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第29話 王弟の誘い

アルフォンス殿下よりもらった言葉は、カイルの目指す世界を実現させる、大切な一歩だった。


「その上で――もし本当に君の目指す“魔物を狩る騎士”になる力があると分かれば、私の指揮下でその組織を作ろう」


カイルは思わず身を乗り出した。


「……本当ですか!?」


エルマーも目を見開く。


王族がここまで明確な言葉を口にすることは珍しい。


アルフォンスは穏やかに笑った。


「どうやら私は、うまく誘導されたらしい」


「え?」


「発明家兄弟としての功績を見せ、夢を語り、最後に他国をちらつかせる。見事だ。まんまと君の手の内に入ったらしい」


呆れと感心が入り混じった笑みだった。


そして一つの結論に辿り着く。


(何としてもこの国へ繋ぎ止めねばならん)


やがて何かを決めたようにアルフォンスは口を開いた。


「なあ、カイル。この城に住まないか?」


親しげに名を呼ばれ、まるで夕食に誘うような軽さで言われた。


だが、その場にいた全員が言葉の意味を理解していた。


エルマーは思わず王弟を見る。


ここまで話が進むとは、さすがに予想していなかった。


それは、国としてこの少年を囲うという意味を持つ。


カイルも一瞬だけ言葉を失う。


しかし、出た答えは何とも歯切れが悪い。


「それは……大変ありがたいお言葉なんですが……その」


断りたい気持ちが透けて見えるほどの声色だ。


アルフォンスはそんな様子を面白そうに眺めていた。


すると横から、ルークがぽつりと呟く。


「坊ちゃん、たぶんそれ――王都のトリニティ・クロスの工房に行けなくなるのが嫌なんすよね?商売やりにくくなるから」


空気が止まった。


次の瞬間、テーブルの下で鈍い音がする。


「いっ……!」


ルークの顔が歪む。


カイルは爽やかな笑顔のまま、無言でルークの足を踏み抜いていた。


その光景を見た殿下は、ついに吹き出した。


「ふっふっ。君は、この城より工房の方が大事なようだ」


ようやく足を解放し、カイルは観念したように肩をすくめる。


「正直に言うと、商売しにくくなるのは困ります」


その答えにアルフォンスはとうとう声を上げて笑った。


エルマーが呆れたように息を吐く。


「王族の城へ住む機会より商売か……」


普通の貴族の子なら光栄に震え、二つ返事で飛びつくような話だ。


だがカイルは違う。


殿下もそれが分かり、楽しそうに笑みを浮かべた。


「本当に面白いな、君は」


そう言いながら頬杖をつく。


「ますます手放したくなくなる」


冗談めいた口調だったが、その目は笑っていない。


「それに――私は先ほど言ったはずだ。君という人間をもっと知りたいと。ならば、同じ城に住むのが一番早いだろう」


「……確かに」


「だろう? どんな人間なのか。何を考え、何を作り、どこへ向かおうとしているのか。毎日顔を合わせていれば、嫌でも分かる」


アルフォンスは真っ直ぐカイルを見た。


「正直に言おう。私は君を他所へ渡したくない。このまま王都へ返せば、気付かぬうちに誰かに取られてしまいそうだからな」


声音には、僅かな警戒が滲んでいた。


エルマーは、その本気を感じ取り、この機を逃してなるものかと口を開いた。


「殿下、もしそれでカイルが迷っているのであれば、私の方で手配しましょう」


王弟が視線を向けた。


「王都のトリニティ・クロスの工房は部下へ任せます。すでに腕の立つ者を置いておりますから、運営に問題はありません」


さらに続ける。


「このアルテにもヴァルディア商会の店と工房があります」


カイルの眉がぴくりと動いた。


エルマーは見逃さない。


「商売のために何か新しいものを作りたいなら、材料も設備も揃います」


そこで、ちらりとカイルの耳に口を寄せ、少しだけ声を潜めた。


「それに――ここなら剣都にもすぐ行けるぞ」


その瞬間、カイルの目の色が変わる。


エルマーは内心で笑った。


「剣の情報も集められ、職人探しも続けられる」


その一言は的確だった。


王族の城に住みながら商売も続けられ、剣の研究や職人探しもできる。その上、工房まで用意されている。


条件としては破格だった。


だが、カイルはすぐには頷かなかった。


しばらく考え込んだ末「……でも学校は」と呟く。


アルテから王都までは馬車で五日も掛かるため、通学など現実的ではない。


