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最弱国の魔素無し第四王子戦記(無限の魔素と知略で最強部隊を率いて新王国樹立へ)  作者: たぬころまんじゅう
第五章

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師団長の特攻

「ふふっ・・・・・・見つけた」


 エレーナは馬を降りると、一気に駆け登った。余りにも速い。斜面を蹴り、土煙を上げながら頂上へ向かう。矢が彼女を狙うが、オーラが体を包み、剣を振るうだけで風圧が矢を弾き飛ばす。


「なっ・・・・・・!?」


 弓兵のひとりが驚きの声を上げる。あまりに速い!彼女の動きは獣のようにしなやかで、斜面の岩を跳び越え、ガルダの歩兵が守るラインを突破。後続の兵がエレーナを守るために必死についていくが、彼女の速度に追いつけない。攻撃の薄いポイントを見抜き、一切の躊躇なく登って来る! 頂上のファニキア軍に緊張が走った。


「は・・・速過ぎる・・・・・・!」


 エミールの声が響く。


「左翼、あの騎士に向かって集中射撃!」


 エレーナは矢の射線が途切れる窪地に入って避けると、叫んだ。


「リュドミラぁぁぁ!!突撃ぃぃぃ!!」


 リュドミラの聖盾隊は、師団長の叫びに雷に打たれたように猛攻を開始した。そのとき、一瞬だけ全弓隊の視線はエレーナから外れる。僅かな間隙だった。エレーナは窪地から飛び出すと、猛然と斜面を駆け登り、一閃。剣筋が見えない速さで斬撃波が飛び、弓兵がまとめて斬り飛ばされた。血飛沫が噴き出し、数名の体がふたつに分断され転がる。頂上が一瞬、静まり返った。


 エレーナは止まらず、単身で斬り込んだ。次から次へと弓兵を斬り倒し、あるいは蹴り飛ばす。剣が唸りを上げるたびに、兵の首が飛ぶ。弓隊の一角があっという間に全滅し、死体が山積みになった。そこから、後に続いていた後続の兵が続々と入り込み、ファニキアの陣を押し広げる。次にエレーナはガルダ隊の兵も凄まじい剣速で斬り倒していく。斧を構えた兵が立ち向かうが、剣が閃き、斧ごと、鎧ごと裂く。血が噴き出し、断末魔の叫びが頂上に響く。エレーナはリュドミラを助攻として敵の攻撃を分散させつつ、自身ひとりを主攻とすることで単独で鉄壁の防御陣【モード・アングレ】を突破しつつあった。


「おいおいおい、聞いてないぞあんな化け物がいるなんて・・・・・・」


「ジュール隊長、我々も助けに入ったほうがいいでしょうか?」


「バ、バカヤロウ、おまえ・・・。あんなん俺らが行ったところでなんの役に立つってんだ?それに持ち場を勝手に離れるな!」


「わ、わかりました・・・」


 ガルダ隊の部隊長であるジュールも、エレーナによる単独の突破に戦々恐々とする。そして、まさに戦局が動こうとするその時、伝令兵が息を切らしてエミールの元に飛び込んできた。


「急報!急報です!北側から隘路を抜けて来ようとする一隊がいます!」


 エミールの顔が青ざめた。モード・アングレは正面の敵にのみ絶対的な強さを持つ布陣である。だが、その反面、側面や背後は完全に無防備な陣だ。


(このまま裏へ回られたら挟撃されて崩壊、全滅する・・・・・・!)


 エミールは、即時の決断を迫られサンドルに視線を移す。


「サンドル、ここを任せた!僕は弓隊を連れて北の敵に対処する!」


「お任せを!」


 エミールは300の弓隊を率いて北側に回る。走って隘路へ向かうが、すでに敵影が駆け抜けるところだった。


(間に合わない!)


  霧が出ていたせいで、監視の網にかかるのが致命的なほどに遅れていたのだ。



 エミールの額に汗が浮かぶ。その間にも、エレーナはえげつない速度で頂上を制圧し続けていた。


「それ以上はさせませんぞ!」


 ガルダが戦斧を振り上げて迎え撃つ。エレーナはガルダの巨体を見てニヤッと口角を上げた。


「ハっ、でっかい肉だるまだね。ハムにしてやるよ」


 エレーナから膨大なオーラが放出される。オーラを乗せたガルダの戦斧を器用に受け流すと、流れるような動きでそのまま攻撃に転じた。袈裟、撫で、突き、切り返して振り下ろし、逆袈裟。コンマ数秒の間に、あらゆる角度から無数の連撃がエレーナから繰り出される。ガルダも動きには自信があったが、エレーナのそれはガルダを上回った。最後は受けきれずに肩当てが吹き飛び、腕にも傷を負う。ガルダにとってエレーナの一撃一撃の重さは致命傷にはならなかったが、剣速はデタラメだった。反撃の隙がない。頂上の空気が血の臭いで満ち、ファニキア軍の悲鳴が連続した。


 ナタリアは山頂から聞こえる剣戟を交える音に、馬上で耳を澄ませた。金属の絶叫と血の噴き出す音が、風に乗って届く。


「この音・・・。エレーナさまは、あの陣を突破されたのか。まずいな、これじゃ私が何の役にも立ってないみたいじゃないか・・・・・・!」


 裏手に回ると、急いで小山の裏から攻め上るつもりだったが、想定よりも斜面の角度がキツイ。そこで、仕方なく馬を捨てて斜面を駆け上がった。

いつも拙書を読んで頂きありがとうございます。


☆、ブックマークして頂けたら喜びます。


今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

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