悲劇が止まらぬ現実世界にて とある新人刑事
それは もうすぐ夏休みを迎え
学生達がワクワクしながら日々を過ごす時期
そんな時期に限って 『哀しい事件』が起きてしまった
「ふわぁー・・・」
「おい、しっかりしろ。」
「だって先輩・・・出勤してすぐに『事件現場直行』なんて聞いてないですよー・・・」
「事件に予測も何もないだろ、いいからとっとと目を覚ませ。」
とは言っても・・・・・最近この地域は署でも有名な『ご近所トラブル』が蔓延している場所。寝不足じゃなくても、進んで行きたがる刑事もそうそういない。
・・・まぁ俺の寝不足は、ただ単にネットサーフィンのやりすぎだったんだけどな。
今回は割と緩い先輩で助かった、もし手厳しい先輩にあくびを一瞬でも見られたら説教待った無しだったよ。
俺はさっきコンビニで昼食と一緒に買った缶コーヒーを飲み干し、軽く背伸びをした。
現在時刻は午前9時過ぎ、出勤ラッシュが終わると、この道路も閑散としてしまう。
出勤・登校ラッシュになると、警察官が見回りする程人が増えるにも関わらず、今道路を歩いているのは、誰一人としていない。
もっと涼しくなればおじさんやおばさんが歩いている風景を見られるのだが、今は猛暑真っ只中。
車の窓から降り注ぐ太陽は、もはや焼け爛れるくらいの熱を帯びている。
これから灼熱の屋外に出て現場に向かわなくてはいけない事を考えると、誰だって憂鬱になるさ。
最近はスーツの生地が涼しく感じるYシャツがあるから、マシなのかもしれない。
ただ俺は、あまり現地調査には行かず、安心安全な署で事務作業をする担当。
今回は『人不足』もあって、珍しく先輩を乗せて車で現場へ向かっている。正直先輩を乗せての運転は、いつもの数十倍くらい緊張する。
先輩は、先に現地へ到着している警官と連絡を取っている。どうやら第一発見者は、『倉庫の管理人』
事件が起きたのは、署からそこまで離れていない、『タイル製造会社』の所有している『倉庫』の一つ。
そこで起きた事件が、『事件』か『事故』なのかはまだはっきりしないが、どうやら『人命』が関わっている事件らしく、『強盗』や『窃盗』ではない様子。
『人命』に関わる事件を調査するのは今回が初めてな俺は、無意識にハンドルを持つ手が震えていた。怖いわけではないのだが・・・
普段から俺が処理している仕事は、『窃盗』や軽い『揉め事』ばかり。正直それらの書類を整理するのは、結構大変な上に面倒臭い。
それこそ、『人間同時の事情』も挟まってくると、余計に事件がややこしくなってしまう。最悪裁判沙汰だ。
・・・だが、こっちの仕事も大変そうだ。現場が見えてくると、既に多くの野次馬が大群になって押し寄せていた。
野次馬をサイレンの音で払い除け、俺は駐車場に車を止めた。倉庫前の駐車場には、既に多くのパトカーや警察車両が止まっている。
車のドアを開けると、ムワンッとした夏独特の湿気が全身を襲い、一瞬息が止まってしまう程の不快感が、俺の精神を逆撫でする。
まるで『湿気の壁』の如く、俺や先輩の進路を邪魔するように、今日も暑さと湿気が厳しい日だった。
この空気は、もうすぐ『台風』が来る前兆なのかもしれない。台風が来るとまた別の事件が起こるから、また帰ってからも一仕事ありそうだ。




