74話 アリアの本気
さて、どうするか。
相手はレベル800台後半、正直言ってこのレベルの相手と戦うとなると、俺も全力を出さないといけなくなる。
そうなるとマルクスがしんどい。
マルクスもレベルは700台あるから、ここないる俺以外の面子だと正直厳しい。
ミストレイがいてくれればマルクスの相手を任せられたのにな。
「お前のことはよく知ってるぞ、オルクスよ、本来は存在しない4人目の王になれるものと聞いている」
またその話か、イマイチ意味がわからないんだよなそれ。
王ってのが、"魔王"、"英雄王"、"万物王"ってのはわかったけどそれ以外よくわからないんだよな。
「ああ、前にもアックスに言われたよ」
「ほう、アックス様を呼び捨てとはさすがだな」
そう言ってヴァパールは少し不機嫌になった。
こいつ強いし、ここは戦わずやり過ごしたいな、よし試しに魔王について話題を振ってみよう。
「おいヴァパール、魔王のついて何か知ってたりするか?」
「魔王だと?あぁ、知っているぞ色々とな」
「ほう、さすがだなヴァパール、少し聞かせてもらえないか?」
「さすがとは、俺のことを褒めたのか?」
「ああそうだが?」
「ほう」
ヴァパールは少し照れた。
なんだろうこの感じ、もしかしてこいつちょろいのか。
「い、いやぁ、魔王も強いけど、ヴァパール達天聖会もだいぶ強そうだよなぁ、マリギュラ?」
俺はマリギュラに合わせろよと目で訴えた。
「ほ、ほんとにそうですね、いやぁ天聖会のお陰で毎日平和だなぁ」
「おいお前ら……」
ば、バレたか。
「なんだよそんなに俺たちの支持者なのか、そらなら早く言えよ」
そう言ってヴァパールは懐か何やら紙を取り出してきた。
な、なんだあれなんか書いてあるぞ。
「ほらよ」
「わ、わぁありがとうございます」
そう言って俺は似顔絵を渡された。
……いやいやちょっと待て、こいつはいつもこんなもん持ち歩いてるのか。
や、やばい人じゃん。
「お前にもやろう」
「や、やったぁ」
そうして似顔絵はマリギュラにも渡された。
なんか微妙に上手くて、微妙に下手なんだよなぁこの似顔絵……もしかして自作か?
「さてと、オルクスよ今は気分が良い見逃してやってもいいぞ」
気分が良くなったヴァパールは、ニヤニヤしながらそう言った。
おお!キタコレ!!これ、これを待っていたんだよ。
……でもまぁ、なんだろうな、勝てないからって逃げるのはどうなんだろう……。
「すみません、私にも一つください」
「え、お、おう、あんたにみたいな美人が貰ってくれると嬉しいな」
俺とマリギュラの不甲斐ない姿を見て唖然しているティアナを尻目に、アリアもそう言ってヴァパールから似顔絵を貰った。
似顔絵渡すときのヴァパールの表情、少しキモかったな。
「……不細工です、これは」
「え、は?ぶ、不細工?」
「はい……だからもっとカッコよくして差し上げますね」
「へ?」
「アビリティ発動、鉄血鉄拳!」
そう言ってアリアは拳に先ほどの鉄血を纏う。
「ちょ、やめ、やめろー!」
「うるさいブサイク」
『ゴス』
そう言うとアリアはその拳でヴァパールの頬を思いっきり殴った。
鈍い音を立てて。
あとアリアさん、やるならやるって何かしら合図をくださいね。




