第十二章 駆逐
「・・・よしっ。
ウルシ君、耳をよく澄ましてね。壁や家具を叩いて、助けを求めている人もいるかもしれないから。」
「扉が閉じている家も、やっぱり確認した方がいいかな?」
「うん。
今だけは、『失礼』とか考えている場合じゃないから。」
ウルシ君はまず、家の戸を叩いて様子を見る。すると意外にも、中から応答があった。
・・・いや、私達が救援に来た存在である事に、まだ気づいていない様子。
ウルシ君が少し扉をコンコンノックすると、中にいる人が怯えた声を漏らしていた。そこで私は、思い切って声を戸にぶつける。
「大丈夫ですかぁ?!! 私、救援に来た者ですぅ!!!」
「ほっ・・・本当か?!!」
このまま戸を私達が開けても良いんだけど、私はウルシ君と別の家を捜索する事にして、隠れていた人間を誘導するのは、同じ人間である兵士さんに任せる事に。
これは・・・単なる私の『被害妄想』なのかもしれないけど、こんな状況で、自分達とは違う種族を見つけたら、「モンスターの仲間だ!!!」と思われてしまうかもしれない。
私達の情報が、どれくらい国中に広まっているかが定かではない現状、あんまり人前に出るのは、よろしくないと思う。
それに、村の人々に余計な心配と労力を使ってほしくない。
ただでさえこの異常な事態で疲弊しているんだから、すぐにでも馬車に乗せて王都まで運んでほしい。
余計な時間を使って、事態を難しくしても大変だからね。・・・私達はちょっと複雑ではあるけど。
でも、意外にも家に隠れていた人が多く、思った以上に人を助けられて、本当に良かった。
多分、村を襲っているスライムもどきの知能が低い事が、この幸運に繋がったのかもしれない。
もしこのスライムもどきが、戸を開けて立て篭っている住民を引っ張り出したりすれば、村は今頃壊滅していた。