騎士学校を捨てれば、父に説明がつかなくなり、目指す道そのものにも傷が付く。


それは簡単に切り捨てられる問題ではなかった。


「ならば、ここで学べばいい」


殿下はあっさり言った。


「教師はこちらで手配しよう。この城には学者も多く出入りしている。学びたい分野があるなら環境は整えられるぞ」


そして逃げ道を塞ぐように続ける。


「学校の方には私から話を通そう。出席扱いになるよう取り計らう」


王国には主要な街ごとに騎士学校が存在する。


ここアルテも例外ではない。


だが、その頂点は王都の王立騎士学校だ。


近衛騎士や騎士団の要職へ就く者の多くはそこを卒業しており、学科や実技、家柄による厳しい選抜が行われる。


王都への入学を果たせず、地方の騎士学校へ進む者も少なくなかった。


エルマーが思わず目を細めた。


王族の権限で学校制度へ直接働きかけるという意味だ。


転校させるのではなく、カイルの肩書きに傷が付かぬよう、王都の騎士学校へ籍を残したまま、この城で学ばせる。


普通なら到底あり得ない話だった。


だが、当の本人は大したこととも思っていないらしい。


アルフォンスは話し終えると、紅茶を一口飲んだ。


静かな沈黙が落ちた。


カイルは視線を落とし、小さく息を吐く。


学校の問題まで解決し、実家から離れ、自由に動ける時間も増える。


頭の中で損得を並べてみる。


だが、どう数えても得しか見当たらない。


そんな話があるのかと、逆に警戒したくなるほどだ。


それでも――。


自分の目指す未来を実現するなら、この機会を逃す訳にはいかない。


カイルは腹を括り、顔を上げた。


「……父の許しが貰えるなら」


そう前置きしてから少し笑った。


「ぜひ、お願いします」


その返答にアルフォンスは満足そうに頷く。


「よし。では次は――君の父親を説得する番だな」


カイルの表情が僅かに引きつる。


「まさか、全部話す気ですか?」


「安心しろ」


アルフォンスは苦笑した。


「私もそこまで愚かではない」


そう言って肩を竦める。


「商売や魔物狩りの話まで持ち出せば、話がややこしくなるだけだ。まずは城へ招く理由を用意しよう」


カイルはほっと胸を撫で下ろした。


「助かります」


「ただし」


口元がわずかに上がる。


「いつまでも隠し通せるとは思わんことだ」


カイルは深く息を吐いた。


それは分かっている。


だが今、父からやめろと横槍を入れられれば、これまで積み上げてきたものが全て無駄になってしまう。


だからこそ、今はまだ知られる訳にはいかなかった。


もっとも――。


このまま殿下が後ろ盾となってくれるのなら、いずれ明かす日も来るのかもしれない。


そんなことを考えながら、カイルは静かにカップへ手を伸ばした。


「そういえば」


アルフォンスが思い出したように口を開く。


「君たち、宿はどこに取っている?」


「剣都です」


答えたのはエルマーだった。


「剣を作る工房が多いですので、この子の勉強にもなると思いまして」


「なるほど」


王弟は納得したように頷く。


「確かにあの街は良い。騎士になるなら、武具や職人を知ることも大切だからな。せっかくだ。ゆっくり観光もするといい」


だが、その言葉にカイルは首を横へ振る。


「いいえ。まずはアイアーベアの素材を保存しないといけませんので、忙しいんですよ」


「保存?」


殿下の眉がわずかに上がった。


「はい。骨も毛皮も血も、そのままでは駄目になりますから。まだ何に使うか決めていないので、長期保存できる状態にしないといけないんです」


「それは面白そうだな」


その目に興味の色が浮かぶ。


この少年は魔物を倒して終わらない。


倒した後の素材にまで価値を見出している。


「……それは、どういうことをするんだ?」


問いに、カイルは肩を竦めた。


「そこまで特別なことじゃありませんよ。基本的には動物とあまり変わりません」


「ほう。そうなのか」


彼はわずかに眉を上げる。


「なら、その後は?」


あまりにも自然な問いだった。


だが、カイルは内心で舌を巻く。


保存方法を聞いているようで、その実、聞きたいのはそこではない。


動物と変わらないのであれば、もっと前から誰かが魔物素材を利用していてもおかしくない。


それなのに、それらは価値を持たなかった。


つまり重要なのは、その先。


素材を商品へ変えるための“核”の部分だ。


アルフォンスは、それをさらりと聞き出そうとしている。


(この人本当に侮れないな……)


