第18話
わっと歓声が上がる。
「フェルナード様だ!」
皆が口々に名前を叫ぶ。
「フェルナードさん!カッコいい~!!」
クロエもその中に入っていた。
「お~、昨日テレビで見た顔じゃのう」
「うん、昨日のドラマの主役の人だね」
ルナとアッシュは顔を見合わせると頷く。
「アレがねぇ、カッコつけすぎじゃないか?」
マックは苦手そうだった。
「やあやあ皆さん、ご声援ありがとう」
そう言ってフェルナードは手を振る。
「実は私も少し恥ずかしいのだよ。普通に出て来たかったのだがこれもマネージャーの演出でね」
フェルナードがマックにウインクをする。
どうやら聞こえてたようだ。
「コイツら海賊の事は船長と話をつけてあるので任せてくれたまえ!…おっとサインかい?もちろん書くとも!順番に書くから並んでくれるかな?」
そう言ってペンを取り出して服や紙にサインをしていく。
もちろんクロエも並んでいた。
船内から船員が縄を持って現れると海賊達を1人残らず捕縛して船内へと運んでいく。
フェルナードは全員にサインを終えるとアッシュの方へ向かって歩いてくる。
そして、アッシュの目の前で立ち止まるとキラリと笑った。
「君だね、海賊達に啖呵を切ったのは。実にカッコ良かったよ。これは私の名刺だ、是非とも我が社で俳優デビューしないかい?その気になったらいつでも連絡してくれたまえ!」
そう言って船内へと歩いて行った。
「カッコいい~」
クロエが去っていくフェルナードの背中をキラキラとした目で見つめていた。
「うむ、ドラマのままじゃったな」
「流石先輩冒険者だね」
感心するアッシュとルナ。
「…俺は苦手だ……」
マックは相変わらずだった。
「有名人ってフェルナード様の事だったのね」
「フェルナードさまぁ?」
マックは身を震わせる。
「あはは、クロエはもう完全にファンだね」
「アッシュもデビューするのかのう?」
「いや、俺には向いてないよ。みんなと旅をするのが好きだし」
そう言ってアッシュは笑う。
「何にせよ片付いたな。部屋に戻るか」
そう言ってマックは船内へと足を向ける。
「俺も戻るよ」
「わしもじゃ」
「あっ、ウチも!」
3人はマックの後を追う。
思いがけない出会いのあった1日は、そうして終わるのだった。
次の日の朝には港へと着いた。
あれからフェルナードさんには会えなかったがまた何処かで会えるだろう。
車を船から降ろすとみんなで乗り込む。
「さて、今日はとうとうゴーラに着くぞ!」
テンションの高いマックが車を走らせる。
「ゴーラは山岳地帯にあるんだよね」
「ああ、鉱山で栄えた街でもあるからな」
「着いたらどうするのじゃ?すぐに依頼へ向かうのかのう?」
「いや、みんな移動で疲れてるだろうから鉱山へは明日にしようよ」
「そうね、マックも観光したいだろうし」
「あはは、まあな」
たわいもない話を続けながら一行は走り続けるのだった。
そして、昼過ぎにアッシュ達は魔導都市ゴーラへと到着するのだった。
ゴーラの街並みは独特だった。
明るい街並みだが、金属で出来た家にみんなが住んでいる。
あちこちで蒸気が上がり、魔導機械の人形が車を運転したり、店を回している。
「蒸気が上がってるだろ?街の中心部には魔導力を発生させる工場があってそこから蒸気機関でエネルギーを送ってるんだ。カッコいいよな~」
運転中のマックがうっとりしながら言う。
「宿を決めないとね」
「ウチが調べたげるわ」
そう言ってクロエがタブレットを操作する。
そうして宿を見つけると車を停めてチェックインを済ませる。
「さあ、行くぞ!!」
元気なマックに連れられて街へと繰り出すのだった。




