくるよな」

 どれも高額なお宝ばかりだ。

「皆さん次が目玉商品達のようですよ」

「では、本日の目玉商品をご紹介します!」

 司会が紹介するのは3つだった。

「1つ目、『オリハルコンのインゴット』!ご存知最高峰の金属だ!」

 黄金に輝くインゴットが3つ積み重ねられていた。

「2つ目、『真祖の血』だ!使えば強力な吸血鬼になれるぞ!」

 小さな小瓶が1つ。見ていると手に取りたくなる不思議な魅力があった。

「そして最後。3つ目は、『魔神の心臓の欠片』だ!何に使えるかは分からないがとんでもないエネルギーを持っているぞ!」

 拳ほどのサイズの黒い結晶だった。だが、黒の中を何かが蠢いているように見える。

「まさか、本当に出るとは」

 隣に座っていたアトラが呟く。

 ひどく冷えたこえだった。

「まずは1つ目からでは、札をお上げ下さい。開始は1億からです!」

 オークションが進む。

「アトラさん、あれがもしかして」

「ええ、神によりその力を封印されし聖遺物の1つでありながら悪魔の物でもある。私の目的の物です」

 アッシュ達は息をのむ。

「必ず競り落とさねばなりません。無理なら強引な手を使ってでも……」

 そしてついに、3つ目の商品のオークションが始まった。





「では、最後の品開始は1億から!」

「2億」

 開始そうそうアトラが上げる。

「2億1000」

 札を上げたのは若い女性だ。20歳くらいだろうか。

「2億5000」

 再びアトラが金額を上げる。

「3億!」

 女性も負けてない。

 その後も値がつり上がっていく。

「5億!」

 女性が札を上げた。

「くっ!」

 アトラが呻く。

「アトラさん限界ですか?」

「ええ、口惜しい事に……」

 3人は顔を見合わせる。

「あの、これを使って下さい」

 そう言ってロイスに貰った5000万を渡す。

「しかし……」

「いつか返してくれればいいですよ。教会相手だから逃げられることもないですし、アトラさんみたいな凄い人に貸しを作れるなんて機会普通は無いですから」

「助かります。5億4000万!」

 アトラが札を上げる。

「ちっ!」

 どうやら向こうには無いようだ。

「では、5億5000万でハンマープライス!」

「皆さんありがとうございます。この恩は必ず返します」

 3人は笑う。

 アトラの元にやってきたスタッフに支払いを済ませる。

「入金を確認しました。商品は裏で受け渡しをさせて頂きます」

「はい」

 そうして席を立とうとした時だった。

 ドゴンッ!

 揺れと共に爆発音が響き渡り、オークションの商品の展示場でも爆発が起こる。

「なんだ!」

 あちこちで悲鳴が上がる。

「あそこに何か居るぞ!」

 マックが爆発のあった商品の展示場を指差す。

 煙の中からフードを被った人物達が現れる。

 全部で3人、1人の手には魔神の心臓の欠片があった。

「コレは頂く」

 その人物はそう言い放ったのだった。

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。