葛木、気づく?
待っていただいた方々。ありがとうございます!
待っていなかった方も、この小説を読んでくれて嬉しいです!
突然ですが、更新の頻度を変えることにしました。
現在のペースでかなり先まで描けているので、毎月10.20日に投稿しようと思います。
作戦決行当日。
狙い目であるサッカー部の練習の無い水曜の下校前に、俺は廊下の目立たない場所に立っていた。
葛木を横目で確認した俺はスマホを取り出し、Мにメッセージを送る。
『奴を確認した。始めてくれ。』
葛木茂。お前が積み上げてきたものを、少しずつ崩してやるよ。
全てを失ったとき、お前は一体どんな顔をするんだろうな。
楽しみだ。
葛木茂レイド作戦、開始だ。
「よう、セカンド。」
Мが奴に接触する。ここで無視されたら一切作戦が進まないのだが、
どうやら上手く食いついたらしい。
ちなみに「セカンド」とは、この学校でよく使われる侮蔑語だ。
一番になれなかった者。誰かの劣化版。
要するに「お前は二流だ」と言いたい時に使われる言葉である。
「誰がセカンドだ?それにしても誰だい君は?初めて見る顔だね。」
奴は笑っていた。
しかし、その笑みは何処か硬い。
「俺か?俺はただの通りすがりだよ。だがそうだな。今は、「お前のことを他のヤツよりも少し知っている」とだけ言っておく。それとお前とは初めてじゃないんだがな。」
「……?」
葛木が眉をひそめた。
「それよりセカンド。お前、最近調子が悪いんだって?サッカー部の奴から聞いたぜ。
優等生のお前もついに挫折か?こんなに大事な時期だってのに、ついてないな。」
「なっ、だから誰がセカンドだ、失礼なヤツだな。オレには親から貰った茂という名前があるんだ。そもそも何がセカンドだ?まるでオレが2番目みたいじゃないか。」
葛木は声にこそ動揺しているが、軽薄な笑みは未だにその顔にはっついたままである。
しかし、Мの放った一言でその余裕は空の彼方へ消し飛んだ。
「えっ?だってお前……。次のゲームで負けたら2軍に落ちるんだろ?噂になってるぜ。」
その瞬間、葛木の顔から笑みが消えた。
騒がしい廊下が一瞬にして静まりかえる。
「……誰に聞いた。」
「ん?」
「その話を、誰に聞いたんだと聞いている。」
先ほどまでの余裕はない。
Мは肩をすくめる。
「別に?有名な話だろ。」
「有名な、はずがない。」
葛木の顔から血の気が引いていた。震える声は、もはや誤魔化しようもない。
「監督とコーチ、それに俺しか知らない話だ。もう一度聞く。誰に、どこで聞いたんだ?」
必死に問い詰める。揺さぶりは十分だろう。
そろそろ潮時だと考えた俺は、Мを撤退させる。
『ミッション完了。直ちに撤退せよ。』
「ああ、それはだな……。おっと、すまねぇ。急用だ。悪いがその話はあとで頼むぜ。
…まだ話したいこともあるんだがな。」
手筈どおり、Мは意味深な言葉を残し、踵を返す。
「きっ、君! 待ちたまえ。いや待つんだ! 頼む!」
振り向かないМに葛木は声を荒げるが、彼の必死の願いも届かずМは去って行く。
廊下では、すでに「葛木茂が2軍落ちする」という噂で持ちきりになっていた。
普段だったら、「あの葛木が?ないない」となるだろう。だが、奴の過剰な反応に生徒たちは真実味を感じたらしい。
それを見届けたあと、俺はざわつく廊下を背に歩き出す。
……気づけば唇の端が自然と上がっていた。
成功。
いや、違う。
これは大成功だ。
しかも、俺も予想していなかったレベルで、だ。
もともと、この作戦では多少揺さぶれれば十分と思っていた。
しかし、奴のあの慌てよう。
間違いない。
葛木茂は、相当追い詰められている。
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ケイトのイラストです(AI生成)想像と違ったらごめんなさい。




