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第十五章 外奈(そとな)

コンは 混乱する事しかできなかった

もう会う事はないと思っていた そう思いたかった相手

それが 彼女の目の前に現れてしまった

沼の中央で、まるで空中浮遊の様に浮かんでいる『彼』


口元にある黒子

前世の私と同じく、ボサボサの頭

細い目 色白の肌


そして 一番目立つのは

右肩の『縫われた跡』


その跡の理由は、彼が直々に言わなくても、中学校生活が半年を迎える事には、既にクラス内では知れ渡っていた。

彼が『父子家庭』な理由も、何故友人を作らず、一人でずっと本ばかり読んでいるのかも。

彼を産んだ当人である母親が、幼い息子を邪険にして、大きくなると同時に、『虐待』を加えるようになった。

しかも、彼の父親であり、母親のパートナーである旦那に気づかれないように、旦那を目を盗んで、毎日毎日蹴っては叩くを繰り返していた。

しかし、その度が過ぎた結果、彼の肩には包丁で切り付けられた痕が残り、二人は離婚。

彼は父に預けられる事になったが、過去のトラウマもあって、明るく人と接する事ができず、前世の私の様に、日陰な存在であった。

現代でよくある『複雑な家庭環境』であった私と彼。

同じグループに分類されていた事もあって、気の迷いなのか、ストレスにより血迷ったのか、それとも本気だったのか、それは私でも分からないけど、前世の私は、彼に好意を寄せていた。

・・・もしかすると、「この人となら友達になれるかもしれない」という、淡い期待があったのかもしれない。

私と彼が、『普通の家庭』で育ったクラスメイトと話をしようとしても、話に全然ついていけなかった。

私と彼は、両親と喧嘩した事もなければ、誕生日やクリスマスを祝ってもらった事もない。

だから、季節の話題には当然ついていけないし、特別な思い出もなければ、特別な品もない。

そんな私達は、いつしかクラスでは腫れ物扱いされるようになる。でも、それは私達でも納得できてしまった。

私達の家庭環境が明らかにおかしいのは、誰の目から見てもすぐに分かる。

そして、解決したくても、なかなか解決できない事情である事も・・・

だからこそ、私達は見捨てられた。クラスメイトからも、先生からも、親戚からも、近所の人からも。

それを心の底では分かってはいても、それでも人間である以上、『人の温もり』を求める性からは抜け出せず、私が取った選択は、『彼』に近づく事であった・・・

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