第七章 午前のひと時
ようやく体調が元に戻り始めた頃
コンはまた トゥーソの家にお邪魔していた
だがそこでも 既に『箱事件』は噂になっており・・・
「・・・でも本当、災難だったわね。陰湿な嫌がらせにしては、度が過ぎてるわ。
もし私がその場にいたら、「コレ誰の仕業なのよぉぉぉ!!!」って怒鳴りたくなる。」
「あははは・・・
確かに私もそうしたかったけど、その直前で意識が途絶えちゃったから。」
やっぱりあの箱の話は、すっかり王都全域に広がっていた。だから、トゥーソの店に来るまで、多くの住民から不安な目線を送られる。
せっかく新年の挨拶をかっこよく決めたのに、皆が私を見る目が、完全に『可哀想な子』『不運な子』みたい。
ただ、散々ではあったけど、体調が戻ったのは本当に良かった。今ではもう普通に支えがなくても歩けているし、食欲だってある。
トゥーソのお店に行くまでの間、ついつい道端で披露されていた大道芸に見入ってしまったり、美味しそうな焼きリンゴを買ってしまったり・・・と、寄り道に気合が入ってしまうと、どこまでも遊んでいられそうだった。
立ち寄った水路の方では、子供達の釣りを眺めたりもした。里の山ほど釣れないけど、やっぱり『ロマン』には抗えないのだ。
どうやらこの王都には、『王都らしい都市伝説』・・・みたいなものがあり、この水路の底には、かつて荷上げの最中で沈没してしまった船のお宝がある・・・とか、王都を水路の中から見守り続けている『ヌシ』がいるとか。
そうゆう話にすぐ食いついてしまうのは、純粋で無知な子供の頃くらい。
大人になってくると、誰しもがへそ曲がりになり、そんな噂なんて信じなくなってしまうんだから。
・・・いや、近くに『例外(アンや陛下)』はいるけどね。馬車使いさんの話によると、どうやらアンも時折水路で釣りを嗜んでいる・・・とか。
私は釣り竿を使った方法より、直接川に潜って魚を採っていたから、釣り竿の感覚はちょっと慣れない。
浮きは何度も沈むんだけど全然引っ掛からなかったり、逆にゴミが釣れたり・・・
子供達に色々と教えてもらったけど、やっぱり私は直接川に入る方がしっくりくる。ただ、この水路に飛び込む勇気は、私にはない。
やっぱり山の水が直接流れていた里の川とは違い、王都の水路はかなり濁っていて、底が全然見えない。
だがこの不透明度が、子供達のロマンを更に掻き立てているのかもしれない。そうゆうところ、羨ましいな。
どうやら水路の管理をしているのも兵士らしく、川でふざけている子供が見回りの兵士に注意されている光景は、日常茶飯事なんだとか。
山でも王都でも、川や水辺には危険がつきもの。
ふざけて橋の手すりを歩き、そのまま川に落ちて行方不明になってしまった子供もいるんだとか。
そうゆう『危険な遊び』をこぞって子供がやりたがるのは、全世界共通なのかもしれない。
この世界の兵士も、前世の警察官も、毎日大変だなぁ・・・




