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クレーマーはどこの業界でも厄介

「ですから、何度も言われようと無理なものは無理なんです。迷惑ですから帰ってください!」


「こっちが、下手で出ていたらいい気になりやがって!おい、お前ら無理矢理でも連れていくぞ!」


医者の仕事は人を救えば救うほど称賛される仕事であるが、闇医者である私の場合は違う。

私はこの辺りを牛耳る龍宮寺組のお抱えみたいなものである。仕事であれば、病院に行けないような銃などの傷も治したりする。その見返りとして、土地、施設、器具などかなり面倒みてもらっている。

他にもセクハラする人などもいたが、すぐに見せしめに処理されていた。

そのため、龍宮寺組に歯向かうことや不利になることができない。

つまり、警察に売ったり、龍宮寺組に敵対する組織に加担すればタダではすまないのである。


そして、今現在仕事場に押し入っているのはそんな龍宮寺組に敵対する組織であり、その用心棒の治療と組長の愛人になれという無理難題である。

いつもなら、警備員なみに龍宮寺組員が駆けつけてくるのだが、どうやら今日は忙しいようでなかなか来てくれえない。戦闘力ゼロの私はピンチである。だが、こんな時の対処はすでに決めてある。


「分かったから、治療するから何もしないで」


適当に話を合わせて、時間を潰すことである。


「なら!とっとと車に乗りな!ボスがお待ちなんだよ!」


ああ、こういうパターンかぁ。往診って面倒くさいのよね。

治療と称して時間を掛ければ何とかなったこともあるが、移動すると龍宮寺組に私がどこにいるか知らせることが出来ないし、最悪敵対行動とみられることもある。


「わかったわ。準備するから待ってなさい」


準備があるというのは本当のことだ。能力での回復に道具が必要なさそうであるが、いろいろと必要である。一番重要なのがカメラなど記録道具であり、傷を綺麗に治すと怪我んどしてないと言い張るバカがたまにいるのである。そのための対策である。

まぁ、普通ならこのまま窓から逃げるのだが、今回は診療所の奥のベッドで彼が寝ているのである。

数日とはいえ、一緒に過ごした関係だ。愛着もあるし、彼のことを知りたいと思えた。

これは研究的欲求ではなく。ただただ人との関わりを求めてしまった。

友人は少ないがいる。それなりに愚痴ぐらいいえる関係である。

それに比べ彼は何も喋らないし反応もないが、それまでの私の人生が何か変わった気がした。


彼がどんな声で話すのか。


彼は私のご飯を美味しく食べてくれるのか。


彼が私の話にどんな反応を示すのか。


そして彼がどんな感じで笑うのか。


とても気になった。早く目覚めて欲しいと毎日思った。

邪な考えをしてしまったこともあったが、見捨てて逃げれば彼になにをされるかわからない。

龍宮寺組には悪いが、どうしようもない。こんなピンチに駆けつけてこない龍宮寺組にも非があるだろう。後で謝れば何とかなるだろう。

今、彼を守れるのは私しかいないのだから。



「おい!こいつ!龍宮寺組の新入りじゃねぇか!」


「本当だ!なんでここにいるんだ!」


「もう女も一緒に連れて行け!」


ごめんなさい…守れそうにないかも…。


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