第14話
ハッキリ言います。
「なにこれ」
一階の構造が凄く拡張されているにも関わらず、入口付近だけにスライムが集まっています。
見渡す限りのスライムスライムスライムスライム…………。
何かうごめいてのがやっと判るぐらいだった。
ずっと見てると気分が悪くなってくる。。
数は約10万いるかいないだと思いたい。
あくまで『思いたい』だ。
スライムとは分裂して繁殖する種族で『栄養』さえあれば、雄雌関係なく殖え続ける。
このダンジョンは造り始めて間もない。
そのせいか、スライムの『栄養』となる養分がそこらかしこに床や壁に付着している。
僕の造ったスライムは壁や床にある『苔』を養分とし、己の活動力とするのだ。
更に厄介な事に、スライムが餓死して死ぬと、周りに養分を撒き散らしながら死ぬようなので、床や壁などの『苔』がまた繁殖し始める。
以下ループ。
特に変化が無ければスライムの数は変動しない筈なのだが、誰かがここに来てスライムの餌食になったようで、さっきから地味にスライムの数が殖えている。
このダンジョンの中で死んだ方は蘇生してる筈だから大丈夫だよね。うん。
スライムの群れは伝説の勇者の真っ青な光景だと思う。
入った瞬間バットエンドになるのは必然。
質よりも数を学ぶ、このダンジョン。
嫌すぎる……。
更に死者が出れば出るほど、スライムが殖えていく。
例えスライムがやられても、1体でもスライムが残っていれば周りの養分を吸い取りつつ、増殖。
また、規定値に戻る訳だ。
スライム最強伝説。
まさか環境を整えると、ここまでスライムが強くなるとは知らなかった。
「僕は取り返しのつかない事をしてしまった……」
実行してから後悔するのが、もはやデフォになっている気がする。
「とりあえず、スライムは1階~100階の間に均等に別けておこう。
そうすればバランスも良くなるし、冒険者も死にずらくなるでしょ……たぶん……」
最初に入った冒険者の方、すみません。
ダンジョン難易度、最初からぶっ飛んでました。
もし会ったら、何かプレゼントして上げようと思う。
あの光景を見てもなお、挑戦する勇気があればの話しだけど。
「あ、宝箱設置するの忘れてた……」