第17話
2日目俺達は港へと着いた。
「ゴーラ行きの船は昼頃に出港だそうだ」
マックがチケットを買ってくる。
「それじゃあ、この街を見る時間はあんまり無いね」
アッシュが残念そうに言った。出港までは後一時間程だ。
「船に乗って待ってるのが良いだろうな」
「船は初めてじゃな」
「実は俺も」
ルナとアッシュがワクワクしながら言う。
「ははは、なら酔い止めを買っとかないとな。酔うかも知れないし」
「そうね」
マックとクロエが笑う。
「うぬ~、船酔いという奴じゃな…恐らく大丈夫だと思うのじゃが…」
「…一応飲んでおこうか、ルナ」
アッシュとルナはそうして酔い止めを飲むのだった。
汽笛が鳴り、大きく揺れると船が出港する。
アッシュ達はオープンデッキから移り行く景色を楽しんでいた。
「到着は明日になる。今日は船で寝泊まりだな」
「了解じゃ!」
マックにルナが返事をしていた。
「明日にはゴーラか…」
「マックがテンション上がりすぎないか心配ね」
アッシュの言葉にクロエが笑う。
「なあ、お二人さん。船内へ飯でも食べに行かないか?」
マックとルナがこちらに来る。
「そうだね」
「行きましょ」
4人は船内のレストランへと向かうのだった。
各々が好きなものを注文する。
アッシュはパスタ、マックはステーキとサラダ、クロエは魚の定食、ルナはパンケーキを注文した。
料理を待っていると隣から気になる話が聞こえてきた。
「この船に有名人が乗ってるんだってさ。VIPルームに居るらしいぞ。さっきルームサービスが料理を持って行く時に注意されてるのを聞いたんだよ」
「へー、有名人って誰だろうな。やっぱり市長とかアイドルとかかな?」
「うーん、どうだろうな。そのうち出てくるかな?」
「いや、ルームサービス呼ぶくらいだし出ては来ないじゃないか?」
「それもそうか…」
男達はそうして料理を食べ始める。
「聞いた?有名人だって!」
クロエが声のトーンを落とすとアッシュ達に話しかける。
「クロエは好きだな~、そう言う話」
「もちろん!気になるじゃない」
呆れるマックに目を輝かせながらクロエは言った。
「ご馳走様!ウチはデッキで待ってみる!」
そう言うとクロエは去っていく。
「むっ、むぐっ。わ、わひもひく」
ルナも慌てて口にパンケーキを突っ込むとクロエの後を追った。
残された2人は食事を終えて会計を済ませる。
「俺は2人を見てるよ」
「頼んだ。俺は部屋で武器の手入れでもしてるから何かあったら呼んでくれ」
「了解」
アッシュとマックはそう言って別々の場所に向かうのだった。
デッキではクロエとルナがのんびりと景色を眺めながらベンチに座っていた。
「あっ、アッシュ!」
「おぬしも座るがよい」
ルナが隣のスペースをポンポンッと叩く。
アッシュは座ると2人に尋ねた。
「会えたの?」
「ううん、残念だけどまだね」
「よい景色じゃしそのうち来るかも知れんのじゃ」
2人はそう言って笑う。
「そっか……ん?アレは?」
「なんじゃ?」
「船ね」
3人の視線の先には3隻の船が、どれもガイコツに交差した剣が描かれた旗を掲げている。
「海賊!」
「マズいわねみんなに知らせないと!」
「マックにはわしが知らせるのじゃ!確かこうじゃったかのう…」
クロエは船員の元へと走り、ルナはタブレットをぎこちない動きで操作していた。
アッシュは剣を召喚すると構える。
少しすると船内放送が流れた。
「海賊ガキって何の事だ?…ん?あの旗は」
マックが船内から出てくる。
「す、すまぬ。打ち間違えたのじゃ」
ルナが恥ずかしそうにモジモジしていた。
マックの他にも戦えそうな人達が武器を持って出てくる。
「これだけ居れば何とかなるだろ」
マックが呟いた。
アッシュ達の乗る船の前を海賊船が塞ぐ。
他の2隻もこちらの船を取り囲むようにいどうする。こちらの船が止まると男たちが乗り込んで来た。
「はっ、いいカモがたくさん居るじゃねぇか」
船長らしき男が海賊達の奥から姿を現す。
「素直に降伏すれば命は助けてやる。降伏か死か!」
「「「降伏か死か!!!」」」
後ろの海賊達が合わせて叫ぶ。
「降伏はしない」
アッシュは剣を握る手に力を込める。
「なら、皆殺しだ!!」
海賊の船長が叫んだ時だった。
「待て!!」
船のマストの近く、高い場所から声が響く。
みんなが見上げるとそこには1人の男が立っていた。歳は40程、しかし衰えなど感じさせない強靭な肉体を持った男だった。
「誰だテメェ!」
海賊が叫ぶ。
「私か?私は『閃光の騎士』などと呼ばれているものだ」
「あっ!」
クロエが声をあげる。
「名はフェルナード。貴様らを倒す者だ」
そう言うとフェルナードは鞘の付いたままのレイピア構えて跳ぶ。
速い。
残光を残しながら敵に突っ込むとデッキの先に立っていた。
「ばか…な……」
海賊達は崩れ落ちるように倒れる。
「安心しろ命は取らん」
そう言ってキラリと笑うのだった。




