第十四章 沈む二人と『謎の声』
突然、私達の真上から声が聞こえる。私とウルシ君の動きが一斉に固まり、互いに顔を見合わせた。
だって、ありえないのだ。沼の上には、何もない筈なんだから。
枝垂れている木の枝に捕まっているならまだ分かるが、さっき見た時、沼の真上には太陽がしっかり見えている程開けていた。
つまり、私達の真上から呼びかける事なんて、不可能な筈。それこそ、人智を超えた存在でもない限り・・・
声の主を見てみたいけど、兄を背負っている状態では、後ろを振り返る事ができない。ここは無視して、早く兄達を・・・
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・
「何・・・この音・・・」
ブワァァァァァァァァァァ!!!
「きゃあああ!!!」 「うわぁぁぁ!!!」
突如として、真後ろからとんでもない突風が襲いかかって来た。
慌てて足に力を入れたけど、風の力が思ったより強すぎて、私とウルシ君、そして兄とバカラさんは、そのまま空中に投げ出されてしまう。
突風に煽られ、沼の水がまるでカーテンの様に高く舞い上がり、木々が薙ぎ倒される音が真下で聞こえる。
そして、私達はそのまま地面へと投げ出される。沼からは抜け出す事ができたけど、結果的に歩くより疲れた気がして、ため息をついた。
風に乗せられた沼の水が、まるで雨の様に降り注ぎ、さっきまで下半身だけ濡れていたのに、もう全身ビッショリ。
しかも水が生臭くて、もう川でもいいから飛び込みたくなるくらい。
「助けなくても、君は良かったのに。」
「・・・・・・・・・・どうして・・・・・??!」
泥だらけになったコンを
ニコニコと見つめている人物がいた
だが その笑顔は『欲』と『愛』で淀んでいた




