第十七章 真後ろの『絶望』
「・・・・・???」
普通、水面に物が落ちると、『ポチャン』という軽い音が聞こえる筈。しかし、私の両耳が聞き取ったのは、そんな音ではない。
鈍く、生々しい、硬いナニかがへし折れる音。その音を聞いた私の脳内では、既に『生々しい予測』ばかりが浮かんでいた。
「まさか」「そんなの、あるはずない」と、頭の中で何度も私自身に言い聞かせるが、振り返らないと冷や汗が止まらない。
私はゆっくり、真後ろを振り返った。そこにいたのは・・・・・
「・・・・・・・・・・
・・・・・ウルシ・・・・・君???」
地面に倒れているのは、兄とバカラさん。じゃあ、私の目に映っている『足』は・・・
・・・・・あれ?? さっきまで私と一緒にいた筈のウルシ君は???
何でウルシ君 『足』だけになってるの??
ウルシ君の『足』に覆い被さっている 『緑色の塊』は‘・・・何???
「・・・・・・・・・・あ・・・・・ぁ・・・・・あああ
あぁぁぁぁぁああああああああああ!!!」
私はその光景に耐えられず、膝から崩れ落ちながら、両耳を塞いだ。今も聞こえる、『骨を噛み砕く』音が、頭痛の様に響いて来る。
現実から目を背けたい感情と、背けてはいけない体が葛藤して、何もできずにただ泣き叫ぶしかできない、姉失格の私がそこにいた。
本当は、その足だけでもいいから引っ張って助けてあげたかった・・・・・が、もう頭では気づいていたのだ、もう既に『手遅れ』である事に。
こんな状況に希望が見出せないとしても、それでも僅かな望みに賭けるのが、姉として当然の行動なのかもしれない。
ただ、私はこの現実を受け入れたくなかったのだ。だって、ウルシ君はついさっきまで、私と一緒に二人を無事助け出した。




