表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死んで転生したら自作最強メイドNPC達と共に異世界攻略やろうとしたらゲームと全く違う世界線でした。  作者: 山田孝彦/ダーヤマ・タカヒコ
第二章 今のあなたに必要な事は仕事をする事でもショタの貞操を守る事でもありません。目の前の仲間を信じなさい。
37/44

第三十四話 待ち受ける脅威。

 ノクターンズ寮のベッドの上で外を見ると朝日が出ている……今日1日と寝られなかった……。どうやら、私の為にソワレとここのメイド達が戦いに向かうと……その中には私を物として扱ったヘイムス・ヴィティズというメイド達もいるそうだ。

 先に帰ってきたのはハルマとあのムカデのメイド以外だった……どうにもデカい犬を飼おうとしてるようで、ここの人達は常軌を逸している。

 特にメイドは変な人が多い……その創造主本人が変という事もあるだろうが……この屋敷では常識など一切通用しないのだ。

 あんな風に……。

「アタック。」

「ライフで受ける!!ぐわアアアアアアアアア!!」

 私の横でヤミコさんとソワレが前と違うカードゲームをしている。

 そのメイド達を管理するのはメイドからハルマと呼ばれる人間、私は彼に自分の身を委ねた……。生き甲斐を失った私にきっかけを作ってくれたのは他ならない彼だろう……ここの主人として責任感の強過ぎる男だと思う。

 彼はヘイムス・ヴィティズのメイドを責めないで欲しいと懇願した、責めるなら自分にと……部下の始末は上司の役目だと言いたいそうだが、限度があるだろうに。

 正直、ヘイムス・ヴィティズは未だに根に持っている……ハルマとその他メイドは信頼してるけど。根に持ってる理由は単純で解せなかったからだ、メルトケーレで私が選ばれてしまった事が未だに納得がいかない……人の皮膚やら四肢が欲しいなら他に当たればいいだろうに……過ぎた事なのにそれを時々思い出す。それは私がまだ若いからだろうか……十代の思考力では未熟なのだろうか?でも、それは関係無いよね?

 この問題は私の問題……自分自身でいつか解決しようと思う。ハルマは既に出せる手は出してくれたのだ、これ以上彼を悩ませて精神的に追い詰めるのは良くないと感じる……。

 そもそも、私はここに居させて貰ってる身なのだ。ここに居るのは私の意思……閉鎖された以前の生活よりも楽しく感じる……居心地が良いと抜け出せない感覚というのだろうか……毎日漫画やカードゲームという異世界の遊びに熱中できる……ヤミコさんが良く屋敷を散策するので変な物を拾ってくるし……前はゲームキ?だっけ……四角い箱に丸い奴を差し込むと遊べるのだが、あれが如何せん楽しく抜け出せそうにない……。

 そんな、感じで前は死にたいとか根暗な感情を表に出し続けてたけどソワレとの出会いがやっぱり大きかったのか……オタク文化を布教されてそこからズッポリだった……私は流されやすい性格なのかな……。何でもコスプレって奴が楽しかった……私はオシャレと無縁だったからか……あれの楽しさは異常だ。

 何よりも素直に嬉しかった事が多かった、ソワレが正直に可愛いと外見を褒めてくれた、見た目を褒めてくれるのは誰だって嬉しいものだ。ただでさえ悪魔の血を引いてるのだ。私にとっては新鮮であり、初めての感触だった。

 ハルマにも聞いてみたいが……彼だったら多分『普通に可愛いけど。』と一言余計に話すだろう。彼は変わり者だけど喜怒哀楽はちゃんとあるし異常な強さを除けば普通の人間だ。

 そんな人達がいるおかげで私の本来の目的も無くなった……何でも父が犯罪を犯して捕まった……王族に手を出し処刑されるとの事……父が居なくなれば私が生きる意味も無い。死のうとした……けど無理だったよ……ハルマとソワレにもお願いしたけど、彼らも出来ないと唇を噛み締めていた……あの時の事謝ってないな……いつかちゃんと謝ろう……。

 

 扉を叩く音が聞こえる……。

「失礼しますよー。」

 出てきたのはマリーダさんという人……異世界の人じゃなくこの世界の人間だ。

「ハルマ様が帰ってきました。」

「ありがとう、行ってくる。」

 慌ててベッドから飛び出す……無事か確かめないと。


 ——玄関前の扉を少し開くとセンシアさんと何か話していた。

『……また脅威がやってきますね?』

『本当だよ。いつになったらスローライフを送れるんだろう?」』

『確かに余裕ある生活は必要ですね……ですが、一段落ついたので休んでは?』

『そうしたいけど……なんか、腑に落ちないんだよな……。』

『と、申しますと?』

『悪魔暴走薬だっけ?それを渡してきたんだよ……あれを取らなかったばかりに……なんか、フラグが立ちそうなんだよな……ミトラスじゃないけど脅威が近々やってきそうな……。』

