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最弱国の魔素無し第四王子戦記(無限の魔素と知略で最強部隊を率いて新王国樹立へ)  作者: たぬころまんじゅう
第五章

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軍師エルザと第二師団長ナザルの軍略

――その瞬間。背後から、巨大な火柱が夜空を突き刺した。食糧庫のあった場所から、爆発的な炎が吹き上がる。乾いた木材と穀物が一気に燃え上がり、轟音とともに火の粉が舞い散る。煙が空を覆い、視界を赤く染めた。教皇軍の兵士たちの間に動揺が走る。


「補給が・・・・・・!食糧庫が燃えているぞ!」


 ロスティスは馬上で顔を強張らせた。炎の光が彼の兜を照らし、瞳に焦りが宿る。しまった――別動隊がいたのか!


 補給を断たれれば、長期戦など不可能になる。ロスティスは即座に判断を下した。


「騎兵隊、転進!補給庫を守れ!」


 馬蹄の音が反転し、ロスティス率いる騎兵隊が一気に引き返す。




――第二師団前衛


 ランス川の流れが夜の闇に溶け込み、冷たい霧が橋の上に立ち込めるなか、前線はすでに地獄のような様相を呈していた。ファニキア軍の前衛が橋を渡り始めた瞬間、ナザル軍の前衛が待ち構えていた。橋は狭く、両軍の兵士が肩を並べて押し合うしかなく、わずかな隙が死を招く。金属の鎧がぶつかり合う音、槍の穂先が擦れる軋み、負傷者のうめき声が、川の水音を掻き消すほどに響き渡る。


 ナザル軍の重装歩兵が、橋の入り口を固めていた。彼らは厚い鉄板の鎧を纏い、巨大な斧やハルバードを構える。盾を構えた壁のように前進し、ファニキア軍の槍兵を押し返す。ファニキア側は、槍兵を前面に押し出し、長槍の穂先を揃えて突き刺す。初めの衝突は凄まじく、槍が鎧を貫き、斧が槍を叩き折る。血が橋の石畳に飛び散り、滑りやすくなった地面で兵士たちが転ぶ。


 ファニキアの槍兵は機動性を活かし、突きと引きを繰り返すが、重装歩兵の壁はびくともしない。代わりに、重装兵の斧が振り下ろされ、ファニキア兵の肩を砕き、首を飛ばす。悲鳴が連続し、死体が橋から川へ転落する音が、戦いのリズムを刻む。


 対岸では、ファニキアの軍師――少女エルザが、冷静な瞳で戦況を睨んでいた。


 エルザは指揮台から、部下に素早く指示を飛ばす。


「弓兵を対岸に並べて、重装歩兵の隙を狙って!矢の雨で彼らの動きを封じます」


 ファニキアの弓兵隊が即座に動き、川のこちら側に陣を張る。弓弦が引き絞られる音が一斉に響き、矢が夜空を切り裂いて飛ぶ。重装歩兵の鎧に矢が突き刺さり、隙間から血が噴き出す者もいる。ファニキアの槍兵はこれを好機に押し込み、重装兵の列に亀裂を入れる。


「重装は防御に優れるけど、機動が鈍い。矢で足を止め、槍で突き崩す・・・・・・これで主導権を取って一気に・・・・・・!」


 ファニキア軍が一時的に優勢な状況を作ったが、エルザの表情は硬いままだった。


 ここで、ナザル軍の本陣から、急ぎ足でナザル自身が前線に到着する。息を切らさず、すぐに情報を集めつつ冷静な視線で戦場を一瞥すると、後方の混乱を耳にしながらも、彼の頭脳は瞬時に策を練り始めた。


「状況はだいたいわかりました。弓で遠距離から削りますか・・・・・・。だが、橋の狭さを活かせば問題はないですね」


 ナザルは大声で指示を出す。


「盾兵を橋の両側に配置してください!弓矢を防ぎつつ、真ん中に槍兵を並べて押し返します!」


 ナザル軍の盾兵が即座に動き、橋の左右に壁を形成する。巨大な塔盾が並び、矢の雨を弾き返す。金属に矢が当たる乾いた音が連続し、盾兵の列は揺るがない。中央では槍兵が前進し、ファニキアの槍兵と激突。槍同士が絡み合い、互いに突き刺し合う。


 ナザルのカウンターは完璧で、弓の脅威を無力化し、橋の中央を押し返す形勢に持ち込んだ。戦いはさらに熾烈さを増していく。橋の上は血と汗でぬるぬるになり、兵士たちが滑って転ぶたび、敵味方の区別なく踏みつけられる。ファニキアの槍兵が一瞬の隙を突いて重装兵を突き倒すが、すぐさまナザル軍の槍が報復する。矢の雨は盾壁に阻まれ、無駄に散っていく。


 対岸の指揮台で、エルザは眉を寄せ、唇を噛んでいた。少女の瞳に焦りが宿る。ナザルのカウンターにより盾壁が弓の脅威を封じ、中央の槍兵がファニキアの前進を頑強に押し返す。


 橋の中央は膠着状態に陥り、ファニキア軍は東のたもとまで後退を強いられていた。このままでは時間だけが無駄に流れて行ってしまう。後方からの奇襲部隊――フランツとアジルの1万が、どれだけ暴れようと、ファニキア本軍の突入が無ければ無駄になる。いや、実際はそれ以上の過酷な現実が待ち構えている。エルザの小さな手が、拳を握りしめる。


「・・・・・・っ! 対応が速い!! どうしよう、このまま突破出来なきゃ後方から奇襲してるフランツさんやアジルさんが・・・・・・」


 声が震え、少女らしい不安が露わになる。その背後から、急に声がした。


いつも拙書を読んで頂きありがとうございます。


☆、ブックマークして頂けたら喜びます。


今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

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