穏やかで話しやすいからこそ危険だった。


気を抜けば、こちらから勝手に情報を零してしまいそうになる。


カイルは苦笑しながら答えた。


「まぁ、その辺は秘密です」


するとアルフォンスは楽しそうに笑った。


「そう簡単には教えてくれんか」


その言葉には、作業への興味もある。


だが同時に、本当にアイアーベアを討伐したのか、その目で確かめたいという意図も含まれている気がした。


カイルは微妙な顔で笑った。


しかし、殿下はなおも食い下がる。


「駄目か?」


「……駄目ではありませんが……」


カイルは言葉を選んだ。


「保存自体は特別な技術じゃありませんから。ただ……作業中に商品化の話や、そのための加工へ移ることがないとは言えません」


王弟の眉がわずかに上がった。


「なるほど」


理解は早かった。


保存と商品化。


カイルの中では、その二つは完全に別物なのだ。


「ですので……守秘義務契約に署名して頂けるなら」


その瞬間、執務室に笑い声が響いた。


「はははっ!」


アルフォンスだった。


「さすが商人だな」


肩を揺らしながら笑った。


「技術や情報に価値があることを理解している。そして、それを守る方法も知っている」


殿下は感心したように目を細めた。


「良いだろう。その契約、結ばせてもらう」


そう言ってから、ふと思い出したように続けた。


「ならば、私の代わりに一人付けよう」


「一人?」


「あぁ。さすがに私が毎日倉庫へ通う訳にもいかんからな」


そう言って椅子へ背を預ける。


「私の信頼する者だ。自然学者なのだが、昔から魔物に強い関心を持っていてな。彼に守秘義務契約へ署名させよう」


そして肩を竦める。


「私の代わりに見て学んでもらおう。その知識で何か手を貸せるかもしれん」


学者。


つまり専門家だ。


自然学と一口に言っても様々だ。


どんな知識を持っているかは分からない。


だが、利用できるなら利用しない理由はない。


カイルは小さく頷く。


「助かります」


するとアルフォンスは顔の横で指を立てた。


「ただし、その者から私への報告は許可してもらうぞ」


「それは構いません」


「うむ。話が早くて助かる」


満足そうに頷いた。


「場所は?」


「剣都の倉庫を使います」


「なら彼もそこへ向かわせよう」


話はあっさり決まった。


エルマーは紙を取り出し、倉庫の場所を書き記す。


「こちらになります」


アルフォンスは目を通し、小さく頷いた。


「分かった」


「時間は明日の朝で。契約書類も用意しておきます」


「承知した」


和やかな空気のまま、面会は終わりへ向かっていった。


カイル達は立ち上がる。


「今日はありがとうございました」


アルフォンスも椅子から立ち上がった。


「こちらこそだ。久しぶりに時間を忘れて話し込んでしまった」


そう言ってカイルを見る。


「また会えることを楽しみにしている」


「……はい」


カイルも小さく頭を下げた。


「失礼します」


三人は一礼し、執務室を後にした。


アルフォンスはその背を見送ると、ゆっくりと窓際へ歩み寄る。


やがて馬車へ乗り込む三人の姿が見えた。


そして、その馬車が城門を抜けた後もしばらく窓の外を眺めていた。


「まったく……とんでもない拾い物をしたな」


そう呟くと、ようやく窓から離れ、机の上のベルを鳴らした。


すぐに近衛騎士達が入室する。


「重役達を会議室へ集めろ」