『マッサカー。この世界はゲームじゃないですよ。フラグなんて立ちません……。』

『そうだと良いけど……えっと、ニュネイはどうしてる?』

『ああ、今は……』

 

 今度は扉を全開に開ける……開けた音で二人は振り返った。

「ああ……ニュネイ。おはよう。でも、その様子だと眠れなかったみたいだね。」

 恐らく彼は私の目の下に出来たクマを見て判断したのだろう。

「はい、ずっと心配してて……あと、私何もしてないし……易々と眠れない、お荷物かなって……。」

「だよなー責任感じちゃうよね。」

「……あの、本当にありがとう……。私の過去を消してくれて……。」

 これで、私の過去は消えた……記憶には残るだろうけど肉親である二人は無いものになったのだ。

「今更だけど、後悔は無い?君は巻き込まれた人間……ここから離れる事も可能だよ。お金を渡して国外だって行ける。」

「それは、私の望む事じゃない。分かってるでしょ?」

 彼は恐らく、まだ迷ってるのかも……私がこのファミリアに居させる事を……それが正解だと限らないから。

「そうですよ、ハル様。ニュネイの腹は決まっています。ならば何も聞かずちゃんと貴方が認めて迎え入れなければなりません。貴方と私達はニュネイに生きる決断を強いました、そして彼女も……であれば、彼女の意思を尊重するのは当然の事です。」

 センシアさんもまともな事を言うんだ……。

「そうだよな……。」

 ハルマが手を動かしてる、そこに何かあるように。

「ようこそニュネイ……君はこれからここの人間になる。だから……よろしくな。」

「はい……こちらこそ。私なりの精一杯を貴方に……。」

 その瞬間、ハルマの周りに謎の四角い板のようなものが複数浮かび上がる……彼がずっと手をいじっていた正体はこれだった。

「さぁ、戻ってご飯にしよう。腹減ったよ……。」

 私を追い越して屋敷の中へ……振り返ってその背中をずっと眺める……その姿は平凡で何一つとして特徴はないけど、今なら分かる。頼って良い人の背中だと……これからは一人じゃない……そう思える。


 ——王都アトロニクスの収監棟……数時間と馬車に揺られ独房へぶち込まれるルイール、ただぶち込まれるだけならよかったのだが……。

「なぜ……お前が?!」

「はん……分かるでしょ?独房にぶち込まれた……それだけよ。」

 エントロとルイールが同じ檻に入れられる……空気は最悪だ。

「お前が檻に入れられる要素がどこにある?ここは大罪を犯した者しか……」

「知ってる……その大罪を私は犯したのよ。」

「……まさか、ニュネイ……。」

「ああ……それに関しては……」

 ルイールがニュネイは無事だと伝えようとした時だった……。

「待て、勝手にお前らだけで話を進めるな。」

 檻の前に出てきたのは秘密治安維持局の人間だった、それも複数人とこちらを睨んでいる。

「うっさいわね、今いいとこなのよ。」

 明らかに真実を伝えさせないように立ち回っているとしか思えなかった。

「お主ら一体?」

 エントロは表の人間……裏で治安を維持してる人間など知らない。

「私達は聖王国秘密治安維持局……通称『アストレアス』……その女は任務に失敗しここに入れられている。」

「任務?一体……」

「その女は我々の駒だ……私達はこの女を使いお前から悪魔の情報を得ようとした、ただそれだけなのだ。」

「そんな、ありえん……嘘だろ、ルイール?私に近づいたのは……」

「悪いけど、全部本当よ……私は治安維持局の人間……上からの指示であんたに近づいてニュネイを産んだ……貴方は昔から危険視されてたのよ。」

「何を隠そう……お前が悪魔である事は我々は昔から知っていた。お前の親が悪魔の女を孕ませてた時から見ていたぞ。」

「父の代からだと……?」

「我々は清き正常なる聖王国の為に動いている……貴様のような異端がいるのは許せぬのだ。」

 そして、牢を開ける……番人は何をしてるのだとエントロは思った。

「ただ……お前にはチャンスをやろう……。我々の実験台になるという……。」

「実験だと?」

 懐から取り出したのは悪魔暴走薬だ。

「この薬は悪魔の力を高める強力な薬でな……生憎一つしかない。量産体制まで研究部が必死で事を進めている……そこで、彼らからの依頼だ……これを打てば悪魔本来の力が出せるが……前例がないのだよ……なので、君はその第一号……実際に打ったらどうなるのか……それを知りたい。」

