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最弱国の魔素無し第四王子戦記(無限の魔素と知略で最強部隊を率いて新王国樹立へ)  作者: たぬころまんじゅう
第五章

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鬼人パトスの無双

「それは・・・・・・そうなんですけども・・・・・・」


 エルザは、頭の中で色々と考えてみるもののパトスの提案以上に即効性のある策を思いつくことも出来なかった。小さく息を吐くと、諦めたように小さく微笑んでパトスを見上げる。パトスの単独突入はリスクが高いが、他に手がなかった。


「・・・・・・お願いします、パトスさん。みんなを、よろしく」


 パトスはニコッと微笑むと即座に動き、橋の欄干に駆け上がった。細い欄干の上をパトスは風のように軽やかに、ギュンターとナザルが激しく剣を交える頭上を、跳躍して飛び越える。ナザルは一瞬視線を上げるが、ギュンターの攻撃に集中せざるを得ない。パトスは橋を一気に渡りきり、西側の橋たもとに着地。そこは誓いの騎士団の密集地帯となってる。周囲の兵士たちが警戒し、槍と盾を構える。


 ここで、パトスのオーラが爆発した。膨大な魔素がオーラとなって流れ出すだけで、大気が裂け、大地が振動を始める。一閃。パトスの剣撃は凄まじく、盾ごと鎧ごと、まるで紙を切り裂くように兵士を斬り飛ばす。たった一撃の斬撃波で、5人、6人がまとめて真っ二つになる。血飛沫が噴き出し、断末魔の悲鳴が響く。


「化け物・・・・・・!」


「いや、こいつは・・・・・・悪魔だ」


 パトスの異様な姿に誰かが呟く。周囲の兵士が抑え込もうとするが、剣を合わせようにも、パトスの剣筋が速すぎて見えない。残像だけが残り、次の瞬間には新たな死体が積み重なる。まるで竜巻のようにパトスを中心に、凄まじい速さで騎士団の兵士が削られていく。重装兵の列が崩れ、槍兵が怯む。パトスは止まらず、旋風のように回転し、斬撃を連発。橋頭堡をたったひとりで形成し、敵の陣形に巨大な穴を開ける。



「凄い・・・・・・あれが、パトスさんの力・・・・・・」


 エルザは思わずパトスの戦いに見とれた。鬼人族の老戦士は、橋の西たもとでひとり、まるで嵐のように誓いの騎士団の兵士を薙ぎ払っていた。オーラが剣を包み、一閃するたびに血の霧が舞い、断末魔の叫びが重なる。ファニキア兵たちは息を飲み、エルザの瞳には驚嘆と安堵が混じっていた。


 だが、教皇軍の部隊長はまだ諦めていなかった。パトスの周囲に残った兵士が次々と倒れる中、部隊長が声を張り上げる。


「相手はひとりだ、怯むな! 遠巻きにして矢を射ろ!」


 即座に弓部隊が動き、半円状に配置される。弓兵の前には重装盾兵が盾を連ね、鉄の壁を形成して弓部隊を守る。陣形は素早く、訓練された動きだった。パトスが周囲にいた最後の兵を斬り倒した瞬間、部隊長が叫ぶ。


「今だ!」


 重装盾兵の合間を縫って、一斉に矢が放たれる。無数の矢が針の山のようにパトスに向かって殺到し、空を覆い尽くす。串刺しになるかに思えた――だが、パトスは動じなかった。倒したばかりの重装兵の死体を片手で掲げ、オーラを凝縮して正面に防御壁を展開する。半透明の障壁が矢を弾き、金属音が連続して響く。矢は障壁に跳ね返され、パトスの周囲に雨のように落ちる。


「おおおっ!」


 正面をオーラで守りつつ、側面を死体で盾にしながら、パトスは一気に弓部隊の一角へ突進した。射手たちは懸命に矢を射るが、オーラの壁に阻まれて当たらない。パトスは怯んだ盾兵の列に死体を投げつけ、重装兵の陣形を一瞬乱す。隙を突いて剣を振り抜く――斬撃波が爆発的に広がり、防御陣を一気に崩壊させた。盾が砕け、弓兵の体が真っ二つに裂け、悲鳴が戦場に響く。


 包囲網は虚しく崩れ落ち、弓部隊の一角が壊滅。残った兵士たちは後退を余儀なくされる。ナザルは橋の中央でそれを眺め、静かに息を吐いた。ギュンターとの激戦を続けながらも、視線はパトスの暴れっぷりを捉えていた。


「・・・・・・力技で覆されるとは。どうやら、ここまでのようですね」


 ナザルは低く呟き、剣を引く。ギュンターの斬撃波を紙一重で躱し、距離を取る。教皇軍の前衛はすでに崩れかけていたが、ナザルはまだ諦めていなかった。部下に素早く指示を飛ばす。


「全軍、防御陣形へ移行! 精鋭部隊は私が率いる。橋頭堡を死守しつつ、徐々に後退せよ。敵の勢いを殺し、時間を稼げ!」


 ナザルが退いたことで、ファニキア軍本隊はいよいよ橋を渡り始める。ギュンターとパトスが先頭に立ち、ファニキアの槍兵・重装歩兵が雪崩れ込むように西側へ進撃。だが、ナザルはそんなに簡単に崩れない。残った精鋭部隊――聖盾隊の残存兵と、ナザル直属の近衛槍兵を巧みに配置し、橋の西たもとで粘り強い防御を展開した。ファニキアの攻撃は猛烈だった。


いつも拙書を読んで頂きありがとうございます。


☆、ブックマークして頂けたら喜びます。


今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

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