ジオ 二部十二話 砂漠の草原
ジオはテントを飛ばしている。ジオは永遠を消そうと思っている。
このまま捨て置け無い。回りの者達に迷惑が掛かる・・・
『坊、どうしたの?顔が怖いわよ。』と、ベロニカが言う。
『ああ、相手がわからんからな。』とジオ。
『ジオでも分からないの?』とレディティアが聞く。
『こっちのオレは会った事が無い。夢の中のオレも一度かな・・・二度だな。その二度目の時に、オレを伝ってこっちに来た。そんな気がする。』
アエラの街が見える。ここから南だとガイナが言っていた。昔は結界があった。だから誰もその先は知らないと。
結界はいつからあった?ジオが考える。
おそらく、最近の筈だが・・・誰が創った・・・
アエラを過ぎ、さらに南に飛ぶ。すると砂漠の中に草原が見える。外を見ていたジオが声を上げる。
『外を見てみろ。草原だ。それも、あの辺りだけだ。しかし結構広いぞ。』
皆が、その言葉で外を見る。
『不思議な光景だな・・・』とゼルトが嘆息する。
その場所に向かってテントを下ろしていく。しかし、いきなり、その草原の上空にはいかない。まず砂漠の上に浮かべる。そして、皆で観察する。ここから見えるのは草原だけだ。草の高さは大人の膝くらいだ。道は無い。砂の上を、砂と草の際に沿って回りながら、草原の中を見ていく。草原だけだ。
暫くすると、
『あれは何だ家か?』とゼルトの声が上る。
飽きてきていた皆も、外を見る。
土を積み上げ半円状にし、周りを固めた、中を繰り抜いた倉庫の様な物が並んでいる。おそらく住居として使っているのだろう。
テントを砂漠の半円の倉庫の近くに下ろす。テントから出たのはジオとハーバー、ゼルト、サラだけだ。レディティア、ベロニカ、ネフェルティは興味が無いようだ。
サラは、ジオの警護で出ている。回りに興味はない。
『気をつけろ。草地の上に体を出すな。何が起こるかわからんぞ。』とジオ。
『坊、あれを見にいかないのか?何ならオレが行くぞ。』とハーバーが、あれらを見ながら言う。
『まあ、焦るな。おそらく入ったら出れんぞ。』
『入ったら出れないのか?』
ジオたちはしばらく人が現れないか様子を見ている。
暫く見ていたが、誰も表れない。
『坊、ハーバーがいないぞ。』とゼルト。
『あら、テントに戻ったのかしら?』とサラ。
『うん?確かに、ハーバーの気配がないな。』とジオ。
『一度、テントに戻るぞ。』
ジオがテントに歩いて行き、テントに入る。二人も続く。
『何かあったの?』とレディティアが何気に言う。
ジオがテントに残っていた三人を見回す。
『ハーバーが消えた。念の為、皆が無事か見に来た。』
『そう、大変だわ。でも、ハーバーなら大丈夫でしょう。』とネフェルティ。
『そうだな。しかし、放っておくわけにもいかん。』
『ハーバー。聞こえるか?』
『坊か、聞こえる・・・』
『動いたか?動くなよ。動くなら、そこに、印を付けて置け。』
『ああ、それ程、動いていないと思う・・・』
『回りに危険は無いか?』
『ああ、今のところは・・・ここは何処だ?森が見える。』
『何故、そうなったか分かるか?』
『引っ張られた気がするが・・・分からん。』
『そうか、行ってやりたいが、同じ所に行けるか分からん。様子を見る。だから、何か印を付けて置け。そうすればハーバーが近くだ、というのが判る。それに森か・・・』
『分かった。しかし、確かに森がある。小屋もある・・・暫く、此処で人が現われるのを待つ・・・いや、小屋らしき物があるから行ってみる。』
『きをつけろ。』
『森があるのはどうして?』と、レディティアが聞く。
皆も不思議そうにジオを見る。
『わからん。行ってみれば、何かわかるが・・・』
とジオが考え込む。
ふー、とハーバーが溜息を吐く。
一体どうなったんだと・・・頭が混乱したな・・・坊からの連絡が無ければ、どうなった事か・・・危ない危ない・・・さて・・・あの棒で良いか。引きずりながら歩いて行けば、目印になるだろう・・・
ハーバーは、まず、周囲の草を目立つように結ぶ。それを三つ程作る。そして、太く重い木を手に持つと、それを引き摺りながら、遠くに見える、森の傍らにある丸太小屋群に向かって歩き出す。
小屋まで結構な距離が有る。ハーバーは慌てずゆっくり歩く。
誰が見ているかも知れない。見ている相手に慌てさせないことだ、と考えている。
一軒の小屋の近くまで歩いてきた。小屋はそれ程大きくない。一部屋に料理場くらいだろう。
もう、手の届くところまで来た。人の気配はある・・・じっとしているようだ・・・出て来てくれると助かるが・・・
『誰か居ないか・・・聞きたいことかあるのだか・・・』
と、入口らしき辺りでハーバーが声を掛ける。
この世界の言葉は一つだ。分からない筈は無い。
仕方ない、少し離れた処で待つか・・・と、適当な木の陰に腰を下ろす。
『坊、聞えるか?』
『ああ、聞こえていた。』
『人は居た筈だが、出て来ない。誰かを待っているのかも知れん。このまま、まってみる。』
『分かった。気を付けろ。寝るなよ。』と坊が笑ったようだ。
『ああ。気を付ける。』
ハーバーが此処に入ったのは昼過ぎだ。未だ日が高い。
森の方から人の気配がする。二十人程か?剣呑だな。
『坊。聞こえるか?』
『ああ。どうした?』
『森から二十人程が来た。ぴりぴりしている気配だ。』
『殺すなよ。』
『ああ。気を付ける。』




