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最弱国の魔素無し第四王子戦記(無限の魔素と知略で最強部隊を率いて新王国樹立へ)  作者: たぬころまんじゅう
第五章

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最後の戦い1

 100の騎馬が転回してジュリの追撃隊にぶつかり、槍と剣の衝突音が丘を震わせるかに思えた。だが、実際そうはならなかった。騎馬隊同士が激しく衝突する直前、ジュリのオーラが急激に膨れ上がる。交錯する刹那、ジュリの剣から、超高密度に圧縮された魔素の粒子が扇状に放たれた。たった一閃。ジュリが放ったその一閃で先頭集団が馬諸共に両断された。


 数十の切断面からは、噴水のように血が一斉に吹き上がる。ジュリの、その余りにも絶望的な破壊力を目の当たりにした騎兵団は、エレーナがかけたはずの魔法を吹き飛ばしてしまった。つまり、死兵だったはずの彼らの狂気的な戦意を、たった一撃で完全にへし折ってしまったのだ。彼らは、勝機を取り戻したかのように、騎馬の足を止め放心状態でその場に武器を投げ捨てた。その横をジュリが通り過ぎていく。


「エレーナさま、奴らが・・・・・・!」


 後方の兵から声がかかり、エレーナが振り返るとジュリが猛追してきていた。


「何やってんだ、あのゴミどもがぁぁ!!」


 エレーナは騎馬全隊を旋回して、ジュリに真っ向から突撃する。エレーナはオーラを爆発させるように、薙ぎ払った。それと同時に、ジュリも斬撃を放つ。ふたつのオーラが衝突、爆散して互いに打ち消し合う。ジュリの目にガルダやサンドルが浮かび上がった。


「エレーナ!アルスさまのところには行かせん!おまえはここで終わりだっ」


 ジュリの声が丘に響き渡る。


「黙れ、鬱陶しい!私の道を塞ぐな!!」


 ふたりの剣が激突した瞬間、丘の南斜面が爆発したように震えた。金属の絶叫が空を裂き、衝撃波が周囲の土煙を巻き上げる。エレーナの超高速の剣技は速さに留まらない。その怖さの本質は、彼女の剣筋にあった。変幻自在の剣筋に彼女の剣速が乗り、それが彼女を師団長へと押し上げた要因となった。その変幻自在の剣技で、オーラを乗せた連撃がジュリの防御を削る。


 袈裟斬りから撫で斬りへ、突きから逆袈裟へ——コンマ数秒の間に、無数の角度から斬撃が繰り出される。ジュリの剣はオーラを凝縮して受け止めるが、一撃ごとに身体がわずかに後退する。エレーナの剣がジュリの肩当てを吹き飛ばし、血が滴る。


「ちっ・・・・・・!」


 ジュリは歯を食いしばり、反撃。猛虎のような一撃がエレーナの剣を弾き、彼女の腕に衝撃を伝える。


「くっ、一撃が・・・重い!」


 エレーナは馬ごと弾き飛ばされるが、即座に馬を再突進させる。剣が閃き、斬撃波を放つ。お互いの衝撃が再度爆散して弾けた瞬間、エレーナは宙にいた。上体を思い切り捻り、全身のバネを使いながら剣に集束したエネルギーを至近距離からジュリに叩きつける。


 エレーナのまさかの行動と剣の速さに、ジュリの反応が僅かに遅れた。剣身に纏わせたオーラで防ごうとするが、エレーナの放った斬撃波の威力が上回る。受け流そうとした刹那、エレーナ自身が斬りかかって来るのが目の端に映った。咄嗟に切り替えてまともに受ける。


 ジュリの身体は衝撃で馬から弾き飛ばされた。間一髪、エレーナの斬撃から逃れたかと思いきや、さらにエレーナはジュリの馬の背を蹴って跳躍。弾き飛ばされるジュリと宙で斬り結ぶ。エレーナの連撃を受けながら、ふたりとも地面に転がる瞬間、ジュリはエレーナの手首を掴んだ。エレーナを蹴り飛ばして立ち上がる。


「はあっ・・・・・・!」


 ジュリは息を荒げ、オーラを剣先に集中。横薙ぎでエレーナに叩きつける。エレーナは空中で身体を翻し、着地と同時に突きを放つ。剣先がジュリの腹を掠め、血が弧を描く。痛みに耐え、ジュリは逆袈裟に斬り上げる。エレーナの剣がそれを弾くが、わずかに体勢が崩れる。


 ふたりは距離を取り、互いの傷を睨み合う。血が滴り、息が乱れ、丘を吹く風がそれを冷やす。エレーナの瞳に、苛立ちが募る。時間がない。アルスの首を取らなければ、後方の犠牲が無駄になる。目の前の奇妙な角付き女――障害物に、こんなに時間を費やしている場合ではない。


「いちいち邪魔なんだよ、おまえはぁぁぁ!!」


 エレーナの声が低く唸る。彼女の剣が再び閃き、連撃の嵐を浴びせる。ジュリは剣で受け流すが、連撃が体力を削っていく。エレーナのオーラが膨張し、斬撃波の連発がジュリを包む。エレーナの剣がジュリの剣による防壁を突破し、ジュリの胸を浅く斬る。血が噴き出し、ジュリの視界が揺れる。彼女は舌打ちをしながらも、剣筋も剣速もビクともしない。


 それどころか圧倒的な剣圧を乗せた一撃で、エレーナの体勢が崩れた瞬間に反撃。重い斬撃波が的確にエレーナを刻み、吹き飛ばす。エレーナは転がりながら立ち上がり、剣を構え直す。彼女の息が荒く、複数の傷口から血が流れ落ちる。


(さっきの執事もデタラメだったが。この女・・・・・・とんでもなく強い戦士だ。鬱陶しい・・・・・・。時間がないのに・・・・・・)


 エレーナの視界が、ふと揺らぐ。苛立ちの奥底から、過去の影が蘇る。村の炎、家族の叫び——。

いつも拙書を読んで頂きありがとうございます。


☆、ブックマークして頂けたら喜びます。


今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

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