悲劇が止まらぬ現実世界にて とある新人刑事
「あ・・・おはようございます、塔下刑事。」
「状況は?」
「はい、第一発見者の『倉庫の管理人』兼、『タイル製造会社の社長』は、警察車両の中で事情
を聞いています。
どうやら朝出勤して、倉庫の鍵を開けようとしたら、鍵が開いていたらしく、昨日はしっかり
施錠して帰宅した事を覚えていた為、慌てて倉庫の中を確認したら・・・」
そう言いながら、警官は倉庫に目を向ける。既にそこには黄色い規制線が貼られており、中からは『とんでもない異臭』が放たれていた。
その匂いを嗅いだだけで、中で何が起こったのか、だいたい予想できる。
この臭いに慣れてしまうのも、『職業病』なのか、もしくは『慣れ』の問題なのか・・・
俺と先輩は、件の倉庫に足を踏み入れると、そこにはタイルがまるで壁の様に積み重なっており、それらを運ぶ重機もいくつか保管されている。
外も十分暑かったが、密室状態だった倉庫の中は、加熱中の電子レンジと言わんばかりの猛暑で、俺も先輩も思わず「うっ・・・」と言ってしまう。
人がだいぶ出入りしているのか、周辺には埃がそれほどあるわけでもなく、むしろ綺麗に整頓されている。
てっきりゴミやら廃材で散らかっていると思ったのだが・・・
そして、窓の外から差し込む太陽の光が、倉庫の中央に集中している箇所に『仏さん』がいた。
・・・いや、しっかり見えているわけではない、ブルーシートで覆い隠されている状態である。だが、そのブルーシートからはみ出している『縄』を見て、この事態の終始を全て理解した。明らかにこれは・・・
自ら首を・・・・・
セミの声が響き始めた頃
虚しい青年の 悲痛な感情は
何処も告げる事ができないまま 散ってしまった




