ジオの夢 五十六話 目醒
ここは何処だ?見慣れない景色だ・・・
私は先程まで寝ていたはずだが?新しいマンションで大きな寝室で寝ていた・・・それも一人だ・・・随分と大きな灯だ・・・シャンデリアか・・・無駄だな・・・と思いながら、やっと寝付いたが・・・
目が覚めた時の此処は?・・・見慣れない部屋だ、御簾がある・・・そしてオレは白いガウンを着ている・・・ベッドは・・・硬い・・・あの柔らかい、沈むようなベッドよりはましだが・・・見慣れない上掛けだ・・・髪も長い・・・銀髪だ・・・恐怖で髪が白くなるとは聞いたことがあるが・・・本当は銀髪になるのか・・・しかし、まだそれ程の恐怖を味わった事は無い筈だが・・・
天井は高そうだ・・・梁が見える・・・左は白い壁で窓が見える・・・外は緑、山かな・・・夢かもしれない、起き上がってみるか・・・上手く力が入らない・・・そうだ、病院の時もこんな感じだったな・・・振らつくが、何とか立ち上がれそうだ・・・スリッパが無い、素足だ・・・大きな足だ、私は中肉中背だが・・・今のわたしは背が高い・・・病院で気が付く前まで此処に居たのか・・・しかしなあ・・・
御簾を開ける・・・女性だろうな・・・何人かいる、皆、疲れているようだ・・・私を見ている・・・しかし、知った顔はいない・・・知っている女性といえば漣さん他十人に満たない・・・着ている物も現代風ではない・・・ここは大広間か、なかなかに広い、天井はやはり吹き抜けだ、シャンデリアは無いよな・・・扉がある・・・出てみるか・・・ゆっくり足を動かす・・・歩ける、痛みは無い・・・速くは歩けそうに無い、逃げる事は出来なさそうだ、つい、可笑しかったが、笑うことは出来ない、顔が固まったままだ・・・
扉に向かってゆっくり歩く、若い女性が、慌てて傍らに来て支えてくれる・・・他の女性が慌ただしく動き出す・・・扉を女性が開けてくれる・・・女性たちが口々に何かを言っているが、言葉が聞き取れない・・・そういえば、音がしないな・・・
外は陽が眩しい・・・目が開けていられない・・・ゆっくりと、しゃがみこむ・・・目の前が暗くなる・・・
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レイ様の屋敷の方が私を迎えに来る。レオ様が、一度、お気が付かれたが、ご様子が可怪しかった。また眠られてしまったと・・・
母が、亡くなる前に言っていた。坊は星回りの児故、
別の世界の魂が来られる時がある、そのまま戻られない時もあると聞く、その時には呼びかけよ、応答があるまで呼びかけよ、お前なら答えて下さるはずじゃ、と。
レイ様の屋敷の大広間にいる。レイ様は寝て居られる。私が辞去した時より、胸が微かに波打っている。お気付きになられたというのが分かる。私はレイ様の左、顔の傍らに跪く。そして手をレイ様の額に手を当て、目を瞑り、声にはならない声で呼びかける。
『レイ様。レイ様。聞こえますか?お返事を。』
『眠られては行けませぬ。やる事がお有りのはず、よろしいのか?』と。
何度も繰り返す・・・
『私を呼ぶのはどなたですか?今は大層眠いのですが・・・』
お応えが有った・・・良かった・・・これで目覚められるだろう・・・
『シンシアでございます。寝てはいけませぬ。二度と起きれなくなりましょう。それでも宜しいのか?』
『シンシア様か・・・それは・・・困ります・・・』
『私の声に意識を向けなされ。私の手が見えませぬか?』
『少々お待ちを・・・おっ、お手が見えます。』
『それは良かった・・・ささっ、お手をお取りください。』
『おっ、目を開けられた・・・』
周りで声がする。私も瞑っていた目を開ける。レイ様の微笑んだ顔が見える。
『シンシア様、ご苦労をお掛け致しました。』と、レイ様が言われる。
『お戻り頂き、何よりでございます。』と私。
『確かに、レイ様が戻られた。』と、皆からも安堵の声が聞こえる。
『シンシア様、また生々しい夢を見ました。』とレイ様が言われる。
『レイ様。夢の話をしてはなりませぬ。夢に囚われる事と成りましょう。お忘れなさい。夢は夢です。』
『・・・はい、そう致します。』とレイ様が微笑まれる。
『皆が、ヴァイスを取り囲んでおりますが、如何致しますか?そのまま、攻め滅ぼしますので?』と私。
『・・・間に合えば、止めましょう。無駄な争いは止しましょう。』
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シンシア様が夢は夢だと言われた。確かにそうだ・・・思い出すのは止めよう・・・
取り敢えず、戦の停止の連絡である狼煙火を上げさせた。間に合えばよいが・・・
十日寝ていたらしい、体力が落ちているのはわかる。いそいで元に戻さねば・・・
それと、遺言が西方地域だけで無く、東方地域にも広まったらしい。そして、兵が動きヴァイスを包囲している。各地域からゴドロノフの総督府に問い合わせが多くあるらしい。ベルン殿の部下の方が伝えて来た。ベルン殿はヴァイス家のアラゴン殿とミク教徒の動きを注視しているはずだ。
連絡は際で間に合ったようだ。全ての兵が帰還した。争いは無い。戻った多くの者が顔を見に屋敷に来てくれる。私は、庭で皆と応対する。夜には各指揮官達が屋敷に現れる。中々に忙しい。屋敷の者も大変だ。
更に、各地の家の方々も顔を見たいと文が来る。どうしたものかと考えるが・・・