 しばらく無言になった後、口を開く。

「すまないが、実験台になる気は無い……私はここで死刑まで待つとするよ。」

「ほう……良いのか?我々に協力すればお前の娘を地獄から助け出してやろう。その女と違って我々は確実に救い出せる。」

「ああ……別に助けるって程でも無い……ムガガ……?!』

 ルイールが真実を話そうとした瞬間に口を封じをかけられる。

「何……ニュネイはまだ!?」

「ああ……君の協力次第だがね。今、彼女は奴隷のように虐げられてる……毎日のように暴力と性行為に勤しむ……彼女の悲鳴を聞けば君も居ても立っては居られないだろう?」

「ムガアアアアアアアア!!」

 必死に声を上げようとしてもエントロには届かなかった。

「ここより南に大きな屋敷がある、そこにお前の娘が囚われている……どうする?」

「ニュネイ……ああ……なんて事だ……私は……許せん……許せんぞ……。」

「ムガムガ!?」

「そうだ……許せないよな?人としての心の無い奴らに飼われている……私達に任せて欲しい、絶対に君と君の娘を安心させてやる……娘には安全な暮らしを保証しこれからの人生を全くと言って良いほど幸せなモノに出来るのは我々のような国を裏で動かす真の統治者しか出来ぬ事なのだ……宰相という立場で国を動かす仕事についていた君なら分かるね?」

「うわあああああああああああ!!」

 エントロが怒りを露わにした。ぐしゃぐしゃな顔で注射器を腕に押し付けると針は深く、奥まで刺さる……中身が無くると腕の中で針が折れる。空になった注射器はカランと中身の無い音を立てた。


「許さん……許さんぞ……私の娘を……私の全てを……殺し尽くしてやる……。」

 エントロから赤いオーラが見える……明らかな怒りを見せてくれると同時に危機感を煽る……それに巻き込まれればタダでは済まないと肌で分かる。

 床が震えると建物全体が音を立てる……天井から塵と小さい岩片が落ちてきた……。

「ムガアアアアアア!!」

「まずいですよ……局長になんて言えば……。」

「構わんさ……最近の聖王国は異種なる存在への警戒を緩めている……これを機に再度改めるだろう。」

 そして、治安維持局の人間達はスッと姿を消す……ルイールを置いて……。

「プハ……!!」

 やっと口が開放され、喋る事が可能に……。

「ちょっと!!聞きなさい!!あんたの娘は無事よ!!聞いてる?!」

 エントロは怒りに溺れルイールの声は耳に届かなかった……。

『殺す……殺す……』

 それしか言ってない……この状態で何かを聞き入れようなど出来はしない。

「あわわわ……。」

 建物の損壊も酷くなっていき、崩れる音は酷くなる。どうやって脱出するか探し始めなければ危険だ……。

 エントロから翼が生えると今度はツノが……少しずつ姿が変わっていくと建物の振動もさらに大きくなり、いよいよ己の死を……。

「おおお……落ち着きなさい!!」

 とうとう尻餅をつき……腰が抜けたのか動く事がままならなくなる。動きたくとも動けない……目の前にいる悪魔もそうだが、危機的状況のせいで放心状態だった。

 体が少しずつ変わる……尻尾も生えると体の大きさが徐々に大きくなり天井をぶち破り始めた……。

「お、お助けえええええええええ!!」

 だが、彼女はルイールという女。運よく壁に大きな穴が出来るとその中へ飛び込み湖へ……彼女はフィジカルだけは強いので岸まで泳ぎきれるだろう。

『ガアアアアアアアアアアアアアア!!』

 それはもう大魔王のような姿であり、崩壊した棟の上で雄叫びを上げれば誰もが恐怖を感じる。


「なんだあれ……。」

「見た事ねぇぞ……。」

「悪魔にしては……大きくないか?」

 など、アトロニクスの住民は棟の上に立つエントロ……もとい悪魔然とした姿に目が釘付けになっていた。恐怖を感じるが、飛び立ち南に飛んでいけば、我々に危害はなかったと安堵した。


 ——最大の脅威が生まれる中、悪魔界では異変に気づく。

 悪魔界は全体的に薄暗く日の光なんてものは存在しない……なのにも関わらず月は紫に光って見える……そんな世界にも秩序はあり法の元で悪魔や魔物が生活している。大魔王が勇者に倒された後は魔界7幹部という組織が悪魔界を仕切っていた。

「この気配は……。」

 悪魔界の中心には大きな塔が存在しその頂上で円卓が存在し囲むように7席あった。

「あの、エントロとかいう男……本当に大魔王の血を引いていたのか……。」

「ふん……いつも忙しくこの世界を出入りしていたな……気に入らなかったが……。」

「だがもう、アレでは誤魔化しは効かない……認める他ねぇだろ。」

「ならば、迎え入れなければ……私達には統治者が必要……いつまでも我々だけでここを統治するのは難しい。」

「3000年……待ちに待ったのだ……この機を逃す訳にはいきますわい。」

「……まずは大魔王様が向かっている所へ召喚門を出現させる。大魔王様が戦う敵は我々の敵だ……。」

 

 三十五話へ続く……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