普段より早い口調だった。


「今すぐだ。怪物が現れたと伝えろ」


騎士達は怪訝そうな顔をしたが、問い返さない。


「急げ」


「はっ!」


命令を受けた数名の騎士が慌ただしく部屋を飛び出していった。


静寂が戻る。


アルフォンスの口元が、ゆっくりと吊り上がった。


一方その頃――。


城を後にした三人を乗せた馬車は、既に剣都へ向かって走り出していた。


「坊ちゃん! ヤバかったっすよ!!」


ルークが身を乗り出す。


「殿下っすよ!? 王族っすよ!? しかも城に住まないかって!」


「聞いてた」


「普通はもっと喜ぶところっすよ!?」


カイルは窓の外を見たまま眉を寄せた。


「なんか面倒くせぇことになった気がする」


「はぁ!? 坊ちゃん、いつもは頭いいのに、なんでこういう時だけ分かんないんすか?」


「アホか!」


ペシリと額を叩く。


その様子にエルマーが声を上げて笑った。


「ははは! だがよくやった。これで続けていける」


満足そうに頷く。


「商売も、魔物狩りもだ。お前の考えている組織もな」


カイルはため息を吐いた。


「まだ親父がいるだろ? 城に住むことを許可すると思うか?」


「許可するかどうかではない」


エルマーは即答した。


「許可するしかなかろう。王弟殿下が直々に呼んでいるんだぞ?」


「……」


「断れば、むしろ殿下の顔を潰すことになる」


そこまで言うと、エルマーは深い息を吐き、頭を抱えた。


「問題があるとすれば別だ」


「何だよ?」


「私だ」


真顔だった。


カイルとルークが同時に首を傾げる。


「ラインハルト殿へ何と説明すればいいのか、今から頭が痛い。なぜ殿下に会いに行ったのか詰められる」


「あー……それは確かにっすね」


ルークが吹き出す。


「笑い事ではない。下手をすれば私が怒鳴られる」


「だな」


エルマーはカイルをギロリと睨んだ。


「お前は味方をしろ」


「そんなこと言ったって、最初から殿下のところへ行くって言っときゃよかったんだよ」


「結果論だ。元々は殿下へ相談だけして帰るつもりだった。余計な詮索を防ぐために、剣都を口実にしたというのに」


そう言って肩を落とす。


「それが気付けば城へ住む話だ。そのせいでラインハルト殿へ連絡まで行く始末になった。誰がこんな展開を予想する」


「まぁ、それは同情する」


「他人事だな」


「実際、他人事だからな」


即答だった。


エルマーの眉がぴくりと動く。


そして、じろりとカイルを見る。


「そうだな」


少々意地の悪い笑みが浮かんだ。


「初めからお前が魔物を狩って商売しているから、殿下へ相談に行くと正直に言えばよかった」


その瞬間、カイルの表情が固まった。


「どうした?」


エルマーはニヤリと笑う。


「反論しないのか?」


カイルは視線を逸らした。


できない。


その様子を見てルークが吹き出す。


「あははっ! 坊ちゃんの負けっす!」


「うるせぇ」


馬車の中に笑い声が広がった。


その後、一行は剣都へ戻り、少し遅めの昼食を取ることにした。


昼時を過ぎていたこともあり、店内は比較的落ち着いている。


話題になったのは、明日来るという自然学者のことだった。


「殿下がわざわざ付ける方だ。おそらく相当優秀な人物だろう」


エルマーはそう言ってスープへ口を付ける。


「失礼のないようにな」


「そんなこと言われなくても分かってるよ」


カイルは呆れたように返した。


どんな人物が来るのか。


