第十八章 『仇』は取れても 『絶望』からは逃れられない
「姉さん。
今日もご飯、美味しかったね。」
「姉さん、あんまり無理はしないでね。自分、姉さんがいなくなったら、何もできなくなる気がするん
だ。」
「姉さんは綺麗だから、きっと素敵な花嫁になれるよ。その時には、自分がお祝いとして、お揃いの日用
雑貨をプレゼントしてあげる。
・・・・・え? 自分の作品の方がいいの??
でも姉さんもアン殿下も、毎日見てるから飽き飽きするんじゃないの?
・・・・「飽きない」??
・・・そっか、じゃあ今からでも色々と考えておかないと。やっぱり材料は里の山で仕入れた方がいい
かな。」
「姉さん、どんな花嫁衣装を着るんだろう・・・・・今から楽しみだな!
・・・・・え? 自分??
多分・・・また色々と着飾るんだろうね。でも、姉さんが主役だから、そんなに派手な服じゃないとい
いな・・・」
「・・・・・ねぇ、姉さん。
姉さんはさ、結婚しても
『姉さん』でいてくれる??」
「・・・・・当たり前じゃない・・・
だってアンタは・・・ウルシは・・・私にとっても大切な・・・大切な存在なのよ・・・
そんな辛気臭い事・・・言わないでよ・・・
ねぇ・・・言わないでよ・・・・ねぇ・・・
何か・・・何か言ってよぉ・・・
ねぇ・・・ねぇ・・・
んんあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
あああああぁぁぁぁあああああぁぁぁぁぁ!!!
うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
私はウルシ君の残った足を抱きしめ、ただその場で泣き叫ぶ事しかできなかった。喉の奥が痛くなる程、沼全体に響く大声で。
悔しくても、悲しくても、もうウルシ君は帰っては来ない。いつも私の側に寄り添い、共に居てくれたウルシ君は、もう・・・・・
私が何度も何度も足に向かって呼びかけていると、後ろから兄とバカラさんの声が聞こえ、私は引きづられる様に、沼地を後にした。
どんなに泣き叫んでも どんなに探し回っても
弟は見つからない いる筈がない
それが分かっていても コンは探し続けた
・・・だが そんな彼女を現実へ引き戻してくれる兄やバカラがいるだけで
彼女は堕ちずに済んだのだ




