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No.8 夜の帳、人形屋敷

 はい、毎度ありがとうございます。作者のリルフィです。

 何だかんだで第8話ですね。その頃何処かでは見たいな話もちょこちょこ入れていくと思いますが、今は主人公の主観のみでお楽しみください。


 では、フランちゃんの大冒険が始まるかも…わかりませんがw

 窓の外がだいぶ薄暗くなってきた頃、魔法の森と呼ばれる森の中にぽつんと建つ、白い壁に青い屋根の小さな屋敷では、椅子に座る小さな少女の後ろからもう一人の少女が髪を梳きながら笑顔を浮かべていた。


「あの…できれば最初のままで十分ですから…」


「だめよ。せっかく可愛い服を着るんだから髪もちゃんとしなきゃ」


 ふと、目線だけで後ろに語りかける小さな少女は、ふと自分の服を見下ろすと、最初の服をだいぶ弄ってあるのか、赤い服がフリルや大きなリボンを付けゴスロリドレスへと変貌していた。


「こんなの…恥ずかしい…さっきの服でも」


「あら?せっかく直してあげたのに良いじゃない?似合ってるんだし」


 後ろに立つ少女はにこやかに髪を赤いリボンでまとめショートツインテールへと結びあげていた。


「はい、完成よ。どうフラン?」


 ふと、アリスに背中を押され鏡の前に立つと、鏡には、赤いリボンでショートツインテールにした淡い金髪の可愛い少女が、ゴシックドレスのスカートを恥かしそうに握り締め、鏡の向こうに立っていた。


「ふわぁ…か、かわいい…」


「でしょ~」


 満足げに頷くアリスに、ふと自分が呟いた事に自分に止めを刺した俺、ことフランドール・スカーレットは、まさに着せ替え人形へと変貌させられていた。

 そんなやり取りをしていた時に、外へと繋がる扉が開き、見知った人物が乱入してきた。


「アリス~~!居るか!!?…お?」


 ふと目と目が合う俺と、黒い服に白いエプロンフリル、尖がり帽子に箒を持った少女。


「あら?魔理沙じゃない、こんな時間にどうしたのよ?」


「フラン、こんな所に居たのか?だいぶ探したぜ?」


「あわわ、ご、ごめんなさい!!」


 すっかり忘れてた存在に、慌てて頭を下げると、怪訝な顔を浮かべるアリスが間に割って入ってくる。


「まったく、何なのよ?いったい何の用事で家に来たわけ?」


「あ、あぁ、それは、そいつの事なんだが…無事だったんなら良いんだ。気にしないでいいぜ」


 そう言いつつ手の平を振る魔理沙は、改めて俺の方を見ると、ニンマリと笑顔を浮かべた。


「それにしても、随分と可愛らしくなったじゃないか?」


「こ、これは!アリスが…」


 真っ赤になり俯くと、アリスが自慢げに胸を張って言った。


「ふふっ、いいでしょ?私の人形達よりやりがいあったわ」


「フランは居るかしら?」


 ふと、まるで体を押しつぶす様な空気を出しながら少女の大声が、響き渡った。


 開いたままになった外の扉を見ると、赤い月をバックに青い髪の少女と咲夜さんが連れ添って、空からふわりと降りて来ていた。


「フラン、ここにいたのね?遊びの時間はお仕舞よ。大人しく屋敷に戻ってきなさい」


 まるで、一言一言が体を締め上げるような威圧感に、数歩後ずさる。


「…っち、…随分出て来るのが早いな?」


「…ちょっと、ここで戦闘とかは止めて欲しいのだけど?」


 そう言いつつ扉の方に出て行く魔理沙とアリスの後姿を見ながら、俺は死んだ直後の事を思い出していた。


「…いったい何のつもりかしら?」


「それは、こっちの台詞だぜ?レミリア」


「…貴女に用は無いわ。用があるのはフランだけよ」


 ギリギリと音が鳴りそうなほど空気の圧力に家が軋む音に息を呑むと、震える足を叱咤しながらゆっくりと表に出て行と、外に出た所で、アリスの手で静止させられ、レミリアと呼ばれた青い髪の少女は、アリスを睨んだ。


「レミリア、悪いけどフランを少し貸してくれないかしら?まだ着せたい服がいくつかあるのよ」


「ダメ、今のフランを預ける事は出来ないわ」


「それは、今は貴女の妹のフランじゃないから…かしら?」


「アリス、知ってたのかぜ?」


「本人に聞いたのよ」


 一瞬、3人の視線がこちらを見た気がして身震いをした。


「…どう言う事かしら?」


 レミリアと呼ばれた少女の周りを、どす黒い空気が纏い目が赤く輝いてこちらを睨んだ。


「あれ?メイド長から聞いてないのかよ?」


「申し訳ありません。お嬢様、記憶が無いのは確かなようですが、その判断については話し合う時に決めるつもりでしたので…」


 深々とレミリアにお辞儀をする咲夜さんに、不機嫌な風を更に強めるレミリア


「そう…まあいいわ、帰ったら話して貰うから、行くわよ?フラン」


「そうは問屋が許さないぜ?」


「話くらいならお茶だって出すわよ?」


 そう言いつつレミリアとの間に、左右から立ち塞がる魔理沙とアリスの背中は、少し頼もしく見えた。


「…邪魔しないでくれる?消すわよ?」


「…あ」


 我慢の限界とばかりに赤く輝く槍を手にしたレミリアを見た瞬間、欠けたピースがカチリとはまる感じがした。


「…レミリア・スカーレット……あぁ、そっか」


 ぽつりと呟いた俺に、一触即発な三人は視線をこちらへ向けてきた。


「…思い出した」


「「「えっ!?」」」


 どうやら俺は、記憶を取り戻したようです。

「正直、レミリアの相手は気が重いぜ」


「私もよ…」


「面倒だから二人まとめて相手になってあげるわ」


「たしか…キュッとしてドカーンだっけ?」


「「「それはダメ!!」」」

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