後悔と悲しみが渦巻く中にて ギン
ギンや兵士長が目覚めたのは
コンが全てを片づけた後の事
だが彼女にとって その光景は誰にも見せたくなかったのかもしれない
俺が意識を取り戻したと同時に、聞こえてくるのは、妹の悲痛な泣き声。そして、妹が両手に抱えている『両足』
それを見ただけで、何が起きたのか分かってしまう俺自身にも、正直嫌気を感じてしまう。それと同時に、無力感が心臓を締め付けてくる。
今まで、コンがこれ程大泣きしている光景を、兄である俺は一度も見た事はない。
小さい頃なら時々泣いていたけど、あの様にギャンギャン泣いたりはせず、陰でシクシクと泣いていた。
それは、幼いながらに、コンが周りに気を遣っていた事を物語っていた。
同じく幼かった俺には、当時のコンの心境が理解できず、若干苛立ちを感じていたのを覚えている。
だって、俺は正真正銘、コンのお兄ちゃんだ。せっかくなら、お兄ちゃんに泣きついて来る可愛い妹を、全力で慰めてあげたい気もあった。
でもコンは、俺が思っている以上に、ずっと小さい頃から大人だったのだ。賢いとは思ったけど、多少寂しさもあったのが心境。
だが、今は違う。コンが大泣きしている姿は、予想以上に痛々しい光景であった。
そして、彼女が大泣きしているその心境を察すると、『大泣きして縋り付くコンが見てみたい』と思っていた自分が、今に子供で馬鹿だったのかを、まじまじと見せられた。
コンの大きな瞳からは、大粒の涙が流れ続けている。
まるで里の山にいくつもあった、山水の滝の様に、サラサラと麓(顎の下)へと流れ落ちていた。
枯れてしまうんじゃないかと思える程、その涙が止む事はない。
声帯が切れてしまうんじゃないかと思える程、彼女の鳴き声は、空にまで響いている。
俺はすぐさま、泣いている妹の元に駆け寄りたかった、だができなかった。自分の体がまだ重いから・・・というわけではない。
兵士であるにも関わらず、二人の兄であるにも関わらず、何もできず、全てが終わった後に目が覚める。
こんなの、『兵士失格』どころの話ではない、『兄失格』だ。二人の前で、胸を張れるお兄ちゃんではない。
何故ならもう、その片方がこの世にいない。もう片方は、その元凶をたった一人で相手にして、たった一人で撃退した。
コンの真横で、モクモクと白い煙が立ち込めている。恐らくアレが、『俺達を沼に沈めようとした』元凶だろう。