どんな知識がある人なのか。


期待は膨らむ。


その日、カイルは工房巡りにも出なかった。


宿の資料室へ足を運ぶこともない。


珍しく部屋へ籠もり、机へ向かっていた。


ペンを走らせているのは、守秘義務契約の書類だ。


一枚書いては首を傾げ、紙を丸める。


また書いては破り捨て、新しい紙へ手を伸ばす。


そんな作業を繰り返した末――。


やがて完成した書類を見つめ、満足そうに頷いた。


「完璧だな」


そして、口元がにやりと歪んだ。


その笑みが何を意味するのか。


この場で知る者は誰もいない。


ふと横を見る。


ベッドではルークが気持ち良さそうに寝息を立てていた。


「すぅ……すぅ……」


カイルは思わず苦笑する。


どうやら相当疲れていたらしい。


無理もない。


王の弟であるアルフォンスと直接話す機会など、そうあるものではない。


むしろ普通の人間なら、一生縁がなくても不思議ではないのだ。


ルークなりに緊張していたのだろう。


そう思うと少しだけ可笑しかった。


「……お前も大変だったんだな」


もちろん返事はない。


代わりに聞こえるのは規則正しい寝息だけだ。


カイルは小さく笑い、再び机へ向き直る。


今度は明日から始まる保存作業の手順を書き始めた。


そうして迎えた翌日。


朝食を済ませた一行は、エルマーと共に倉庫へ向かっていた。


そして到着した瞬間――。


「でか……」


思わずカイルの口から声が漏れる。


想像していたより遥かに大きい。


ただ荷物を保管するための倉庫ではなかった。


建物の横では荷馬車が何台も出入りし、人夫達が慌ただしく荷を運んでいる。


一角では果物や野菜が仕分けられ、さらに奥では持ち込まれた動物を解体している区画まで見えた。


血の匂いと獣の匂いが風に乗って流れてくる。


「ここでも解体してるのか?」


カイルが尋ねる。


「ああ。隣のアルテだけでは捌ききれんからな」


エルマーは頷いた。


「あちらは森が広い。猟師も多いし、持ち込まれる獲物の数も桁違いだ」


そう言って倉庫群へ視線を向ける。


「保管も加工も、こちらで一部行っている」


「なるほど」


「もっとも――アルテの倉庫の方がもっと大きいがな」


「え?」


ルークが目を丸くした。


「これよりデカいのがあるんすか?」


「あるぞ」


「マジっすか……」


呆気に取られていた。


その時だった。


「人間三体確認……」


小さな声が聞こえた。


三人が振り向く。


そこには、一人の男が立っていた。


いや、立っているというより――よたよたと近づいてきている。


髪はぼさぼさで服はよれよれ。


長く伸びた前髪が目元を隠し、髭も伸び放題だった。


若いのか年寄りなのかすら分からない。


(浮浪者か……?)


そう疑いたくなるほどの身なりである。


肩からは大きな鞄を提げ、手には分厚いノートを抱えていた。


カイルは様子を伺う。


男はぶつぶつと何かを呟いていた。


「若い雄が二体……成熟した雄が一体……」


ルークは反射的にカイルの背へ隠れる。


すると男はまた呟いた。


「警戒行動あり……こちらに怯えている……」


ルークの顔が青ざめた。


「坊ちゃんヤバいっす」


そして次の瞬間――。


「不審者っすぅぅぅぅ!!!!!!」


ルークの絶叫が、倉庫中へ響き渡った。

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